《右目を無くした年ののお話》拒絶と虛勢

クラスへ向けての自己紹介が終わり

指定の時間まで教室待機という事で

再び本を読み始める

あそこまで必要最低限の事しか

言わなければ

こんな地味なやつに絡むようなやつも

居ないだろう

一人に慣れている俺にとっては好都合だ

「ねぇ、なに読んでるの?」

不意に話しかけられ聲の方を見る

そこには子がいた

(あーあ、たまにいる委員長系ね

結構、嫌なんだけど相手は気づかないんだよな)

「特に何てこと無い小説だよ」

心で思った事と口に出す言葉を違わせる

これが『本音と建前』である

「ふーん、誰の本?」

俺の言葉に適當に反応し

己の疑問をぶつけてくる

「さあ?掠れちゃって読めないけど」

家で見つけたとても古い本なので

作者は愚か題名すら読めない

「古い本なんだね!じゃあ──」

そろそろ時かな

「もう、良いかな?続きが気になるんだけど」

相手を傷つけないように尚且つ

話が終わるような言葉を選ぶ

実際にはこの本は何度も読んでいるため

容だけでなく臺詞まで完璧に覚えている

「あ、うん、ごめんね一年間よろしくね」

そう言って踵を返し立ち去っていく

俺はだいぶ嫌なやつに思われたかも知れないが

そもそも、二度と話さないだろうから

まぁ、問題ない

こうして、俺の読書時間を死守できたのだから

むしろ正解だろう

やがて、時間になり

帰って良いことになったため

をまとめ、誰よりも先に教室から出て

帰路についたのだった

    人が読んでいる<右目を無くした少年の戀のお話>
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