《ロリっ娘子高生の癖は直せるのか》2-6 「ナナキュッパじゃと!?」

日曜日の朝。

今日は普段より三時間も早く起きてしまった。というか目が覚めてしまった。

部屋には誰もいないのに俺は今、凄く張している。

何故なら今日は修善寺さんとデートをする日だからだ。理由はどうであれ、の子と二人で遊ぶなんて人生初のイベントである。あ、堂庭はノーカウントだぞ。あいつは馴染みだし、子だけど何というか……そういう目で見ていないんだよな。

あーもうどうしよう……。無論、俺は今日のデートが上手くいくように々考えていた。

修善寺さんと何を話す? 共通の話題は? 趣味は何だろう……。

そしてもう一つ大きな悩みの種がある。

それは不良を演じるという事。

口調とか態度をワルらしくすれば良いと思うのだが、修善寺さんに恥をかかせてはいけない。何しろ相手は修善寺財閥とやらの令嬢なのだ。

俺が何かしでかしたら一家を巻き込む大慘事にりかねない。

そもそも不良とデートするという時點で既に大問題な気がするのだが、そこは知らなかったフリにしておこう。

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はぁ……。思わず溜息がこぼれる。

嬉しいのか嫌なのか分からない複雑な気分だな。

でもどっちにしろ今日は修善寺さんとデートしなくてはいけないのだし、前向きに考えていくか。行ったらどうにかなるだろ。

自分に大丈夫と言い聞かせ、クローゼットの扉を開き今日著ていく服を選ぶ。だが俺はこの時思わぬ落としに気付いた。

マシな服がねぇ!!

ファッションなんて一切興味がない俺が持っている私服は、某料品店で買った二千円のジーンズやスーパーのワゴンに山積みになった在庫処分のTシャツくらいだ。

考えてみれば、お嬢様と遊ぶのに相応しい服なんてここにあるはずが無かったのだ。

くそ、俺にリア充かホストクラブでバイトしてる友達がいれば良かったのに……!

だが待てよ。俺はヤンキー(設定)じゃないか!

なら服なんて何だっていいじゃないのか? 寧ろこの安の服を著崩した方が不良っぽく見えそうだし。

俺は深く考えることをやめ、手元にある服に著替える。……何とかなるだろ。

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そして、運會に向かう舞奈海を見送った後、俺は母親に友達と遊んでくると一言告げて家を出た。

『間もなく元町・中華街、終點です。落とし、お忘れの無いよう……』

が増す中、堂庭から待ち合わせ場所として指定された元町・中華街駅のホームに著いたのは九時三十分。十時に集合の予定なので、まだ時間は有り余っていた。

「流石に早過ぎたな……」

遅れるよりはマシだが暇である。

手持ち無沙汰になった俺は近くのベンチに座り待つことにした。

それから約二十分。ホームにり込んできた電車の中に、修善寺さんの姿を発見した。

開いた扉から颯爽と歩き出す彼に背後から話し掛ける。

「修善寺さんこんにちは。あ、今日はその、よろしく」

「お、おわぁ! 宮ヶ谷殿、先におられたのか!」

修善寺さんは驚いて振り返る。何か態度が昨日と違っている気がするが、気のせいだろうか。

「修善寺さん……今日も制服なんだね」

「あぁ。何分、まともな服がこれしか無いからのう」

ブレザーの裾を摘みながら、修善寺さんはどこか寂しげな聲で答えた。

令嬢とあらばドレスでも著てやって來るかと思ったが意外にも制服なんだな。

でもよく考えれば修善寺さんは寮生活だし、學園の外に出る事はほとんど無いのかもしれない。

だとすると、私服がないのも納得できる。

「そう言うお主の服は如何にも庶民的なをしているのう」

目を丸くし、興味津々にこちらを見る修善寺さん。

ふん、どうせ俺は平凡な庶民ですからね。こんな服しか無いんですよ。

心の中で毒づく俺だが、修善寺さんは好奇の目のまま、質問を投げかける。

「つかぬことを聞くが、その服はいくらで買ったのじゃ? ついでにどこで買ったのかも聞きたいのう」

「え……? この服?」

「あぁそうじゃ」

當然のように頷く修善寺さん。そんなに珍しいのだろうか、この安の服。

「えっと……。このシャツは近所のスーパーで確か七百九十八円で」

「ナナキュッパじゃと!?」

渋々答える俺を遮り、修善寺さんはを乗り出して驚きの聲を上げる。

まあ驚くのも仕方ないだろう。俺と修善寺さんは住む世界が違うのだからな。

「おっとこんな所で取りして申し訳ない」

「いや、別に俺は構わないけど……」

「そうか。いやぁやはり宮ヶ谷殿は良い奴じゃのう。それに隨分と話しやすい」

「はは、それはどうも」

苦笑いを浮かべる俺。

……てかちょっと待て!

