《とある腐子が乙ゲームの當て馬役に転生してしまった話》建前と本音は違うそうです
♢ ♢ ♢
 
 
「…――あれ?痛くない」
 
衝撃に備えて目を閉じていた目を開けて、自分のを改めて見れば何も変化していなかった。代わりに、金屬が“カーン、カーン”と地面に落ちた音がする。
 
「な、な、な…何をする!!!」
 
その瞬間上ずった聲がして、そちらを見れば短剣の柄を握りしめ、強張った表を浮かべたレイリーがいた。握りしめられている短剣は、先ほど私の髪を切った形狀とまったく異なり、切っ先が折られていた。まるで、鋭利な何かで綺麗に切斷されたかのような。
鉄をこんなにも切れる質なんて存在するのだろうか。思わず目を見張っていると
 
「……―別に、罪人を裁いただけですよ」
 
教會に靜かな低い聲が響いた。口調は丁寧なものの、なぜだか怒りを含んだ聲。
 
「……――ハース様」
 
レイリーの前に、にこやかな表を浮かべたハース・ルイスが立っていた。
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「な、なぜ―……」
 
レイリーの顔が恐怖にゆがんだ。
 
「あなたは、私の目の前で、アリアを傷つけた」
 
対するハース・ルイスは、笑顔なまま、靜かに言う。それが逆に怖い。
 
「……―だから、私はあなたを許すわけにはいかないんですよ」
 
ハース・ルイスは、切っ先を彼に向けて言い放った。
 
「ハース様!!」
 
思わずハース・ルイスの名前を呼べば
 
「アリアは、彼と離れてください。あとは、私がなんとかします」
 
そういって、彼はレイリーに向き直る。
 
「それだけの強さがありながら、なぜこの化けを斬らない?この化けは、その気になれば、街を壊すなんて簡単なことなんだぞ!!」
「確かに、莫大な魔力を有して、過去に國一つ滅ぼした、なんて伝記でも殘っていますね」
「だろう!!!」
「ですので、莫大な魔力の持ち主は、早々に芽をつむ。その考え方は、間違っているとは一概には言えませんね」
「だったら!!!」
 
暴な口調で食いつくようにいうレイリー。それに対して、ハース・ルイスは事もなげに一言。
 
「で、それがどうしたんです?」
「どうしたって――……」
 
小首をかしげるハース・ルイスを信じられないものでも見るようにレイリーは見ていた。
 
「以前の私なら、あなたに賛同していたかもしれません」
「以前なら……だと!?」
「えぇ、ある人のある一言がきっかけでの見方が変わりました」
ある人……?ハース・ルイスのの見方を変えるような一言を言えるなんて、どんな人なのだろう。偉大な學者とか?それこそ、騎士の超すごい人?
けれども、ハース・ルイスにとっては大切な言葉なのだろう。ふと表を和らげる。何はともあれ、ハース・ルイスの考え方を変えてくれててありがとう。変えてくれてなかったら、私はバットエンドルートいってたかもしれないからね。誰だかわからないけれど、ありがとう。
そんなことを思っていると
 
「魔力が高いのは、それもまた彼の才能でしょう?」
 
ハース・ルイスはそう言い放った。
♢ ♢ ♢
「それは、人よりも飲み込みが早いという素敵な才能だわ」
……まさか、ね。
♢ ♢ ♢
「だから、魔力を持っているだけで、それが罪だと決めつけることはおかしい」
「だが、現に――……」
「現に、なんですか?アリアも言ってましたが、そちらのルーク・ウォーカーは、この場にいる誰かを傷つけていますか?」
「……それは」
「その言葉のあとに一どんな言葉が続くのでしょうね?」
 
優しい口調で靜かにいうハース・ルイスとは対照的に、レイリーは顔を真っ赤にさせ
 
「……うるさい!!!」
 
短剣をハース・ルイスの方に投げ捨てる。
 
「ハース様!!!」
 
私がハース・ルイスの名前をんだときには、教會に再び“カーン”という音が響き渡った。
見れば柄が綺麗に真っ二つだ。ハース・ルイスの持っている剣が、金に輝きを増している。
 
「……―その攻撃は、私には當たらない」
 
そういって、ハース・ルイスは私とレイリーの間に立ちふさがった。
 
「これでも、まだ続けますか?」
「……ひっ!!!く、來るな!!!」
 
靜かに言うハース・ルイスに対して、レイリーは右手をハース・ルイスに突き出した。
そして、何やら詠唱し、魔法を発させた。
 
「食らえ!!!」
「ハース様!!!」
 
瞬間、ハース・ルイスに向けて、鋭い突風が吹き、周りのものを砕していき、砂埃が舞う。壊れた椅子がミシミシと音を立てる。
 
「ははは……、さしもの「英明」もこれで――……」
 
勝ち誇ったようにいうレイリー。あまりのことで、聲がでない。思わず口元を抑える。
 
 
「……――ハース……様……」
 
確かに私にとってハース・ルイスはバットエンドに追い込んでしまう相手だ。けれども、こんな決別をんだわけじゃない。
 
「……――噓……」
 
思わず座り込んで、ただ呆然と高笑いするレイリーを見ていると
 
「……――さしもの「英明」もこれで……どうなるのでしょう?」
「ハース様!!!」
 
砂埃の中、何事もなかったかのように立つハース・ルイスの姿が。傷一つ、塵一つついていない。
 
「……――なぜ」
 
レイリーはというと、まるで未知の生でも見ているかのようにハース・ルイスを見ている。
 
「剣だけかと思いましたか?魔法も、人なりに扱えるんですよ」
 
対して、にこりと笑って、レイリーを見返す。レイリーの顔が引きつる。
 
「さて、あなたは私に対して攻撃の意思があるようですね。でしたら、私も反撃しなければなりませんね」
 
ハース・ルイスが握る剣が、怪しげにり出す。
「このっ……!!!」
恐怖で顔を歪めながら、レイリーは再びハース・ルイスに手を突き出した。
 
「……―というのは、建前で」
 
対するハース・ルイスはというと、にこやかな笑みを浮かべゆっくりと目を閉じた。そして、その直後目を見開いた。その碧眼は、自の輝く刀をけてか、怪しげにっている。
 
「本音は、先ほども言いましたが、ただ、アリアを傷つけたことが許せないだけですよ」
 
そう言い放ち、ハース・ルイスはレイリーに向かって駆け出した。
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