《であり男でもある私は復讐をしていきます》10話 差する想い
またディルク視點です!
學式の日。俺は生徒會長スピーチをした後、これでもかというほど子の新生に囲まれた。
前までだったら笑ってけ流せるものも、最近はそんな気も起こらない。
言い寄ってくるも、全く笑わない俺からすぐに離れていった。
「ディルク様…あれは無いですよ」
側近のエリオットは呆れ顔でそう言う。
全くだと思うが、改善する気にもなれない。
「疲れた」
そう呟いてエリオットの肩に顔を埋める。
周りの子生徒からの黃い悲鳴が耳に屆く。
自分より長の低いエリオットは「重いです」と言いながらもそっとして置いてくれた。
服からはのような甘ったるい匂いがする。
彼は爽やかな香りだったな、と思いながら深いため息をついた。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
エリオットと分かれ、俺は二階の隅にある小さな空き教室に向かった。
あそこに行くと、シトラがまだいるかの様な気がして現実から逃げられる。
教室の扉を開けるとガタッと音がした。
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周りを見ても何もいないので気のせいと思い大きめのロッカーに寄りかかった。
「はぁ…」
最近では他人に紳士とは真逆な対応しかしていないのでかなりの人間が離れていった。
気分がどん底で、いつも冷たい空気をまとっている為か『氷の白騎士』と呼ばれてしまう始末だ。
確かにあいつらは會うたびに凍死させてやろうかと思ってしまうが。
あの事件の後この國の第一王のアムレット、第二王子のクロード、そして國王陛下に協力してもらい彼らの揃えた証拠というものが不確かなことや黒幕までが大方摑めた。
だが、「大方」だ。完璧ではない。
まだ、斷罪の時ではないのだ。
しばらく天井を眺めていた。
どこからかシトラの魔力がじられるのは自分がおかしくなっているのかもしれない。
そう思いながら左から3番目の一番下のロッカーに手をかた。
此処にある合図をシトラとつくっていた。
もう、彼はいないから意味なんてないのに。
かすかな期待をにそのロッカーを開けた。
「ハンカチ…」
その中には、青い質素なハンカチがっていた。
心臓が高鳴るのがわかる。
偶然誰かがここにれたのかもしれない。
いるはずがないのに、
俺とシトラにはある合図があった。
『二階の隅の空き教室の左から3番目の一番下のロッカーに青いハンカチがっていたら午後五時に噴水広場で會おう』
という、2人しか知らないだ。
知っているものが他にいるはずがない。
彼で無くとも、なからず関係はしているはずだ。
早く噴水広場に行きたかったが、まだまだ時間があるので生徒會執務室で書類整理をしていた。
いつぶりだっただろうか、こんなに心が弾むのは。
それからいつもよりずっと早いスピードで書類をかたづけると、時計は四時三十分を指していた。
足早に噴水広場に向かった。
噴水広場は校舎からし離れていて人気のない、けれども手れは行き屆いていて綺麗な広場だ。
ださら、シトラと俺はここを待ち合わせ場所にしていた。
そこへ向かうと一人、近くのベンチに座っていた。
いつも、シトラが座っていた場所だ。
たった1人の深い青の髪を持った子生徒の後ろ姿。
ハーフアップにされていて、うねる先はの反によってを変えて行った。
まるで、海の様に。
「シトラ…?」
そう聲をかけると振り向いた海の髪をしたは 神々しいほどしかった。
振り向いてに當たると海は髪は鮮やかな空に変わり、エメラルドの様な大きな瞳を強調させている。
陶の様な白いはれれば壊れてしまいそうなほど繊細で神といっても過言ではないくらいのしさだ。
神が地上に舞い降りたといっても過言ではないくらい。
でも、彼では無かった。
魔力はどこと無くシトラに似ているが、何かが違う。
殘念に思うのは期待をしていたからだろう。
そんなことあるわけないのに。
「申し訳ございませんが、わたくしはシトラル様ではありませんわ」
その聲にも驚いた。妙にシトラに似ていた。
そして目の前の子生徒の紹介でシトラにどこか似ている子生徒はインディゴ王國アイラライト公爵家令嬢のリリアーナだということがわかった。
あの、學式のときこれでもかというほど視線を浴びせられながらも凜と立っているあの令嬢か。
「だが……、そうか…」
目の前の子生徒がリリアーナだとしたら何故こんなにも作法がなっているのだろう。
彼は生まれつきが弱く、家に引きこもり気味だったと聞く。
學校にもお茶會や夜會でもあまりその名は聞かない。
そのため、國王陛下と理事長から生徒會長として彼の様子をみといてくれと頼まれている程だ。
なのに、何故ここまで綺麗なきができるのかが不思議だった。
ずいぶん間が空いてやっと口を開いた。
「何故ここに?」
シトラではないのなら、『特別』ではない。
冷たく言い放った。
「それは…、ですね…」
リリアーナはうろたえる。
困った時、目線がやや下に行くのはシトラの様だ。
なんと言えばいいのか、いや、どう言えば伝わるのか迷っているようだった。
焦る彼には答えが出せそうでない。
「…次の機會でいい。まとまったら合図してくれ」
回りくどい確認だった。
「ありがとうございます。そうさせていただきますわ、次の機會にお話しいたしますね」
そう聴いた瞬間、大を察することができた。
ただ、本人が言う時まで待っていいだろう。
「寮まで送ろう」
そっと手を彼に差し出すと、大きな目を見開いてこちらを見てきた。
それからすぐに目をそらし下を向いてしまう。
雪の様な白いがうっすらと紅に染まり、小さい背がさらにむ。
「よろしくお願い…します…」
やっと出たかの様な聲は震えていた。おずおずと手を俺の手に重ねる仕草に抱きしめたい衝にかけられる。
可すぎる。
シトラル婚約者のいるの頃にはこんなことできなかったが、今は問題ないだろう。
優しく大切に寶を扱う様に最の彼をエスコート出來るのに俺は正直浮かれていた。
だからだろうか、彼の不安に気づけなかったのは。
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