《本日は転ナリ。》46.星空

空には満天の星空。視線を落とせば、空と一化した街の燈りが幾千にも連なってもう一つの天の川が流れているようだった。

「俺…….瑠ちゃんが転校して來た時からずっと……」

……先生の後に続いて歩いて行くと、小高い丘に到著した。夜のひんやりとした風に、微かな木々たちの枝葉のれる音だけが響く。

「えー、今から星の観察を行います。自由行ですが、街燈も無く暗いので、移の際には足元に注意して、この広場の端の方には行かないようにして下さい。また、広場の各所に私達教員が立っていますので、トイレに行きたい人や気分の悪くなった人は、最寄りの教員に聲を掛けるようにして下さい」

拡聲のキーンという音がして電源が切れると、皆が一斉に散らばりだす。頭上にはダークブルーに染まる夜空。そのキャンパスには數えきれない程の星たちがジワジワと朧げなを輝かせていた。その中でも一際輝く金の月。そのまんまるなの球は、キラキラと輝いて辺りを照らしている。

空一面に広がる煌めく漆黒の空間を見て改めて実させられたのは、私達が果てしなく広がり続けている宇宙空間に浮かんだ小さな小さな星の上に居るんだなって事。

「こんな綺麗な星……見たことない」

隣に目をやると、子供のように目を輝かせた莉結がぽかんと口を開いたまま空を見上げていた。

その橫顔が子供の頃の莉結と重なって、なんだか懐かしい気持ちと同時にあの頃の淡い気持ちが込み上げてくる。

あの頃は何をしても楽しくて、目に映る全てが輝いて見えていたっけ。

莉結はたまに何考えてるか分からないし、子供みたいにすぐ拗ねるし、だけどいつでも前向きで純粋で何でも一生懸命で……一緒に居て楽しいし飽きたことも無い。それにいつだって私のことを考えてくれる私にとって一番の……なんだろう。

「ねぇ見て! あの星すっごいキラキラしてるよっ、本當に……綺麗」

莉結は子供のような無邪気な笑顔でそう言った。

シリウス、プロキオン、ペテルギウス……教科書で見た星とは比べものにならない程にその星達はり輝いていた。

瑠ちゃん、ちょっといい?」

靜かに響いたその聲に後ろを振り返ると、そこには真剣な面持ちで私を見つめる健太の姿があった。

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