《本日は転ナリ。》After Story…My Dearest.54

そこで私が思わず"あっ"と聲をらすと、莉結がクスクスと笑いながら『なにこれっ』と言って私の指に自分の指を絡ませてきた。

そして私が莉結の指を迎えれるようにゆっくりと包み込むと、莉結は優しく微笑みながら天井を見つめて小さな聲でこう言った。

『青春だねっ、私たち』

莉結は視線を天井へと向けたまま、何かを思い浮かべるように微笑んでいる。

「えっ、どうしたのっ?    突然」

私が莉結の視線の先を追見ながらそう呟くと、莉結の手に微かに力がった気がした。

『いいのっ。……私、後悔なんてしないから』

突然そう呟いた莉結の表は、きっと微笑んでいたんだと思う。

だって"私もだよっ"そう答えた私も自然と微笑んでしまったから。

そして私はぼーっと天井を見つめたまま口を開いた。

「何だか思い出しちゃうな。私が瑠だった頃」

『今も瑠なんだけどねっ』

「確かにそうなんだけどさっ、あの頃もこうやってぼーっと天井見て々考えてたなって思い出しちゃった」

『へぇ……瑠くんは何考えてたの?』

「うんとねぇ、"俺は一何なんだろう"とか"何の為に生きてるんだろ"とか?」

『そんな事考えてたんだ……私、瑠の気持ちなんにも知らなかったんだね』

「けど今は違うよ?    自分が何なのか分かったしさ、生きる目的もちゃんと出來たからっ。あれからね、ほんと瑠になって良かったなって思うんだ」

莉結の視線が私へと向けられるのを視界の隅にじた。

『私も最初はびっくりして々悩んだけど、瑠のままだったらこんなに好きになれなかったかもなって思っちゃう』

「えっ?    何で?    男じゃ好きになれなかったってこと?」

私が冗談じりにそう尋ねると、莉結がぎゅっと私の腕にしがみついてきた。

『そうじゃないよ。瑠が瑠のままだったら私、瑠の事"馴染"だからって自分の気持ち抑え込んで、ずっと馴染としてしかいれなかったと思う。だからあの時、瑠瑠になった時、嬉しかったんだ。もう"馴染の男の子"じゃないんだってさ。おかしいよね……けどそれが本心だって分かってたからどんどん気持ち抑えられなくなって……それを"おかしな事"だって自分に言い聞かせて隠そうとして、そんな自分が嫌で、けどやっぱり瑠の事は大好きで……大変だったんだよ?』

「うん……ありがと。莉結が私の事好きになってくれて良かった。私の生きる目的って莉結だからさ。周りの人達に何を言われてもそこだけは変えられないから」

すると私の肩に隠れていた莉結の顔がゆっくりと上げられた。

濡れた睫が私の目に映ると、小さな"か細い"聲が響いた。

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