《右目を無くした年ののお話》始まりの始まり

部屋に鳴り響く電子音

その音に起こされて

春斗はベッドから起き上がる

「懐かしい夢を見たな」

そう呟くが、一人しかいない部屋に

返事をする人はいない

虛空に霧散し、獨り言と化す

洗面所で顔を洗い鏡を見る、

右目は前髪に隠れているが

その目は使いにならない

真新しい制服に著替えて

一階へ降りる、既に父親は仕事に行ったようで

リビングには母親しかいない

「おはよう」

聲をかけると

「あら、おはよう朝ご飯できてるわよ」

と、朝から良いテンションで返事をする

適當に胃にれたあと

バッグを持って、外に出る

今日から新學期が、始まる

心地よい風が吹き桜が舞い、新しい生活に心が踴る

學校への道を歩いていると

とても、大きな桜が盛大に咲き誇っていた

「うわ、すげぇ」

この桜に対しての言葉が出てこない

言葉にすることでこのが失われるのでは

と、思えるくらい堂々と立っていた

帰りもまた來ようと考え

學校へ再び向かう

だいぶ早い時間に來ているため

校門に接する通りには、まだ人がない

校舎にり階段を登って4階まで上がる

自分の教室の前に立ち一年間世話になる教室へ

ドアを開けて一歩足を踏み込む

──さぁ、つまらない日常を始めよう

    人が読んでいる<右目を無くした少年の戀のお話>
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