《天界での僕は神様の旦那?》第四話 生前の記憶

「俺の名前は…」

俺の名前、俺が生きていた時の名前…

        なんだっけ?

「すいません…」

「急に謝るなどどうした?」

「自分の名前も生前の記憶も思い出せないんです…」

「…今なんと?もう一度聞かせてくれ…」

「あの…記憶が無いんです生きていた時の」

「なんだと…」

「でも自分が死ぬ直前のこととか単語の意味とか …はかろうじて憶えているのですが」

俺は、アルテミスに1つ噓をついた、覚えているのは自分が死ぬ直前の記憶ともう1つ"會社に勤めていた時のこと"なぜそれを言えなかったのかそれはわからない。しかし、それを言おうと思った途端聲が出なくなった。

「それはまずいな」

アルテミスは俺の異変には気付かずそのまま話を続けた。

「普通は生前の記憶を忘れているものなんか初めてだ」

「私は稀なケースなんですか?」

「希どころか、私は長いことこの仕事をやっているが初めてだ」

僕はそれを聞いてなぜかホッとした。嫌なことでも覚えていたのだろうか?自分でもわからない。

聞けば記憶はその者しか干渉できず神にすらそれに立ちることはできないなんだそうだ。しかし、困った事になったのはそのあとである。

「しかし、參ったな。名前がわからなければ死者名簿に名前が書けない」

「そうなるとどうなるんですか?」

「生まれ変わることはできず…消滅する」

「まぁ消滅しても誰かが覚えておいてくれるでしょう」

「いや、そんな甘っちょろいもんじゃ無い…」

そのアルテミスからの言葉に深みをじたのは哀れんでいたのか、それとも悲しんでしたいのか、その時の俺には見當がつかなかった。

「この世の誰も…  くっ」

アルテミスはボソッとその言葉を口にした。俺には聞こえ無いように言ってくれたのだろう。

「ありがとう…」

俺を気遣ってくれたアルテミスに俺もボソッと呟いた。

「何か、策はないか…」

「何か生前で覚えている単語のことをすればいいんじゃないでしょうか?」

「なるほど!やってみるか」

正直その発言は本心ではない、なぜなら思い出したところでろくな記憶はないかもしれない…そう思うとあまり思い出したくは無かった。しかし、アルテミスがあまりにも心配そうな顔をするので安心させたかった。

「今覚えていることを全て話してくれ」

「えっと、車、…」

こんな単語ばかりで本當に思い出せるのだろうか?

「めぼしいはほとんど死ぬ間際のものだな」

「まぁ仕方ないですよ」

「あとはなんかあるか?」

もう、何も無いといいかけたその時頭の中に2つの単語が飛んできた。

「來年…祭?」

「ん?その単語は?」

「わかりません?でも、急に浮かんだんです…」

そんなものは死の間際に無かった…もちろん會社でそんなものはない。

「その単語は何かありそうだな」

「しかし、來年は無理ですし、祭もどうすれば?」

「そうだな、たしかに來年は無理だ…しかし、祭はなんとかなりそうだ!」

何か楽しげになったアルテミスにし安心した。

でも、どうするのだろうか?そんなことを考えているうちに寢てしまったのか朝になっていた。

  どーん!

          ドーン!

「なっ⁉︎なんだ、このめちゃくちゃ大きな音は?」

記憶の斷片からさぐり出した答えは…

                                             祭だ

祭の開催を知らせるための花火だ。

俺は慌てて外に出た。

「おはよう!」

「あ、アルテミス」

「その格好は?」

「今回の天界祭は、日本の祭をモチーフにしてもらったんだ」

「似合ってるだろこの浴!」

「いやいやてかなんで、今日が祭って言ってくれなかったんだよ」

「さ、サプライズに決まっているだろ」

「あっ、噓ついた!言うの忘れてただけだろ」

「そんなことはどうでもいい!今は祭だ〜」

俺は、祭のせいかテンションが高いアルテミスに押し切られてしまった。

「君の服は部屋に用意しといたから著替えてくるといい」

「前から気になってたんだけどあの空間からどうやってものや部屋を出してるの?」

「それは簡単だ!私が考えれば出てくる!」

「そ、そうなんだ…」無駄にテンションが高い…

「なんでそんなにテンションが高いのかって考えてるだろ」

「何、ペンダントはつけてるのに⁉︎」

「顔に思いっきり出てるぞ〜クスクス」

いつもの仕事をしているようなキリッとした姿ではなく今日は、無邪気な子供のようなそんなじだ。

「これってもしかしてデートになるんですかね?」

著替え終わった俺は、唐突にアルテミスにそれを言った。

「…そうなるかもしれんな///」

この前のオルフェウスのの時からし俺に対して照れたりする事が多くなった気がする。みんなの前で堂々と発表したからなのか。人でも神でも心はよくわからない。

「どこから回ろうか」

「やっぱり祭りと言ったら屋臺!」

「えっ?屋臺まであるの?」

「勿論だ!完全再現ってやつだ」

「そういえば聞き忘れてたけどこの祭りって毎年あるの?」

「いや?100年に一回だけど?」

「ひ…100ねん‼︎」

そんな祭の容をすぐ変えられるってことはめちゃめちゃすごいんじゃ?怒らせないようにしよ…

「まぁきみが生きていた頃行った祭りとはし違うかもしれないがなるべく楽しもう!」

「そうだな  アルテミス」

そういえば、會社で祭に行ったことあったな。ん?でも確かその時ほとんど來れなくて結局俺ともうひとりだけだったような?誰だっけ…

「いくぞー?」

「今いくよ!」

まぁ、今はそんなことより、アルテミスとの擬似"デート"を楽しむことにしよう。

    人が読んでいる<天界での僕は神様の旦那?>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください