《ロリっ娘子高生の癖は直せるのか》1-11 「勝手な事はしちゃ駄目よ」
「私、今のお姉ちゃんの姿に耐えられなくて、もう目も當てられないです」
「はは、だろうな……」
堂庭の奴、酷い言われようだな。
だが堂庭が暴走した時のヤバさは事実でもある。
「お姉ちゃんのロリコン……直してくれませんか?」
「俺が……か?」
手を重ね、必死にこちらを見つめる桜ちゃん。
「もちろん私もお手伝いしますので。……このままじゃお姉ちゃんはお嫁にも行けなくなっちゃうと思うんですよ!」
「まあそうだな……」
しかし何てしっかりした妹なのだろう。
姉の癖を気にかける妹だなんて……。
なんだか悲しくなってくる。
「お兄さんは中學の時からお姉ちゃんと一緒ですし、私なんかより々知ってると思うんです」
「あぁ……。堂庭の黒歴史は數多くあるぞ」
最近だと保育園前抱きつき事案が強烈だったな。
周りの目が本當に痛かったよあれは……。
「協力……してくれますよね?」
俺が堂庭あいつのロリコン屬を直す……。
今まで考える事すら無かったが、こう言われれば俺は答えるしかない。
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「……分かった。俺に出來ることなら何でも言ってくれ」
「えへへ。流石晴流にぃ……じゃなくてお兄さん!」
正直俺に何ができるか分からない。
言葉一つですぐにから興味を無くすほど堂庭は簡単な奴では無いのだ。
はっきり言って堂庭がロリコンを辭めるなんて有り得ないと思う。
だが桜ちゃんも被害をけてるなら、もう俺だけの話ではない。
俺は良くても桜ちゃんが嫌がっているのだ。
堂庭のロリコンのせいで姉妹の仲が壊れるというのなら、このまま見過ごす訳にはいかない。
奴のロリコンを直そう。この時から俺は心に誓ったのだった。
「お前の言ってた転校生って本當だったんだな!」
「…………えっ!?」
翌日。俺は教室にるなり、平沼に激勵の言葉をかけていた。
「まさかお前の言ってた転校生が本當の話でしかも桜ちゃんだったとはな!」
「お、おう。……まったく俺の信頼をナメちゃ駄目だぜ!」
平沼は何故か揺した様子だったが、俺の言葉を聞いてすぐに調子に乗り始めた。ちょろい奴だ。
「で、桜ちゃんって誰だ? お前の知り合いなの?」
「うーん。馴染って所だな。堂庭の妹だし」
「堂庭ちゃんの妹!? 堂庭ちゃんに妹いたのかよ!?」
「ちょっ、うるさいから」
平沼はを乗り出して問い詰めてくる。そんなに興味ある事か?
「妹で転校生って事は高一か? でもまだ四月だぜ? 學したばっかじゃ……」
「それは俺も気になってるんだよなぁ」
鶴岡學園に學して一ヶ月足らずで転校。
桜ちゃんは自分の我が儘でと言っていたが、どういう訳があったのだろうか。
「……誰だあの子は? もしかして噂をすればって奴?」
平沼は教室の口の方に視線を向けていた。
俺もつられて同じ方向を見てみる。
「って本當に桜ちゃんじゃん!」
桜ちゃんは教室の扉から中を覗くように見ていたが、その姿は周囲から完全に浮いていた。
とりわけ可いがビクビクしながら様子を窺っているのである。
周りにいる多くの生徒が桜ちゃんを不思議な目で見ていた。
すると間もなく、俺は桜ちゃんと目が合い、彼は花が咲くように笑顔になった。
「あの子が堂庭ちゃんの妹かよ」
平沼は珍しそうに見つめていた。
俺は桜ちゃんに向かって手招きすると、彼はまたニコッと微笑んでこちらに駆け寄ってきた。
「ごめんなさい。……急に押しかけてしまって」
「いや全然構わないけど。何か用があったの?」
「あ、別に用があった訳じゃないんですけど……。お兄さんのクラスが分かったのでちょっと遊びに行こうかなって思って……」
顔を赤らめて恥ずかしそうに話す桜ちゃん。
「おい宮ヶ谷ちょっと待て。お前この子とどういう関係なんだよ!」
平沼が話に割ってる。
「だからただの馴染だっつってんだろ。さっきの話聞いてなかったのか?」
「聞いてるわ! 俺が言いたいのは堂庭ちゃんという嫁がいるのに、その妹まで手を出すのは男としてどうだんだよって事で」
「待て待て。どうしたら俺がそんな二かけてるゲスな野郎にみえるんだよ!」
「そりゃ誰が見てもそう思うだろうが。単なる馴染が甘い聲で「遊びに行こうかなっ」なんて言う訳ないだろうが!」
聲を荒げ、喧嘩腰になる平沼。何故そんなに怒っているのだろうか。
「あ、あの……その……私は……」
桜ちゃんは揺のあまり、聲も出せなくなってしまっている。
「いくら馴染とはいえ姉妹の両方に手を出すとか邪道だぞ! この不倫やろってぐはぁ!?」
「あたしは晴流の嫁なんかじゃないわ。平沼君、今度言ったら背骨をへし折ってあげるわよ」
突如現れた堂庭は平沼の背中にパンチをかました後、鋭く目をらせて彼を睨んだ。
「わかったわかりました堂庭様……。っつかガチで痛いんですけど」
「平沼大丈夫かー? 保健室行くかー?」
「いや保健室より……救急車を呼んでほしいかな……」
背中を押さえてもがく平沼を見て、俺は思わず苦笑いをする。これは痛そうだ。
「桜は男の子に慣れてないの。目の前で大聲だしたら怖がっちゃうでしょうが」
「ぐは……サ、サーセン」
「それに晴流は事知ってるんだから言い爭いに乗っかっちゃ駄目でしょ!」
「す、すまない……」
俺と平沼の間にり、てきぱきと正論を言ってくる堂庭。
やはり學校での堂庭はしっかり者だ。姉らしく妹を守っているんだな。
「あと桜。あなたには々言いたい事があるんだけど」
「え、私……?」
「ここは晴流のクラスだけど、あたしのクラスでもあるの。お姉ちゃんを差し置いて勝手に晴流とイチャイチャするなんて許さないわよ」
「お、おい堂庭。別に俺は桜ちゃんとイチャついてなんか」
「晴流は黙ってて! あたしは今桜と話しているの!」
鬼のような形相で睨まれた。怒ってる子って怖ぇ。
「晴流がお見舞いに來てくれた時に々話したんでしょ? クラスを言わなかったのは悪いと思ってるけど……。勝手な事はしちゃ駄目よ!」
「ごめんなさいお姉ちゃん……」
長差があるため、見下ろす形で謝る桜ちゃん。……一応姉は背が低い堂庭の方です。
「用がないなら早く自分のクラスに戻りなさい。ここには薄汚いオス犬しかいないから、か弱い乙は危険よ」
こいつさらりとクラスの男子を敵に回したな。クラス委員長務めてるのにその発言大丈夫なのかよ。
「分かった……。でも最後に十秒だけ時間もらっていい?」
「え? 別にいいけど……」
すると桜ちゃんは俺のすぐ側に駆け寄ってくる。俺に用があるのか?
そして吐息をじられる距離まで近づいた桜ちゃんは、耳元でこう囁ささやいた。
「私、諦めてませんからね」
一歩引いて小悪魔を思わせるような笑みを浮かべた桜ちゃんは、小走りで教室から去っていった。
不思議そうにこちらを見つめる堂庭と毆られた背中を押さえつつもニヤケ顔の平沼。
俺の脳では囁かれた桜ちゃんの言葉がぐるぐるとループしていた。
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