《とある腐子が乙ゲームの當て馬役に転生してしまった話》とても綺麗な年に出會ったようです

♢ ♢ ♢

ステンドグラスにより、生まれた淡いが、古びた教會の中を幻想的な空間に作り上げていた。

「……」

そして、丁度ステンドグラスの真下に、らかそうな漆黒の髪とルビーよりも深く澄んだ紅の瞳を攜えた一人の年。教會を包み込む幻想的なで、まるで一枚の蕓的な絵畫のようだ。

「…綺麗!!」

思わずで大聲を出してしまった。すると、彼は、肩をびくつかせ、怯えたふうな表を浮かべた。

「えっと…、驚かせて申し訳ございませんわ。別に、私は、怪しい者ではなくてですね…えっと…」

あれ?これ、完全に不審者の言い訳じゃない?もし、ここにお巡りさんいたら、職質もんだよ。

「その…街を歩いて、迷子になったみたいで…、ふらーと歩いていたら、ここにたどり著いて…本當に、私は不審者ではなくてですね…その…、綺麗っていったのも、ステンドグラスのがあなたに降り注いで、まるで素敵な一枚の絵のようでですね…」

振り手振りをすることによって、さらに不審者度が増している気がする。って、冷靜に分析している場合じゃない。うつむいているじゃない。しかも、肩を震わせている。もしかして、何か怒らせるようなこといった?自分の言を思い返す。…綺麗って、言葉って、男の人に使うのって、失禮なのかな?前世で、私が買っていた薄い本などには、よくけの「かわいいっていうの止」のツンの一言とそのあとのデレまでが描かれている。使い古された鉄板ネタだが、あれは尊いものがある…じゃなくて…。今は、そんなことどうでもいいのだ。

Advertisement

かわいいと綺麗は、違うものじゃないの?え?違うの?失禮に當たっちゃうやつ?

思わず青ざめて謝罪の言葉を探していると

「ふふ…」

笑い聲が聞こえた。おそるおそる聲がした方を向くと、彼は右手で口元を隠すしぐさをしていた。指の隙間から口元がわずかに上がっているのがわかる。

わっ、笑った?

「…ふふ」

目を細めて楽しそうに笑っている。

「……」

その上品な笑みに私はしばし見惚れてしまった。

♢ ♢ ♢

「先ほどは、驚かせて申し訳ありません。私、アリア・マーベルと申しますわ」

どうにか不審者じゃないとわかってもらうため、改めて名乗り出る。ドレスの裾をつまんでの、正式な自己紹介も、もう堂にったものだ。こう、近くに寄って、改めて対面して思うのだが、本當に綺麗な顔立ちをしている。深い漆黒の髪に、紅の瞳はもちろんのこと、だって、陶のように艶やかで、まつげも作りみたいに長い。しげしげと見ていると、「あの…」と、消えりそうな聲が聞こえて、はっとする。いかんいかん。また、これでは、本當に完全不審者だし、なおかつ変態という一言もつきそうだ。

Advertisement

何もなかったかのように、「何でしょうか?」と切り替えると彼から衝撃の一言が発せられた。

「…あなたは、ボクが、気味が悪くないんですか?」

「…え?」

思わず間抜けな顔になる。なぜ、気味がる必要がある?こんなにも綺麗なのに。

「どうしてですの?」

「みんないいます…」

「なぜ…?」この一言しか出ない。

「呪われた黒髪だと、この瞳はのようだと、不吉なだといわれます」

どこか自嘲気味に笑って彼は続ける。

「だから、あなたも僕に関わらない方がいいんです」

そういって、私に背を向け、出ていこうとする。私は、大きく息を吸って、「待って!」と彼に呼び掛けた。彼は、ゆっくり振り返って、私を見つめた。

「私は、あなたのこと、気味が悪いなんて思わないわ」

「……」

「確かに、黒い髪はとても珍しいわ。けれども、それで呪われているなんて、決めつけるのは、おかしい。それに、私はあなたの紅をルビーの寶石の輝きのようにしいと思ったわ」

「……」

彼は、左手で右腕を抑え、右手のぎゅっと拳を握った。

「ね?ですから、私は、あなたのことを気味が悪いなんて思うわけありませんわ」

そういって、私は、固く握られた右手にそっとれた。

♢ ♢ ♢

「やっぱり、ここ、昔は、教會でしたの?」

「はい、以前は…」

話してみると、彼は、言葉數はないものの、尋ねることに、丁寧にけ答えしてくれ、私の話に、相槌を打ってくれる。教會の最前列、彼の隣に座って話をする。こんな年と會話するなんて、なんて贅沢な時間なんだ。前世では、考えられない。ハース・ルイスも形ではあるが、彼は、私を退學エンドへ導いてしまう可能めている。だから、言葉に気をつけながら話しているところがある。とにかく、ヒロインと邪魔はしないので、何卒、よろしくと願いながら。なので、こんな気兼ねなく、話せるなんて!本當、綺麗な顔をしている。

