《攻略対象外だけど、好きなんです!》小話 「鳥が苦手な理由」 東 海斗 視點
 ツンデレヤンキーさんのお話です
 澄 紬と、砂原 隼。
 (こいつらと話していて、悪い気分はしない。むしろ、楽しい。)
 この二人は余裕がある。
 言葉もきもとても穏やかだ。
 生きることに必死じゃない。
 ……俺とは何もかもが違う。
 育ちがそうさせるのかは分からないが、一緒にいて、楽だ。
 流れの穏やかな川瀬はとても心地よかった。
 (それでもどこか、噓のように思えるのは……肝心なことを話していないからだろうな。)
 砂原の能力は、初日に見せてもらった。
 澄のほうは、どうやら知られたくないらしい。
 俺も……話していない。
 偽り。胡散臭さ。
 ……本當はそのどちらでもない。
 ただの疎外だ。
 俺はこいつらとは違う。
 俺の能力は、人から奪ったものだ。
 (くそ悪ぃな。俺のことを知っているのが、あいつだけってのは。)
 白井 菜々香。
 …俺から、大切なものを奪ったヤツ……。
 本當は、あいつは悪くない、って分かってるんだけどな……。
「ねぇ、海斗。」
「……!何だ?」
 突然、澄が話しかけてきた。
「あんなにヒヨコさんのことが嫌いなのに、鳥料理は出來るんだね。」
「……馬鹿言え。鳥を避けてたら料理なんか出來ねぇだろ。」
「なるほど。」
「……ただ、顔は強ばる。」
「……それって、卵割るときも?」
「卵……は、手が震える。……鳥が生まれたらどうしようって、思って……。」
「「…………」」
 澄と、一緒にいた砂原が震えている。
 …どうかしたのか?
「くくく……」
「!」
「くく、あははは!」
「ふふ、笑ったら駄目だよ。人には誰しも苦手なものは……ふふ、はは!」
「てめぇも笑ってんじゃねぇか!おい、笑うな!!」
「あーお腹痛い。ねぇ、何でそんなに鳥が苦手なの?」
「言わねえよ!……絶対、笑うに決まってる。」
「ええ?これ以上におかしいことがあるの?聞きたいなぁ。」
「おかしくねぇ!お前らだって、俺と同じ目に遭ったら絶対鳥嫌いになるぞ!」
「そこまで言われると気になるね。」
「ああ。聞かなきゃ船には戻れない。」
「……っ。」
 (しまった…。
 まぁ、これくらい話してもいいか。)
「昔、ガキの頃……山の近くに、住んでて……クジャクに遭遇したんだ。」
「クジャク?……ってあの、綺麗なの鳥?」
「けばけばしくて、目に悪い鳥だ。」
「クジャクって野生でいるの?聞いたことないな……。」
「もしかしたらどこからか逃げ出してきたのかもしれないね。」
「あの鳥、何を勘違いしたのか、……俺のことを………」
「何?餌だと勘違いされた?」
「それだったらまだいい。………」
「何?聞こえないよ。」
 (やっぱり、話したくねぇな…。こいつら絶対笑うし…)
「笑うなよ。」
「笑わないよ。友人のトラウマを笑うなんて、そんな酷いことはしない。」
「…………」
 (……そこまで、言うなら……)
「……雌だと思われたんだ。」
「…………ん?」
「だから、雌のクジャクだと勘違いされて、求されてたんだよ!」
「「…………」」
 二人はまた震えだした。
 (………??
 意味がわからないのか?