俺は不良を演じるんじゃなかったのか?

なに「それはどうも」とか想良く會話してんだよ。

それに修善寺さんも俺の事全然怖がってないじゃないか!

俺が不良じゃないって既にバレていたのかな……。

「じゃあとりあえず駅から出るとしようかのう」

「あの、ちょっと待って修善寺さん!」

一歩踏み出す修善寺さんに聲を掛ける。

すると彼はこちらに振り返り、不思議そうな目をした。

「宮ヶ谷殿、どうしたのじゃ」

「いや、その……。俺のこと、怖くないの?」

すると修善寺さんは手を口元に當て、考える素振りを見せると、小さく微笑んで優しく答えた。

「左様。全然怖くなんかないのじゃ」

「そ、そっか……」

やはりバレていたのか。

にこやかに俺を見つめる修善寺さん。そこに昨日のような怖じ気づいた顔はみられない。

いとも簡単に見抜かれた事は悔しかった。でもあの棒読みな演技とこの気だるい顔じゃ、不良には絶対見えないだろう。一瞬だけでも信じてくれたのが奇跡的である。

そして俺はこの狀況に悔しさ反面、安心していたりもする。

いくら堂庭に指示されていたとはいえ、一日中貓を被って過ごす自信は無かったのだ。

バレるなら早々にバレた方が気が楽である。

しかしそうすると本・來・の目的が失われる訳で……。

「やっぱ気付いてたんだね……」

「あぁ。じゃがそんな暗い顔をすることはなかろう。先程も申したがお主は良い奴じゃ」

「そうか……?」

修善寺さんは依然として優しい笑顔をこちらに向けていた。

や言葉遣いこそ誰もが納得するお嬢様だが、制服はし著崩してありスカートの丈も短い。

やはり修善寺さんにはかなりのギャップがある。これはこれで……素晴らしい。

「わしは不良という言葉を聞くと、つい暴走してしまう癖があるのじゃ」

修善寺さんは俯き加減に視線をずらして呟いた。

「ということは昨日のあれも……?」

「左様。唐突に殿方が現れて瑛殿に言われたのだから、つい信じてしまったんじゃ」

「暴走、ねぇ……」

何だか俺の周りには突然不可解な行を起こす奴ばかりいるな。

の醜い姿を曬してしまって申し訳なかった。すまないのう」

「いや俺は全然大丈夫だから……」

申し訳なさそうに眉を八の字にして謝る修善寺さん。

ここで醜いどころかの子の泣き顔なんて寧ろご褒、とは口が裂けても言えないな。

「……やはり宮ヶ谷殿は何でもけ止めてくれる。聞いてた通りじゃ」

「え? 聞いてるって……?」

「昨日、我に返ってから桜に聞き出したんじゃよ」

「桜ちゃんに?」

「そうじゃ。宮ヶ谷殿は不良なんかではないとわしもすぐ気付いたのじゃが、一応素を確かめたくての」

「素……か」

なるほど、俺は暗に取り調べをけていたのか。

「桜に聞いたらあの子、得意気に話しておったぞ」

「変な事とか……言ってなかった?」

「いやいや、逆にが驚く位褒めちぎってたぞ」

「はは、なら良かったかな」

桜ちゃんはやっぱり優しい子だよな。

堂庭だったら居眠り野郎とか間抜け面などボロクソに言うだろうし。

「お主が瑛殿の側にいれば、きっと大丈夫じゃな」

「え? ……今なんて」

「ふふ、何でもないのじゃ。こっちの都合だからの」

修善寺さんは笑顔で頷いた。それは作・り・・では無い、純粋で綺麗な笑顔だった。

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