《ロリっ娘子高生の癖は直せるのか》1-4 「いかにもロリっ娘な行で萌えるでしょ?」

「ふぅ、ここまで來ればもう大丈夫だろ」

「ぐすん……。あたしもうお嫁に行けない……」

保育園前から逃げるように歩き、差點を曲がって細い路地へる。

堂庭は手で顔を覆い、半泣き狀態だった。

ちなみに暴走狀態になっても彼は記憶が失わないようで、我に帰ると自を悔やんで反省している。悔やむぐらいだったら最初から変質者みたいな行為をするなってじだが。

それととにかく気持ち悪いのでいい加減自重してもらいたいものである。

「なんであんな馬鹿やったんだろ……。はぁ、今のあたしは賢者の時間にいるのかしらね……」

「あながち間違ってはいないと思うが……。一応の子なんだしそういう発言はやめようぜ」

「一応が余計よ……。ってかさっきびまくったせいで凄くが渇いたんだけど」

力狀態である今の堂庭には俺に歯向かう余裕も無いようで、口をパクパクさせていた。

「お、そこに自販機あるじゃん。あそこで何か買ったらどうだ?」

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前方の道端に一臺の自販機発見。実に丁度いいタイミングだ。

だが、その自販機は土臺のせいで地面から高い位置に設置されていた。

平均的な長である俺なら何の問題もない高さであるが、小學生型の堂庭では間違いなく支障が出る。

自販機の前へ立ち止まり、堂庭は顔を見上げ、並んでいる商品をしていた。

そして決まったのか財布から小銭を取り出し自販機へ投する。そして……。

ぴょん、ぴょん。

堂庭は目當てのボタンを押そうと飛び跳ねるが、惜しくも屆かない。

しかった飲みはどうやら一番上の段にあるようだ。

「なんのこれしき……! ひょおっ!」

「無理しないでいいから。どれがしいんだ? 押してやるから」

「それは駄目」

俺が救いの手を差しべたにもかかわらず、堂庭は真っ向から切り捨てた。

いや、ここで変なプライド見せつけなくてもいいから……。背がコンプレックスなのは分かるが。

「敢えてロリっぽい事しているんだから邪魔しないで」

「はい……?」

「自販機で飲み買いたいけどボタンが高くて屆かないなんて……いかにもロリっ娘な行で萌えるでしょ?」

ちょっと言ってる意味がよく分からないが、俺の助けは不要だと言いたいらしい。

あと何故だか彼は嬉しそうに微笑んでいた。ったくロリコンの考えてる事はよく分からないな。

それから數分間にわたり、堂庭は自販機の前でぴょんぴょん飛び跳ねていた。

腰元までびるツインテールがヌンチャクの如く荒ぶっている。その姿を俺は傍らで観察していたが……。

なんだこの狀況?

ってかいつまで続けるの?

そしてようやく堂庭の指先がボタンに屆いた。ゴロンと勢いよくペットボトルが落ちてくる。

「お前水がしかったのか」

やれやれと俺が聲を掛けると、堂庭はこちらを見向きもせず取出し口へ落ちてきた天然水をじっと見つめていた。

「……な訳ないでしょ」

「え?」

「あたしがしかったのは隣のヲンダの極・BLACKの方よ!」

「あぁやっぱり……」

微笑みが一転。ご機嫌が斜めに傾いてしまった堂庭。

どうやら彼しかったのはミネラルたっぷりの天然水ではなく苦味たっぷりのブラックコーヒーだったらしい。

ちなみに彼は大のコーヒー好きだ。しかも「砂糖やミルクがったらコーヒーではない」と主張し、ブラックしか飲まないそうだ。

中學の時、俺が苦くて飲めなかった微糖のコーヒーを堂庭にあげたところ、鬼の形相で説教され、堂庭流コーヒーの定義について教え込まれた次第である。

ってかロリっ娘っぽい行とか言ってたくせにブラックコーヒー飲んでいいのかよとツッコミたくなるが、そこは気にしてはいけない箇所だ。そう、気にしてはいけない。

「もう最悪……。普通コーヒーは一番下か、二段目に置くもんでしょ。業者の人が悪いのよこれは」

なんて理不盡な……。業者カワイソス。だがまあ堂庭の言い分もしは納得できる。

自販機に置く飲の順番はある程度規則があるのだ。そして缶コーヒーは目に留まりやすい下段に配置されることが多い。

ちなみに周辺の地域を考慮して取り扱う飲の種類も変えるそうだ。

例えば団地の中ならジュースを増やしたり、工場やオフィス街なら缶コーヒーを中心とするといった合だ。

っとそんな事より堂庭は間違って水を買ったんだっけ。

こんな事になるなら無理矢理でも俺が代わりにボタンを押しておけば……。

悔いが殘るが俺は彼へ聲を掛ける。

「そこどけ。……目當てのコーヒー買ってやるから」

「え? 本當!? 晴流のくせに気が利くじゃない」

「一言余計だ」

し見上げて商品を確認し、目の高さにあるボタンを押す。

うむ。この自販機は確かに高いな。

取出し口へ落ちてきたコーヒーを堂庭へ渡すと彼はニッコリ笑って「ありがとう」と言う。

「じゃあこの水はいらないから、あんたにあげるね」

「はぁ!? 俺もいらねぇよ」

どうぞとばかりにペットボトルの天然水を差し出してくる堂庭。

その顔は笑顔だが……。こいついらない荷を俺に押し付けたいだけだろ。

「いいからけ取って。あたしはコーヒーを貰ったんだから何かお返ししないと不平等じゃない?」

「いや、その理屈はおかしいと思うぞ」

「ごたごた言ってないでとっととけ取る!」

「ぐはっ」

ペットボトルの底で鳩尾みぞおちを毆られた。

俺の主張はガン無視かよ……。

仕方なく堂庭から天然水をけ取り、俺達は家を目指して再度歩き出した。

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