 それもそうだよな。普通、クジャクに求されるなんて、あり得ないしな。…よし、もうし詳しく話すか。)
「あいつは四六時中俺から離れなくて、家に逃げ帰っても待ち伏せされるし、蟲とか獲をささげてくるし。あの日々を思い出すと、今でも寒気が……」
「「あははははは!」」
「!!だ、だから笑うなって言ってんだろ!!」
「あー疲れた。ねぇ、海斗。今日の夕飯は何?」 
「……鳥の唐揚げとサラダとスープ。……にするつもりだったけど止めた。」
「そうなの?俺唐揚げ大好きなのに。」
「今日鳥料理やると、お前らが邪魔しに來る気がする。」
「邪魔だなんて心外だなぁ。苦手なことにも打ち込む友人の姿を見守ろうと思っただけなのに。」
「海斗も僕たちのことが分かってきたみたいだね。」
「ああ。人の良さそうな顔して、底意地が悪いことは十分分かった。」
 澄 紬と、砂原 隼。
(あいつらのこと……しだけ、分かった気がするな…。)
 トラウマのこと、笑ったのはムカつくが……
 こういうのも、悪くねぇな。
攻略対象外だけど、好きなんです!
通り魔から少女を守って死んだ、25歳の乙女ゲームオタク。 なんと少女は神様の孫だったようで、お禮に願いを一つ葉えてもらえることに。 オタクの願いはただ一つ、「乙女ゲームのヒロインに転生したいです!」。 そして、ヒロインに転生し、イケメンを攻略しようとしたのだが…… 初投稿です。 この作品は、ノルン+ノネットが大好きな作者が書いたものです。ファンディスクのネタバレもしまくっていますので、ご注意を。 語彙力がないので、そこら辺はご了承くださいませ。
8 76右目を無くした少年の戀のお話
事故で右目を失った少年『春斗』は 高校三年間でどう生きるのか─ 卑屈な少年ととにかく明るい少女の戀の物語
8 59監禁から始まる戀って怖くね?
ある日いきなり監禁された俺の物語
8 69人間嫌いな俺とビッチな少女
「好きです!付き合ってください」 罰ゲームに負け、話したことすらない冴えない鍋島睦月に告白をすることになった胡桃萌、 告白のOKを貰ってみんなでネタバラシするつもりが答えはNO? 「なんで噓の告白で振られなきゃいけないのよ!いいわ、絶対に惚れさせて振ってやるわ!」 意気込む萌、しかし告白を受けなかった睦月にも何か理由があり……? 萌は果たして睦月を惚れさせることはできるのか、そして睦月は惚れてしまうのか? そんな2人の青春ラブコメディー。 *人間嫌いな俺とビッチな君→人間嫌いな俺と ビッチな少女 にタイトル変更しました。 *11/15付ジャンル別日間ランキングで2位ランクインできました。ありがとうございます。今後も頑張りますのでよろしくお願いします!
8 190とろけるような、キスをして。
従姉妹の結婚式のために七年ぶりに地元に帰ってきた美也子。 そこで、昔から"みゃーこ"と呼んで可愛がってくれていた高校の頃の教師、深山先生と再會した。 「今すぐ、帰ってこいよ」 「みゃーこなら、勘違いしてもいいよ?」 深山先生はとても優しくて、かっこよくて。 「もっと俺を求めて。もっと俺に縋って」 でもベッドの中では、 ほんの少しだけ、意地悪だ。 【2021.6.12完結】
8 171戀した魔法少女~生まれ変わった魔法少女が、15年ぶりに仲間と再會する~
「あの時死んだ魔法使い、佐倉町子は私だよ!」 二〇世紀も殘り僅かとなった時代。 大魔女から力を授かり、魔法使いになった五人の少年少女が居た。 最初こそテレビのヒーローのように、敵を倒して意気揚々としていたが、楽しいことばかりは続かない。 ある日、魔法少女の一人・町子は、不可解な行動をする仲間を追って戦闘になり、この世を去る。その魂が蘇った15年後の世界で、彼女は仲間だった魔法使い達に再會して-ー。 仲間との年齢差・約16歳の、記憶と戀が求める未來は? ※過去に新人賞用で書いていたものです。以前カクヨムにアップしていました。 完結済み作品なので、毎日更新していけたらと思っています。 よろしくお願いします。
8 57