《本日は転ナリ。》24.がーるずとーく?
ガールズトークとやらが始まって、テーブルを囲んで椅子に座ると、早速ほのかさんがを乗り出して莉結に質問を始めた。
「あのさっ、莉結ちゃんは好きな人とかいるの? やっぱり瑠くん? ていうかもう付き合ってたりするの?」
    唐突な話題に、莉結の顔がみるみるうちに赤くなっていった。
「そ、そんなんじゃないよ!    瑠は確かに形で、格好良かったし、格もまぁまぁ悪くないけどさ……私は男の人苦手だから……」
そんな思わぬ莉結の言葉に、私まで顔が熱くなってしまう。それを聞いたほのかさんはわざとらしく口に手を當てると、近所のおばさんみたいな口調でこう言った。
「いやぁっ、男の子にモテモテの癖にイケズだねぇアンタ、だけどねぇ、若いうちに遊んどかなきゃ後悔するよっ?」
「別に私は遊びたいなんて思わないもん。そういう委員長は好きな人、居ないのっ?」
すると委員長はあからさまに揺し始めて、目を泳がせながら答える。
「わっ、私は別にいいじゃん! 好きな人なんて居ないし! やっぱ噓っ、居るけど言えないわっ!」
    どんだけ正直なんだこの人は……なんて呆れていると、「瑠ちゃんは?」と、今度は私に質問が投げ掛けられる。だから嫌なんだよ、こういうの。
「私は……」
「居ないかっ! 転校してきたばっかだし、ロクな男子居ないしねっ! ははははっ」
ほのかさんの笑い聲が炊飯棟に響いた。普段見るほのかさんとの格の違いに、実は酔っ払ってんじゃないか、って思えてきた。
「ちなみに私も男子に興味無いから」
私が敢えてそう言うと、ほのかさんがぎこちない笑顔を見せる。言い方が悪かったかも知れないけど、本當に男子に興味なんて湧くはずが無い。
「えっと……」
    ほのかさんは言葉を詰まらせ、私と莉結に視線を互させた。言いたいことは分かるけど、私は別にどっちでも無い。だって男として生きてきたんだから……男子に異として見られるのはちょっとキツい。
「別にそんなんじゃないよ。それが悪いこととも思わないけど」
その言葉にほのかさんと千優さんの表が固まった。私は會話の止まったテーブルで、何食わぬ顔でカレーの鍋の中を確認する。
「瑠っ、なんか勘違いさせちゃってるって!」
    莉結が慌ててそう言うと、二人はまだぎこちなさの殘る笑顔を見せた。
すると気不味くなったのか、ほのかさんは急に"パン"と手を鳴らして話題を変えてきた。
「そ、そう言えばさっ、瑠ちゃん! 瑠くんっていつ頃退院できそうなのっ?」
    一瞬、何を言っているのか分からなかった。
「えっ、あ……あぁ、瑠ね」
    ふと思い出させられた"現実"が重くのしかかる。そういえば"瑠"はもう戻ってこないんだ……私は瑠なんだもんね。いや……でもこれが本來の自分、あるべき姿なんだ。
「あれ? ごめん。聞かないほうが良かったかな」
「えっ? ごめんごめんっ! 瑠は……瑠はね、大丈夫! きっとすぐ良くなって戻って……來る……から」
    そう言い終わる頃には、私のはギュッと締め付けられ、目からは大粒の涙が溢れ出していた。
「ごめん……トイレっ」
    私はそう言ってその場から逃げ出した。自分では納得出來ていたはずなのに。けれたはずだったのに……まだ"私"は"俺"を諦めきれずに気持ちの整理ができていないんだと知った。
私は、次々と溢れ出る涙を地面に零して薄暗い木々に囲まれた道を走って行った。
そして、莉結と座っていた、あの丘の所でふと足が止まる。
……なんで飛び出して來ちゃったんだろ。だけど……今は誰とも話したくない。
丘からは、私を置いて水平線に沈んでいく夕が、海の端を黃金に輝かせていた。
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