《Waving Life ~波瀾萬丈の日常~》73話 戻ってきたアイツ

戻ってきたアイツ

1

ゲーム大會はその後ずっと続き気付けば12時。

晝ご飯は、出前のピザだった。

そして、食べ終わってすぐに絵里が話し始めた。

「ねぇ、みんなで公園行かない?何か運しようよ!」

いい提案なのだが、乗り気ではない。

というのもさっき大量に食べたピザが胃もたれを起こしているからだ。

しようものなら、沖縄旅行の行きの飛行機で半彌がしたのと同じことになってしまう……。

「悪ぃ、俺はパス。腹一杯でけないわ」

「そう……。分かった。けるようになったら來てね!」

絵里は満面の笑みでそう言う。

絵里が俺にそう言った後に、隣にいた蘭華の顔を伺った。

なんだか、しテンションが低い気がする……。

さっきまではあんなに元気だったのにな……。

「ごめん……。私もけそうにないからパスする。他のみんなで楽しんできて!」

「おぉっ?付き合った2人がひとつ屋の下で……。くれぐれも健全にな!」

こんなこと言うのはもちろん半彌しかないない。

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「お前が言うなよ。このらの塊が!」

いい加減やめたらどうだ?その下ネタ。

いつもの事だが、子の目線が痛いぞ……。

「それじゃ、行ってくるね!」

「あぁ」

絵里はそう言ってみんなを連れ公園へと向かった。

2

家には靜寂が流れた。

2人きりのリビング。

2人はソファーに隣同士で座っていながらも目は合わせていなかった。

俺は単に恥ずかしいだけだけど、蘭華はなぜだろうか。

「お腹一杯でけないっていうの、噓なの」

「え?」

「話があったの。2人きりじゃないと話しずらくて」

「そうか……」

蘭華が話し始めたので、俺は蘭華と目を合わせようとした。

でも蘭華の目線は、俺ではなく足の方を向いていた。

「話って?」

「剣也……。私のためにやってるんでしょ?」

「何を?」

「このパーティー。留學前の思い出作りのために」

「……」

蘭華は、目線を上げて天井を見上げた。

「やっぱりそうなんだね……」

「……」

「剣也って本當に優しいね!」

「え?」

蘭華は、聲のトーンを変え急に明るくなった。

そして俺の顔を見て笑顔を見せた。

「私のためにこういうことをしてくれるのは、本當に嬉しいよ!ありがとう」

「いやいや」

俺は照れて、右手で頭を搔く。

「でも、さ……」

蘭華は再び聲のトーンを落とし、表は急に曇った。

そして視線はまた床の方へと落とされた。

「剣也のその優しさってさ……。私だけじゃなくてみんな平等だよね?」

「……」

「お互いが好きになって距離が近づいてもそれは変わらなかった。絵里ちゃんにも、みっちゃんにも……。同じように優しく接している」

蘭華が言う通り、俺は皆平等に優しくしている。

誰かだけを除け者にしたり、誰かだけ特別扱いというのは苦手なのだ。

「私はそれがちょっと嫌なの。私には、他の人よりも優しくしてしいし、剣也にとってもっと特別な扱いをしてほしい。人になったしね……」

「っ……」

すぐには答えは出せなかった。

蘭華の抱いているのは、獨占だ。

私だけの剣也だから、他の人には優しくしないで私にだけ優しくしてしい。

そこまで酷いものでは無いが、そう言っているのだ。

そういうのが生まれるのはごく自然な事だと思う。

俺だって、蘭華が他の人と仲良く話していたら嫉妬して他の人と話さないようにしてしい。

だけど、素直にそれをれることは難しかった。

それは単に、友達として彼等に優しくするのは當然な事だと思っているからである。

「駄目、かな?」

蘭華は再び俺の顔を上目遣いで見てくる。

「俺は……」

俺は返事をしようとした。

でも丁度その時に家のインターホンがなって言葉が遮られた。

「あ、俺が出るから待ってて」

「うん……」

俺は玄関の方に小走りで向かう。

暫く話したおかげで、胃もたれも結構治まってきていた。

玄関に著いて俺は、玄関の扉を開けた。

俺は開けた瞬間、『絶』の2文字が頭に浮かんだ。

「な、なんで……。なんで……。なんでお前がここにいるんだよ?晴大(せいた)!」

なぜならこいつは……。

俺の人生を危機的狀況に陥らせようとしたやつだからだ。

「久しぶりだね?蔭山 剣也君。會えて嬉しいよ」

俺の前に立つ男はそう言う。

金髪でオールバックのいかにも悪そうな見た目をした同級生だ。

昔はこんな髪のではなく、黒髪の普通のやつ……、に見えたのだが……。

「質問に答えろ!なんで、ここにいる!お前は青森に行ったはずじゃ……」

俺の大聲に反応したのか、リビングから蘭華が出て來た。

「あれ?晴(せい)君?」

「お、蘭ちゃん久しぶり!」

蘭華はこいつと何度かあっている。

だが、蘭華はこいつが俺を危機的狀況に陥らせようとしていたとは知らない。

「蘭華……。こいつが來ていること話すんじゃないぞ。ちょっと出かけてくるから」

「え、それなら私も……」

「來るな!……、ごめん、來るんじゃないぞ」

思わず的になってしまった。

そのせいで蘭華の顔はさっき同様曇っていた。

「ほ〜ら、そんなこと言うから……。っ、痛てぇな!」

「うるさい。黙って著いてこい!」

俺はその男の襟を摑んで無理やり家から離れた。

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