《攻略対象外だけど、好きなんです!》4 「巫としての仕事」

 料理を毎日練習していると、だんだんと味しくなっているのがわかって、嬉しくなる。

 この調子でいけば、砂原くんの好きな「料理上手で可の子」になるのも夢ではない。そう考えると、顔がにやけてきてしまう。

 「うふふふふふ。」

 早く砂原くんに會いたいな。砂原くんに褒められたいな。砂原くんとイチャイチャしたいな。

……なんか、忘れているような気がするけど……。気のせい、だよね。

 誰かが部屋の扉を叩く音がする。侍かな?

「雪月様、本日は朝食後に、神の巫としての仕事があります。」

「……………」

 神の巫??………あ、なんかそういうの、あった気がする。

 雪月は、領同士の小さな戦爭があったとき、しでも多くの市民を守ろうと結界の能力を使っていたんだよね。

 面倒だけど、砂原くんは「聖母のような」も好きだって言ってたし、頑張りますか!

「また、戦爭ですか。」

「はい…。でも、雪月様のおかげで、助かっていると、領民も言っています。」

「命がより多く助かるのに、越したことはないものですしね。……分かりました。」

「それでは、また、朝食後に伺いますね。」

 そして、朝食後。「私はこの時代に車なんてあったんだ…」と考えつつ、車に乗り、戦爭に行った。

「おーいみんな、神の巫様が來たぞー!!」

「本當か!?」

「ありがたや、ありがたや……」

 私を見た領民が、口々に言う。

 中には、ありがたがる人もいて、頑張らなければ、思わず気合いをれてしまう。

  そういえば、初めて能力を使う。…張したけど、不思議と能力の使い方はすぐに分かった。

 結界に剣が當たる。しかし、びくともしない。

 ……結界と言う能力は、本當にすごい。敵がこれ以上近づけないようになっている。

 私の結界がどうして崇められているのがよく分かる。こんなにすごい能力だったなんて。

 しばらくして戦爭は終わった。結果は聞かなくても分かるだろう。私達の圧勝だ。

 

 「巫様、本當に助かりました。おかげで、犠牲者もなくなって…」

「私などがお役に立てて、良かったです。……でも、戦爭は嫌いです。平和な世に、早くなってしいものです。」

 いくら私の結界があるからといって、犠牲者が出ないわけではない。たとえゲームの世界だったとしても、私は平和をむ。

「巫様……。そう、ですよね。………私ども一同、平和な世になるよう、より一層進いたします!」

「ええ。頑張ってくださいね。」

 私はお禮に笑顔をみせる。

…これで、大抵の男はイチコロ、なんちゃって。

「「「が、頑張ります!!」」」

 あ、落ちちゃったかも…。みんなの顔が赤いし…。なんかごめん。

でも、これは平和な世になるための犠牲なんだ…っ!なんてね。

「雪月様、帰りの支度が整いました。」

「そうですか、ありがとうございます。それではみなさん、ごきげんよう。」

 車に乗ると、たくさんの領民が見送ってくれた。……主に男だが…。

 でも、私は可いって言う証拠だし…、仕方ない、よね?

 屋敷に帰り、いつもより遅くなってしまったが、料理人と料理を練習する。

「雪月様はえらいですね。毎日欠かさないなんて。」

「ふふ、一日でも早く上手くなりたくて。」

「もしかして、雪月様、好きな殿方がいらっしゃるのですか?」

「…………」

 ギクッ。

「あ、もしかして、図星ですか?……雪月様の、影ながら応援させていただきますね。」

「あ、ありがとう、ござい、ます。」

 ば、バレてしまった……。

「で、でも、にしてくださいね?」

「もちろんです。絶対に、口外しませんよ。」

 かくして、料理人と私には、ができたのだった。

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