《ロリっ娘子高生の癖は直せるのか》1-8 「萌えないわ」
「舞奈海!? どうしてここに」
「えっとね。そっちが急に靜かになったから気になって」
「あぁ。なるほど」
舞奈海は部屋の様子を伺いに來たらしい。
俺は堂庭が寢ている事を告げ、部屋にるように促した。
今の狀況ならこの二人を近づけても問題ないだろうし、久々の顔合わせも大切だろう。
舞奈海は恐る恐る部屋にると、まるで獣を見るかのように堂庭の顔を覗き込んだ。
「瑛りん全然変わってないね」
「……だろうな」
堂庭と舞奈海が最後に會ったのは多分五年前のはずだ。
その頃と比べても堂庭の見た目に変化が無いとなると、もう彼の長は致命的だろう。
もう悲しすぎて同したくもなるが、堂庭は自の格をコンプレックスとじない上、ロリっぽいとか言って逆に喜んでるからな。ロリコンの考えてる事はよく分からない。
「てかお前著替えたんだな」
「瑛りん來てるし一応、ね」
舞奈海の格好は先程のTシャツ一枚からピンクのワンピースに変わっていた。これなら萬が一の事があっても何とかなるか。
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すやすやと眠る堂庭と橫に立つ舞奈海。二人を見比べて俺は思ったことを口にする。
「長はほとんど変わらなくなったんじゃないか?」
「うーん。でも流石にまだ瑛りんの方が高いでしょ。私まだ百三十センチだし」
「ちょっと待て。……これはマジで舞奈海の方が長高い可能あるぞ」
「マジっすかお兄ちゃん」
堂庭も確か長は百三十センチ臺のはずだ。今度何センチなのか聞いてみるか。
「でも瑛りんの寢顔は結構可いね」
「一つ言っておくが、こいつは俺と同じ高二だからな? 舞奈海にとっては年が八つ離れたお姉さんなんだからな?」
「もう、わかってるってば」
そう言いつつも堂庭の寢顔を覗きこんではクスクスと笑っている舞奈海。
もう舞奈海の奴は堂庭を怖がっていないようだ。
しかも友達に悪戯を仕掛けたかのように楽しげな顔を浮かべている。
舞奈海はしばらくの間、堂庭の顔を至近距離で見つめていた。そんなに寢顔を見て楽しいのだろうか。
「はっ! この匂いはまさか!?」
「きゃあぁぁ!」
すやすやと寢ていた堂庭だったが突然目を見開き、一聲んだ。なんだよこいつ。鳩時計か何かかよ。
舞奈海は驚いて後ずさり、俺の背中にしがみついた。
「ねえお兄ちゃんどうしよう! どうしよう!」
「お前さっきの余裕はどうしたんだよ」
しがみつく手が震えているのが分かる。舞奈海はかなり揺しているようだ。
「舞奈海たんの匂いがした! オレンジと鰆を混ぜた味!」
「だからイメージしにくい例えはやめろ」
「私そんなに臭くないもん!」
舞奈海もここぞとばかりに反論する。
まあ確かに臭そうなじはする。なくとも魚類はいいイメージがしない。
「舞奈海たんは良い匂いだよぉ! だからもっとお姉ちゃんに甘えよう?」
「い、いやあぁぁぁ!!」
舞奈海はまるで不審者に遭遇したかのように泣きんでいる。
はぁ、騒がしくなってきたな。
「もうじれったいんだから……ってあれ? 舞奈海たん大きすぎない?」
「え?」
疑問が被る俺と舞奈海。
「背が……舞奈海たんの背がびちゃってるよおぉ!」
「そら何年も経ってるから當たり前だろ」
言ってる本人の長は全く変わってないため、舞奈海の長合に驚いたというのか?
「萌えないわ」
「は?」
「これじゃ……ロリが足りないわ! 舞奈海たんじゃなくなっちゃうわ!」
「いや舞奈海は舞奈海だから」
何かよくわからないが慌てている堂庭。
小三の舞奈海はロリ……ではないのか?
「お前、今の舞奈海は駄目って事なのか?」
「そうね……。分かりやすくいうとっぽさが無いのよ」
「お前対象年齢低すぎだろ!」
プロ野球選手も涙目になる程、狹いストライクゾーンだなおい。
舞奈海も十分い見た目だが堂庭的にはもう駄目らしい。
まあそれはそれでいいんだ。二人が絡む事も無くなる訳だしな。俺の厄介事も減ったわけだし。
「そっか。じゃあこれからは仲良く二人で……」
「でも舞奈海たんは可いからとりま抱きついちゃお!」
「っておい!」
「ひ、ひゃあああぁぁ!」
結局変わんねえじゃねぇか。
堂庭は嫌がる舞奈海に無理矢理抱きついてのげなをりまくっていた。
「これ、別違ってたら完全に事案だな」
堂庭が男だったら即刻叩き出して通報してやるのに、このロリコン。
「嫌がるとこも素敵だなぁ舞奈海たんは」
「いやぁぁ! お兄ちゃん助けてよおぉぉ!」
小學生同士のじゃれあいにしか見えないこの事案は、堂庭が飽きるまでしばらく続いた。
「じゃあね晴流に舞奈海たん! また遊びに來るからね!」
「お前マジで嬉しそうだな」
舞奈海と會ってからのこいつのテンションは異常だ。
じゃないと言っておきながら、思いっきり楽しんでいた。一方的に。
「瑛りんはもう二度と來ないで!」
(一応)見送りに來た舞奈海が橫から反論する。
「お? それはフリ? 舞奈海たんも蕓が分かってきたお年頃?」
「はぁ……。とりあえずお前は帰れ。そしてテスト勉強しろ」
「むぅ……。何か今日の晴流怖くない?」
「お前のテンションの方が怖ぇよ」
ロリコンモード全開時の堂庭はツンツン要素が消えてまるで別人のようになってしまう。
どうしようもないというか、だらしないというか。
そんな堂庭の対応はちょっと面倒だったりするのだ。
「じゃまた月曜日~!」
堂庭は髪を揺らしながら気に去っていった。
ふぅ、厄介者もやっといなくなってくれたな。
「ねぇお兄ちゃん。私思ったんだけどさ」
「ん、何だ」
「今日のお兄ちゃんって結構しっかりしてたじゃん?」
「まああいつが暴走したら俺しか止められないからな」
仮に俺が何もせず見過ごしていたらどうなるんだろう。
……舞奈海の貞が危うくなりそうだな。怖すぎるので想像はしない事にしよう。
「でも學校での瑛りんは意外とまともでお兄ちゃんはよく怒られるんでしょ?」
「どこからその報聞いた? ……確かに事実だが。よく叩き起こされるし」
「つまり私はこう考えたんだよお兄ちゃん!」
聲を張り上げ、舞奈海は指を俺に向けて突き立てる。
「お兄ちゃんが常にだらしなければ瑛りんは私に寄り付かなくなるはず!」
「おお! 舞奈海頭いいな! ……ってなるかよおい!」
逆転の発想とはよく言ったものである。
俺がしっかりすると堂庭は暴走する。つまり俺がだらしなければ堂庭がまともになると考えたか。
でもそんな簡単にできるなら、堂庭はとっくにロリコンを卒業しているはずだろう。
「舞奈海。……人生ってのはそんなに上手くいかないもんなんだぜ」
「な! お兄ちゃんがそれ言うとなんか納得しちゃうんだけど」
「あいつは……ただ者じゃねぇからな」
堂庭のロリコン合はラスボスレベルだと思う。
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