《ロリっ娘子高生の癖は直せるのか》1-5 「あ、ありがとうございます」

プルルルルル。

堂庭に鳩尾を毆られ、腹の痛みを伴うことになった帰り道。

不意に俺のポケットから著信音が聞こえてくる。どうやら電話のようだ。

スマホを取り出し、畫面を確認する。

『舞奈海』

呼び出し相手として表示されたその三文字を確認した後、俺は応答ボタンをタッチした。

「……もしもし」

「あ、もしもしお兄ちゃん? 今どこ? 帰ってる途中?」

「あぁ。その通りだ」

「なら良かった! さっきね。ママがおつかい頼みたいって言っててね」

「え? 俺にか?」

「そうそう。夕飯はカレーにするって言ってたけど人參と玉ねぎが無いから買ってきてしいって言ってた!」

「また俺をパシリに使うのか母さんは……。まあいい。帰りに買ってくるから」

「ありがとうお兄ちゃん! じゃあねー」

言わずも知れた、妹からの著信だった。

「ねぇねぇ今の電話舞奈海たんから? 何であたしに代わってくれなかったのよぉ」

「お前には用は無かったんだよ。ってかキモいから舞奈海にその呼び名はやめろ」

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堂庭が甘い聲で俺に詰め寄ってくる。――舞奈海に対してだが。

宮ヶ谷舞奈海。俺のたった一人の兄妹だ。

舞奈海は今年小學三年生になり、心共にすくすくと長しているが年相応でまだである。

そして堂庭はそんな俺の妹を溺している。

その溺っぷりは何年も昔からで、ロリコンという確固たる証拠でもあったのだが、俺は堂庭を単に面倒見のよい奴としか思っていなかった。

だがそんな堂庭から異常に可がられる當の妹、舞奈海は彼を極度に嫌がっている。

舞奈海曰わくベタベタと抱きついてくる堂庭がとにかく気持ち悪いのだとか。

そのためこの二人を會わせると非常に厄介なのである。俺が。

的には酔っ払いオヤジ達のケンカの仲介をする位厄介だと思う。

……やった事はないけど。

あと一つ面白いことに舞奈海と堂庭は小學生と高校生という年の差にも関わらず、長、見た目にその差は全くじられない。

飴でもあげれば二人ともほいほい付いていってしまいそうな程である。

「で、結局何の電話だったのよ」

「買いして帰ってこいってさ。要はパシリだな」

「そっかー。……ドンマイ!」

笑顔でウインクする堂庭。

く、毆りたいこの笑顔。

人の不幸をドヤ顔で喜ぶ堂庭を橫目に、俺はスーパーへ向かうため彼と二手に分かれた。

「ん、あの子何してるんだ?」

近道をしようと狹い路地を歩いていると、一人のの子が道端に座り込んでいた。

その子は俺と同じ高校の制服を著ていて……ってどこか覚えのあるシチュエーションだな。

は黒でロング丈。は雪のように白く、夕焼けの眩しいに反して驚くほどに綺麗だ。

そしての子はその細くて小さな手を額に當てている。――合が悪いのだろうか。

周囲に人もいないし、放っておくわけにもいかないだろう。近づいて聲を掛けてみる。

「あの……どうかされました?」

「きゃっ!」

の子は悲鳴を上げる。

やめてくれ。俺は善意で聲を掛けているだけだ。事案にされたらたまったもんじゃない。

「ご……ごめんなさい。ちょっと貧なだけなので……」

の子はこちらに目線を合わせず、俯いたまま答えた。

聲もか細くてし聞き取りにくい。

「そうだったんですか。――あ、じゃあ」

あることに気づく俺。肩掛けのカバンに手を突っ込んで一本のペットボトルを取り出した。

「良かったらこれ……。迷かもしれませんが飲んだらし楽になるかも……」

俺は堂庭から(強制的に)け取った天然水をの子に差し出した。

決していらない荷を押しつけたいとかそんな思いで差し出した訳では無い。

紳士的に行しているんですよ俺は。

「……? あ、ありがとうございます……」

の子はこちらを振り向き、差し出した天然水をけ取った。

顔は真っ赤で弱々しい。本當に大丈夫なのかな……。

「あ、あの。私はこれで……」

の子は俺から目線をずらして呟くと、すっと立ち上がる。

だが、結構勢い良く立ち上がったからなのか、の子はふらふらしている。目眩を起こしてしまったようだ。

「ほら、もうし休んだ方がいいですよ」

「いや、私はだいじょう……」

「…………なっ!」

言いかけたの子の意識は朦朧もうろうとしており、力無く倒れていく。

それは俺の方向で……。

ぼふっ。

の子の頭が俺のに當たり、著する。

「お、おい!? 大丈夫!?」

聲を掛けるがの子から反応は無い。

気を失っているらしく、の子が橫に倒れそうになったので俺は慌てて手をばして支える。

「取り敢えず……ど、ど、どどどどうしよう!?」

何だよこれ!?

俺は今……見知らぬの子を抱いている、だと!?

自分の元には今、の子の頭がある。シャンプーの良い香りがする。

ヤバい、酔う。このままじゃ俺の頭がおかしくなる。

だからと言って今の子から手を離せば、彼は地面に倒れてケガをしてしまうだろう。

辺りを見回したが助けを呼ぼうにも路地だし人が全然通らない。

マジでどうしよう……。

この狀況は恐らく數分続いた。

俺は途方に暮れていたが、の子が目を覚ましたため、一応この雙方共に危険な狀況から打破することはできた。――助かった、のか?

「あ! あわわわわわわ……」

目が覚め、事態に気づいたの子は顔を真っ赤にして口を震わせていた。

やはりか……。目が覚めたら抱擁されているんだもんな。驚かない訳がない。

「ご、ごごごごめんなさいっ!」

の子は謝ると、慌てて俺から離れる。

「い、いや。べ、別に全然大丈夫だから……」

と言いつつも、揺が収まらない俺。恐らく顔も赤くなっているに違いない。

大丈夫か?

変態と思われて通報されたりしないか……?

「ほ、本當にすみませんでした!」

「あ、ちょっと……」

の子は深くお辭儀して改めて謝ると、逃げるように去っていってしまった。

これは俺……平気なパターンの奴?

それともお前はもう死んでいるって奴?

一人取り殘された俺は、狀況を飲み込むことで一杯になりしばらくの間、ぽつんと突っ立っていた。

「あれー? お兄ちゃん、大仏チップスが見當たらないけど、ちゃんと買ってきたの?」

「……あ、忘れてた」

「えー! 楽しみにしてたのにぃ! お兄ちゃんの馬鹿ぁ」

頼まれた買いをして家に帰った俺。早々に妹から怒りをぶつけられていた。

実は堂庭と別れてから電話があって舞奈海から大仏チップスというお菓子を買ってくるように言われていたのだ。

でも直前に見知らぬの子を介抱するなんてレアイベント來てたし思考回路パンクしてたから仕方ないよね。他はちゃんと忘れることなく買ってきたんだから逆に褒めてほしいよね。

……と言えるはずもなく。

「すまないな。今度二つ買ってきてやるから許してくれ」

「むぅ……。仕方ないなぁ。でも絶対買ってくるんだよ! 約束だからね!」

「はいはい」

舞奈海は不服そうな顔をしていたが、俺の妥協案には応じてくれたようだ。

とりあえず小さい子は質より量を提示すれば納得するらしい。

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