《本日は転ナリ。》After Story…My Dearest.52
暫く私がベッドの上での気怠さにぼーっとしていると、一階から"お邪魔しまーす"と莉結の聲が聞こえた。
すぐに私の部屋のドアがゆっくりと開けられ、ドアの隙間から莉結が顔を覗かせた。
「早かったね」
『まぁ近いからねっ』
莉結はそう答えながら小さな鞄を床へと下ろすと、ベッドに仰向けになった私の隣へと腰を下ろした。
ふわりといい香りが私を包む。
きっとそれはシャンプーとか洗剤とかそういうのじゃなくて、私にしかわからない莉結の匂い。
すると突然私の額に莉結の手がれた。
『熱は無いみたいだね』
「えっ?    うん。たぶんねぇ、病気とかじゃなくて普通に疲れただけなんだと思う」
そう言って莉結を見ると、莉結はし微笑んで天井を見上げてこう言った。
『私も疲れたよー。たぶん昨日のアレのせいだよねぇ』
「たぶん……ってか絶対そう!    何だろうね、リヴィちゃん」
私がそう言ってから暫く莉結の返事は無かった。
私が不思議に思ってを起こそうとすると、急に莉結の手が私をベッドの上へと押し戻す。
『ねぇ瑠……私は瑠を幸せに出來るのかな』
莉結の長い睫が私の目の前に迫る。
その瞳は何かに怯えているようで……とても寂しいようなをしている。
そんな莉結の目は何だか見たくなくて、私は視線を逸らすとワザとこんな事を言ったのだった。
「できないよ……」
『えっ……そっか』
莉結の顔がゆっくりと遠ざかっていく。
と私は、その悲しげな瞳へと悪戯な笑みを飛ばすと、莉結の肩をぐっと摑んで引き寄せた。
そしてめい一杯にばした両腕で、その華奢な肩を包み込むと、ぎゅぅーっと力を込めて私はこう言う。
「だってもうこんなにも幸せなんだもんっ」
すると、私の元から顔を上げた泣き出してしまいそうな表の莉結が小さい聲で『えっ……』と私の瞳を見つめた。
「前にも言ったでしょ?    "如月瑠は高梨莉結がダイスキです"ってさ。それはずっと前から、ずっとこの先もっ」
『それは私のセリフでしょっ?』
そう言って莉結が笑うと、私を見つめるその大きな瞳から生まれた悲しみの涙が微笑んだ頬を伝った。
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ダンナからのお許しが出たので、書いてみることにしました。 「ぽっちゃり男子」であるうちのダンナの生態と、我が家の日常をのんびりと書いてゆく所存です。 難しい言葉なし。 関西弁。 おやつやすきま時間のお供に、のんびりお楽しみいただければ。 たまに挿絵が入ります。 ※カクヨム・アルファポリスにても同時公開しています。 挿絵のあるページのサブタイトルには、※を入れていきます。
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