《本日は転ナリ。》After Story…My Dearest.64
首を傾げたリヴィが私を見つめている。
私自も何に対して疑問を抱いたのかが自分でもよく分からなかった。ただ、漠然とした疑問が私の脳裏に走りそれを口にしてしまったのは確かだ。リヴィの表? 父さんにされていたという事実? 思い浮かぶものはたくさんあったけど、そのどれもがしっくりとくるものではなかった。
……暫く沈黙が続いて店の雑音が鮮明に聞こえ出す。するとリヴィが小さな溜息を吐き、囁くようにそっと口を開いた。
「何故……かしらね。私にも分からないわ。ただ……、私は臆病なだけ。きっと貴は変わらない。変わらないでいてくれると思うのだけれど、私は今が……、曖昧なままの今が心地良いの」
リヴィはまた、空いた皿をジッと見つめている。……時折見せるどこか寂しげな眼差し。
「ごめん、よく分かんないんだけど」
橫から覗き込んだリヴィの視線はかず、私の質問には答えずにその目だけが靜かに微笑んだ。
きっとまたあれだ。自分の中だけで話を進めて一人で勝手に納得してしまう癖。私なんか放っておいて勝手に話を終わらせる悪い癖。それがどうでもいい事なら私も無理に追求もせずにその話を流すのに、リヴィがこうなるのはいつも決まって大事な話の時。そうやって私の中に"気になる木の種"を撒いて自分はさっさと別の場所へと立ち去ってしまうのだ。
私はジッとリヴィを見つめて答えを待った。するとその視線に込められた想いが通じたのか、はたまたただの気紛れか、リヴィが私を一瞥してそっと口を開いた。
「そうね。今は分からないままでいいわ」
"あぁ、やっぱりか"
その返答にまた私はその"種"を心の奧底に埋めて踏み固めようとした。……でもその時、"このままじゃ何も変わらないんじゃない? "って聲が私の頭に響いて……、私は我慢するのをやめた。
「良くないっ」
リヴィの目が私に向けられる。そしてその目は次の言葉を待つように薄っすらと開いて私のへと向けられた。
「そういう曖昧なのもうやめてよ。私がちゃんと納得するまで帰さないから」
するとリヴィの目が真剣な眼差しに変わり、私は言葉を詰まらせてしまいそうになる。だけどここで黙ったら意味が無い。そう思って私はリヴィに負けないくらいの眼差しを返すと、グッと拳を握ってから続けた。
「言いたくないなら聞かないっ。だけど曖昧な返事するようなら全部喋ってよ!」
「ゼンブ? 私は貴の事を思って言っていないだけ。もし……、もしも貴が本心でむのなら私は話してもいいわ。本心でむのなら……ね」
その表を見てじた。リヴィは単純に"言いたくない"なんて簡単なではぐらかしていたんじゃない。私に言ってはいけない、知られてはいけないような何かをに留めているのだと。
返す言葉が思いつかない。噛んだ下からじわりとの味が広がる。
「帰してもらえるって事でいいかしら?」
リヴィの手が伝票立てへとばされる……。そしてその手が一枚の紙切れにれた時、私は「待って!」とその細くしなやかな腕を摑んだ。
後は野となれご令嬢!〜悪役令嬢である妹が婚約破棄されたとばっちりを受けて我が家が沒落したので、わたしは森でサバイバルすることにしました。〜
「すまん、我が家は沒落することになった」 父の衝撃的ひと言から、突然始まるサバイバル。 伯爵家の長女ヴェロニカの人生は順風満帆そのもの。大好きな婚約者もいて將來の幸せも約束された完璧なご令嬢だ。ただ一つの欠點、おかしな妹がいることを除けば……。 妹は小さい頃から自分を前世でプレイしていた乙女ゲームの悪役令嬢であるとの妄想に囚われていた。まるで本気にしていなかった家族であるが、ある日妹の婚約破棄をきっかけに沒落の道を進み始める。 そのとばっちりでヴェロニカも兵士たちに追われることになり、屋敷を出て安全な場所まで逃げようとしたところで、山中で追っ手の兵士に襲われてしまった。あわや慘殺、となるところを偶然通りかかった脫走兵を名乗る男、ロスに助けられる。 追っ手から逃げる中、互いに惹かれあっていく二人だが、ロスにはヴェロニカを愛してはいけない秘密があった。 道中は敵だらけ、生き延びる道はたった一つ。 森の中でサバイバル! 食料は現地調達……! 襲いくる大自然と敵の兵士たちから逃れながらも生き延び続ける! 信じられるのは、銃と己の強い心だけ! ロスから生き抜く術を全て學びとったヴェロニカは最強のサバイバル令嬢となっていく。やがて陰謀に気がついたヴェロニカは、ゲームのシナリオをぶっ壊し運命に逆らい、計略を暴き、失われたもの全てを取り戻すことを決意した。 片手には獲物を、片手には銃を持ち、撃って撃って擊ちまくる白煙漂う物語。 ※この物語を書く前に短編を書きました。相互に若干のネタバレを含みます。またいただいた感想にもネタバレがあるので読まれる際はご注意ください。 ※続編を別作品として投稿しておりましたが、本作品に合流させました。內容としては同じものになります。
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