「道理で、素敵な建だと思いましたわ。…あ、でも、勝手にここにってもよかったのかしら?」

「…大丈夫です。ここは、ボクの父が所有している土地なので」

「そうなのですね!ということは、あなたのお父様は、聖職者であられるのですね」

「…そうです。だから、父は…」

そういって、彼は困ったように笑う。おそらく、あまり言いたくないのだろうと、察して、私は話題を変えることにした。

「ところで、名前をうかがうのを失念しておりましたわ。教えていただけますでしょうか。」

にこりと微笑むと、ちょうど、教會の鐘が“ゴーン”鳴り響き、彼の言葉と重なったが、口のきでわかった。

「ダーク!髪のと同じですわね」

手を叩いて、彼を見れば、「え…?」なぜだか、困顔。私は、また、自分を卑下して、漆黒は呪われたとかいいかねないと思ったので、さっと話題を転換する。

「あとですね、せっかくですから、私のことは、アリアとお呼びください。あと、敬語も不要です。常に敬語でかしこまってくる方が、ほぼ毎日來ていますからね。同い年の人に、敬語で話されるのは、疲れますし。できれば、私も、敬語を外してもよろしいでしょうか?」

「うん、わかった。アリア。」

何事か言いかけたようだったが、あきらめたかのような表を浮かべて、彼はかすかに笑って、続けた。

「そういえば、アリアは、帰らなくて大丈夫?そろそろ、外が暗くなる頃だけれど」

「本當ですわ!!」

ステンドグラスからってくるが、いつの間にか夕日のになっている。

「あ、でも、帰り道がわからないわ。ブローチを買ってから、ここに來たから…」

「その袋、大通りのところにある細工屋だよね。場所わかるから、案するよ」

「本當ですの!お言葉に甘えてもいいかしら?」

「うん」

し名殘惜しいけれど、そろそろ、帰らなければ、両親が心配してしまう。もし、何かあれば、護衛を名乗りでてくれたハース・ルイスにも迷をかけてしまう。けれども、彼とせっかく仲良くなれたのに、惜しいな。まだまだ話し足りないのに…。そんなことを思っていると、ふと妙案が思いついた。

「そうですわ!また、ここでお話しましょう?」

ぱちんと両手を叩いて、彼に提案する。

「え?」

「だから、來週のこの時間、またお話ししましょう!この場所で…」

彼は、はじめは、びっくりしたようだったが、やがて、らかく微笑んだ。

♢ ♢ ♢

「アリア、探しましたよ!!!!」

息を切らせたハース・ルイスが駆け寄ってきたのは、ダークに案してもらって、ブローチを買った店に戻って、數刻経ってのこと。ダークは、待ち人が來るまで、待つよといったけれども、これ以上は、迷をかけられないので、そこはきちんとお斷りをして、さきほど別れたばかりだった。

「ハース様、ご心配かけて申し訳ありません」

いつも涼しい顔をしているハースが、ここまで焦っているのを見たことがない。本當に、悪いことをしてしまった。

「いえ、こちらのほうこそ、アリアと來ているのに、ほかの令嬢とお話してしまい申し訳ありません。きちんとお斷りするべきでした」

「こちらのほうこそ、勝手に移してしまい申し訳ありません」

晝間よりも人気がなくなった大通りで、しばらく謝り合う時間が続いた。

♢ ♢ ♢

「「悪魔の子」…ですか?」

「はい。晝間、店のおじさまから聞きました」

謝り合い合戦は、一旦休戦し、馬車に揺られて、マーベル家に帰還中。馬車の上で、晝間、ハースに聞いたことを話していた。

「悪魔って本當にいるんですの?」

薄暗くなっていく、夜道に、しだけ、恐怖心が募る。本當に、ホラー苦手だからね。魔法が、存在するのだから、本當にいるのかもしれないと思い尋ねると

「悪魔は、いませんが、「悪魔の子」の噂は、聞いたことがありますよ」

彼は丁寧に答えてくれる。

「悪魔はいないのではないのですか?」

「いませんよ。悪魔の子というのは、あくまでも、比喩ですから」

彼は、「私は、お會いしたことはありませんが…」と前置きして、語りだす。

「容姿が、とても妖艶で、まるで、悪魔のような人をわす容姿をしているそうです。そして、莫大な魔力を持っているそうですよ。ゆえに、悪魔の子と」

そんな…、そんなのって…。

「それは、おかしいわ!馬鹿げていますわ!」

思わず馬車で立ち上がり、大聲を出してしまった。「ご…ごめんなさい…」そして、當然のことながら、対面に座るハース・ルイスと目が合う。また、やってしまった。つい、素が…。思わず、を小さくしていると、クスクスと目の前のハース・ルイスは笑い出した。

「え…?」

思わず、固まってしまう。あれ?私、面白いこといったっけ?

「ふふ…、私は、あなたなら、そういうと思っていました」

挙句の果てには、こんなことを言う始末。

「そういうって…?」

私は、ハース・ルイスにどういう人だと思われているのだろう?

「…いえ、こちらの話です」

そういって、まるでめ事だとばかりに、右手の人差し指を自らの口元に持っていき、

「あなたのそういうところが私は気にっていますから」

そういって、いたずらっぽく笑った。

「それは…どういう…」

「さ、著きましたよ」

どういうことかと問いただそうとすれば、問いただす間もなく、気が付けば、屋敷に著いていた。どうやら、これ以上の追及は、難しそうだ。

「そういえば、その「悪魔の子」と呼ばれている方の名前は何て言いますの?」

その代わりに、最後にそう質問した。「あなたが、ほかの男に興味を持つのは面白くありませんが…」となぜか、苦笑して、ハース・ルイスは、彼の名を口にした。

「確か、ルーク・ウォーカーといったはずです」

「ん…?ルーク・ウォーカー…?」

「ルーク・ウォーカー」…?

どこかで、聞いたことあるぞ、その名前。

    人が読んでいる<とある腐女子が乙女ゲームの當て馬役に転生してしまった話>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください