《ロリっ娘子高生の癖は直せるのか》1-6 「…………駄目?」

堂庭と見知らぬの子から抱かれるという一見、ぜろリア充とびたくなる程、羨まけしからんだった昨日。

そして今日という今日もいつも通り俺は授業を居眠りで過ごし、堂庭に毆られて晝休みを迎えていた。

「なあ宮ヶ谷。お前にとびきりの報教えてやんよ」

「ん……報?」

平沼と機を向かいに合わせ、黙々と弁當を食べていると彼は嬉しそうな顔をして俺に話し掛けてきた。

「友達からの噂話なんだけどさ、俺が仕れた報だから事実だと思って聞いてくれ!」

「あー、そういえば平沼は來週日曜のサイン會行く?」

「あぁもちろん行くとも。……っておい! 俺の話! まだ俺のターンだっての!」

両手で機を叩きながら平沼は抗議を申し立てる。

「なら余計な事言わずにとっとと話せ」

「むむぅ……」

平沼は俺の返事に対し不服な顔をしていたが、文句は言わず本題を切り出した。

「よぉく聞いとけよ。……近々転校生が來るらしい」

「へー」

「え、ちょっ。反応薄くね!?」

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俺の素っ気ない返事が期待外れだったのか、がっくりと肩を落とす平沼。

いや、実際あまり興味無いしどうでもいいしな。

「ここはさ、それマジ?どんな子? 可い?とか聞くべきとこじゃね!? つか気になるくね!?」

「いやー別に気になるくならねーわー」

つか気になるくね?って日本語おかしくね?

「宮ヶ谷は本當に釣れない奴だな。堂庭ちゃんがいるからって現狀に満足してちゃ駄目だぞ!」

「だが下手に行して現狀の方が良かったって後悔したくないけどな。……誰かさんのように」

「ちょ! それ俺の事か!? 川さんの話はもうやめてくれよな!」

「なら堂庭を話に引っ張り出すのもやめてくれないかな」

俯く平沼の顔を見て俺はし勝ち誇った気持ちになる。

だが同時に罪悪もあったりする。

ちょっと言い過ぎたかな。

なら俺の良心で話のパイプを繋いでみるとするか。

「さっきの話だが……。その転校生って俺らのクラスに來るのか?」

「お! 宮ヶ谷、お前やっぱり気になってんじゃん! もう素直じゃないんだから」

込み上げる笑いを抑えるように話す平沼。

あぁ、俺は何も言わない方が良かったかな。

「やかましいわ。で、ウチのクラスに來るのかよ?」

「いやぁ申し訳ないんだが、それは分からないんだよなぁ」

分からねぇのかよ!?

でもまあ噂話だしな。どこのクラスになるのかは分からなくても仕方ないか。

「んーじゃあ學年は?」

「それも分からん」

……え?

「……男??」

「分からん」

「よし、俺ちょっとジュース買ってくるわ」

俺の良心終了。

なんだよその報。一切特徴が分からないとか報ですらないじゃないか。呆れても言えない。

立ち上がる俺に平沼はちょっと待てと止めにる。

「そうそう! その転校生なんだけどさ、滅茶苦茶可いって言ってた。マジで!」

あーもう駄目だこいつ。早く何とかしないと。

「ねぇ今度の土曜暇?」

放課後、帰り支度をしていた俺に堂庭が聲を掛けてきた。

「んー、確かに暇だな」

「やっぱりそう言うと思った」

なら聞くなよ。

それか何だ? 俺がつまらない暇人ってことを皮で言ってきたのかこいつは?

目を細める俺に対し、堂庭は楽しそうに話を続ける。

「じゃあ勉強會しようよ! テストも近いしさ!」

「……は?」

堂庭は勉強があまり好きではない、というか嫌いなはずなのに突然何言っているんだ?

「頭でもぶつけたか? 保健室行って診てもらった方がいいぞ」

「失禮ね! ……あたしだって危機とかそういうのはあるのよ」

「へー」

去年は「赤點さえ取らなければ何でもいい」と言って、績やテストの點數に関してはクラスで一番の楽観主義者だった堂庭が危機だと?

「どういう風の吹き回しだか知らんが、俺は別に構わないぞ」

「マジ!? じゃあ」

「でも俺なんかでいいのか?」

「え?」

堂庭はポツンと目を丸くしていた。

いや、普通に考えて勉強を教えてほしいなら俺なんかじゃなくて別の人間に頼んだ方がいいと思うのだ。

俺の績は平均以上で決して悪くないと自負しているが、他人に教えられるかと言われればそこまでのレベルでは無い。

そもそも教えたことなんて無いしな。

「お前友達多いんだから他に頼める奴いるだろ?」

「いやまあそうなんだけど……」

何故そこでためらう!?

堂庭は一応クラス委員長だし、持ち前の明るさから友達はかなり多い。

「その……晴流の家で勉強したいなって思って」

「な、なんですと!?」

頬を赤らめて恥ずかしそうに懇願する堂庭。

やはり今日のこいつはおかしい。本當に熱でもあるんじゃないか?

「…………駄目?」

「……好きにしろ」

「やったー! じゃあ土曜にそっちに行くからよろしくね!」

「はいはい」

必然的に上目遣いになるのは、もう堂庭の武と言っても過言ではないだろう。

、恐るべし。

土曜日。俺は朝から舞奈海を説得する作業に追われていた。

「瑛りんが家に來るとか本當に無理なんだけど!」

「斷ろうとしても駄目だったんだよ!」

舞奈海は堂庭の事を瑛りんと呼んでいる。お前ら仲良し同級生かよ。

「嫌なら今日は外で遊んで來い。堂庭にはお晝までに帰ってもらうように言っとくから」

堂庭から午前中に來ると言われているのだ。だからのんびり言い爭っている暇もないのだが……。

「何で私が家から出なきゃいけないの? ここは私の家なんだよ!」

「もう何言ってもあいつは家に來るはずだぞ。會いたくないなら外に出てろ」

「そしたら負けた気がするもん! 私は絶対に家から出ない!」

「お前は引きこもりのニートか!」

しかし困った。二人はできるだけ近づけたくない。

早くしないと本當に堂庭が……。

ピンポーン。

高らかな機械音が家に鳴り響く。

「は!? もう來たのか!?」

「え! 待ってよ私まだこんな格好なんだけど!」

Tシャツ一枚姿の舞奈海はあたふたしている。これを堂庭に見られてしまえば間違いなくとんでもないことになる。

「舞奈海! とりあえずお前は自分の部屋に篭ってろ!」

「うん、分かった!」

舞奈海も相當焦っているのか、素早く俺の部屋から出て行った。

「晴流ー! 瑛ちゃんが來てるわよー」

「今行くー」

玄関の方角から母の聲が聞こえる。

不安が拭えない中、俺は急いで階段を駆け下りた。

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