《本日は転ナリ。》39.絵心

メモには、置いてある紙と鉛筆で、夫婦巖のスケッチを描くように記されていた。

普通は先生が待機しているべきなのに、そこには誰も居ない。昨日の朝の件を考えればこんなウォークラリーだって中止にすべきだと思うのに……

そんな事はさておき、莉結は嬉しそうに紙と鉛筆を取り出し、スケッチを描き始めた。

暫くしてスケッチが終わると、子供っぽいとは思ったけど、描いた絵を皆んなで見せ合う事になった。

「せーのっ……」

一斉に見せた夫婦巖のスケッチは、人それぞれ違いはあるけど、みんな上手く描けていたと思う……莉結を除いては。

「えっ、夫婦巖だよね?」

「そうだけど……えっ、何に見えるの?」

「なんかぁ、莉結のお婆ちゃんのおっぱいみたい」

私は真面目に答えたのに、何故だか暫しの沈黙が続いた。

「さっ……行こっか!」

ほのかさんはそう言って足早に歩き出す。

手に持った絵を見つめ続ける莉結は、あからさまにショックをけてしまっているようだった。

「ごめん莉結、別に悪気があった訳じゃなくて……」

「私、昔から絵は苦手なの。自覚してるもん」

それからし気不味い雰囲気になったけど、第二チェックポイントである"絹糸の滝"に到著してから記念寫真を撮ると、私達は次のチェックポイントを目指した。

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