《Waving Life ~波瀾萬丈の日常~》53話 心が弾む日
心が弾む日
1
開會式が終わり、ようやく始まった學校祭。
初日は模擬店の當番が當たっている。
俺、蘭華、半彌、絵里は共に初日。
明日から自由に楽しめると思えば、今日1日は簡単に乗り越えられる。
……そう思っていたわけだが、現実は違っていた。
予想をはるかに上回る客が集まり、大忙し。
休む暇はほとんど無かった。
まぁ、クラス対抗で売り上げ金額を競っているので悪いことでは無いのだが……。
午前中、俺は調理場で焼きそばを作る仕事。
を炒め、野菜、そして麺を投。
ソースを絡めるだけというシンプルな作りではある。
だが、量を沢山作るとなると次第に腕が疲れてくる。
更に火の近くにいるため、外はし寒いながらも汗が滴ってくる。
3時間ほど立ちっぱしで、俺は午前中の仕事を終えた。
明日は全筋痛だな……。
午後からは接客業に回る。
たまたま一緒に擔當することになった蘭華と呼び込みをしたり、勘定したり……。
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蘭華の馬鹿さ加減が火を噴き、お釣りの計算を何度も間違え迷をかけていたが、その點は近くにいた絵里にフォローしてもらってどうにか対処できた。
何故に俺がフォローしないかって?
計算に自信が無いからだよ。
こうして初日の仕事は終わった。
思い返してみると、案外楽しかったのかもしれない。
特に午後からはずっと笑顔が絶えなかった。
人と接して、コミュニケーションをとって。
その事に楽しさをじていた。
全筋痛になりながらも、1日目はそれなりに楽しく過ごせた。
2
1日目の影響で案の定俺は筋痛になった。
でも、今日からは自由に學校祭を楽しむことが出來るのだ。代償としては十分だ。
今日は、約束がある。
3日目、俺は蘭華と一緒に回る約束をした。
同じように、3日目に約束を取り付けて2日目が空いている半彌と回ることにしたのだ。
今はその約束の時間と場所にいるのだ。
その場所とは1年1組。時刻は9時だ。
「ごめんごめん……。遅れた!」
「いや、丁度だから許してやるよ」
「じゃあ、行くか」
半彌はそう言って歩き出す。
方向は3組の方面だ。
聞くまでもなく、半彌の目的は……。
「桃山さんに會いに行くぞ!」
「桃山さんの當番の日時まで知っているとは……。さすがストーカー」
「誰がストーカーだって?」
桃山さんって本當に可哀想だな……。
飛行機でナンパされて、學校祭に遊びの約束取り付けられて、その上予定まで調べられているなんて……。
2つ目の奴は俺も関與してるんだったな……。
ごめん。
1年3組は確か、アイスクリーム屋だったよな……。
俺たちは綺麗に裝飾された教室の戸を開ける。
中の裝飾もアイスの同様、多で彩られていた。
「いらっしゃい、ま、せ……。お帰りくださいませ〜」
一般客のように振る舞っていたのに、半彌だと分かった時の変わりようは凄いよな……。
1から作ったであろう服裝に包まれた桃山さんは、服の鮮やかさとはぎゃくに、ドス黒いオーラを放っていた。
「來たばっかりなのに……。とりあえず、おはよ!」
彼はそう挨拶したのを華麗にスルーした。
その後、後ろにいた俺を見つけた彼は黒いオーラを消して、いつもの彼に戻った。
そして笑顔でこう言ってくる。
「おはようございます!蔭山さん」
「うん、おはよう」
「俺と剣也の差が酷くね?」
「命の恩人とナンパ男で対応に差が出るのは當たり前でしょ?」
「ひ、酷いよ桃山さん!」
半彌が嫌なのは確かに分からなくはない。
時々、というか普通にこいつのノリはちょっとウザいからな……。
とは言うものの、ちょっと半彌の事が可哀想に思えてくる。
偶にはフォローしてやってもいいか……。
「桃山さん」
「はい?」
「バニラアイス2つ貰える?」
「はい。分かりました。待ってて下さいね!」
元気よく返事をした彼は、一時的に裏に消えていった。
そして、すぐに彼はアイスを2つ持って現れた。
「どうぞ!」
そう言って彼は、カップにった2つ手渡す。
そのうち1つは半彌のものだと分かっていても、決して半彌に手渡しをしようとしなかった。
「ありがとう!」
俺より先に答えたのは半彌だ。
「あなたのためにやった訳では無いから。蔭山さんのためだから」
「ありがとう、桃山さん!」
「はい!來ていただいて嬉しいです」
本當に一瞬で態度変わるなぁ〜。
切り替えの早さに心しちゃうよ。
「じゃ、俺たちはもう行くから」
半彌は、もっといたいというオーラを出していたがこれ以上いても半彌が一方的に攻撃をけるだけだ。
ズタズタになるこいつを見るのはゴメンだ。
「はい。失禮します!」
そう言って桃山さんは、俺たち(俺に対してだけ)に手を振ってくれた。
外に出ると早速、半彌から文句がる。
「何で、お前は好かれてるんだよ!」
「いや、別に。ってかお前は普通にしてれば特に嫌われたりしなかったのに……」
「綺麗な子を見かけたら聲をかけるのは普通のことだろ?」
「え……。お前、2度と近づくな」
「は?え?ちょっ、剣也!」
ここまでひいたのは始めてかもしれない。
でもそれくらい、今の発言は気持ち悪かったのだ。
俺はそんな発言をした半彌を置いて、一足先に歩き始めた。
「アイスよこせ〜!桃山さんの指紋ついているんだぞ!」
あ〜、気持ち悪い。
いい加減、捕まったらどうだ?
そうしたら、桃山さんのあんなドス黒い面を見なくて済むのに……。
気分が悪かったのでアイスを一口れると、かなり中和された。
気分はひとまず持ち直したので、俺たちは次の場所に向かった。
「桃山さんの指紋〜!」
「アイスは要らないのか……」
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