《であり男でもある私は復讐をしていきます》12話 次期宰相の後悔
「何をしている」
怒りを含んだ低い聲が醫務室に響く。
聲のする方を見ると無表ながら冷気をこれでもかと言うほど放っているガルデが立っていた。
「ガルデか」
デュークスの私を押さえる力が緩んだので直ぐに抜け出てはだけた服を押さえる。
なぜガルデが來たのかわからないが、助かった。
「なんだよガルデ、いいところだったのに。このことはれないのが決まりだっただろう。このに惚れたか?」
苛立ちを隠しもせずにそう言いながらガルデに近づくデュークス。
長差は圧倒的だが、全く怯まずガルデはこういった。
「今までのは見て見ぬ振りをしていたが、これは見逃せないよ、リリアーナ嬢はインディゴ王國の公爵令嬢だ。最悪戦爭にでもなる」
立場をわきまえろ。と、冷めた目で睨みながら言い放つとガルデは自の著ていたブレザーを私に掛ける。
「ありがとう…」
先程の恐怖から震えながらそう言うと、ガルデは直ぐに顔をそらし私の手を引いて醫務室から出ていった。
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無言で手を引いて歩くガルデは何を考えているのかがよくわからない。
けれど、私の學校に気を使っているのか人が全くいない道を通って生徒會休憩室にっていった。
ガルデは鍵をかけ、誰もってこれないようにしたら私を座らせた。
「大丈夫?」
そう言うガルデは悲しそうな顔をしている。
敬語を使っていないから限りなく素に近いのだろう。
彼が紅茶の用意をしているので、服を正しながら1人用のソファに腰掛けた。
「ありがとうございます。助かりました」
笑いながらそう言うと、彼は紅茶を淹れながら「本當に似ているな」とぼそりと呟いた。
「し聞いてしいことがある。いいか?」
機に置かれたあったかい紅茶を飲みながらほっこりとした気持ちになる。
「ええ、なんでしょうか?」
その後、ガルデの口から出た言葉は衝撃的なものだった。
「君は…サランバール伯爵令嬢のことを知っているか?」
何故、その名が出たのか。
飲んでいる紅茶が吹き出しそうになるのをギリギリで耐える。
危ない、もうしでむせそうだった。
「…シトラル様ですわよね」
「そう。君はシトラル嬢に関係があるのかな」
意味深な笑みを浮かべるガルデに私は心、冷や汗ダラダラだった。
ある意味、デュークスの時よりがこわばる。
「そう警戒しないで、君と、とても似てるなと思ってね」
そう言うガルデはとても悲しそうだった。
まるで、あの時のディルクのよう。
もう、會えない大切な人を思っているかのような。
「…助けて頂いたお禮と言ってはなんですが、お話ならお聞きしますわ」
気になった私はそう聲をかけた。
「…全部、自業自得なんだけどね…」
そう言ってガルデは話し始めた。
ーーーーーーーーーーーーーーー
【學年主席】その肩書きは僕にとって最も重要なもので、いつもは話さない親から褒められる唯一のものであった。
そのおかげで友人から褒められ、弟妹から尊敬されていた。
それなのに、新學期の最初に行われる魔法と勉強の総合テストのトップ10が張り出され、そこには『一位 シトラル・サランバール』の文が1番左に書かれていた。
彼はテストの実績だけではなく、本當に正しく強く、しく王太子の婚約者として恥のないように生きている人だった。
の滲むような努力をして、周りからも慕われている彼。
親からは「に負けて恥ずかしくないのか」と言われ、周りの人間からは「気にするなよ」とか「二位も凄いよ」と言われる。
でも、心のでは『に學力すら及ばない次期宰相』と言われてる気がして。
彼の努力すら気付けず、僕は彼を妬んでいた。
生徒會で雑務をしていたシトラルに突っかかったこともある。
けれど、そんな馬鹿な僕に彼は言った。
「貴方はわたくしよりもずっと魔力が優れていますわ。自分の優れていないところでは無く、優れているところにも目を向けたらいかがですか?」
そう言われた僕は、もっと自分が恥ずかしくなった。
この頃は全く周りが見えていなかったんだ。
その時、聲をかけてきたのがアルザックやシャルルを中心としたあいつらだった。
嫉妬心をいいようにある人・・・・にられ、彼を無実の罪で斷罪にまで追いやった。
その時はなんとも思わなかった。
殺されたと知った時も、不思議なくらい嬉しくも悲しくもなかった。
けれど、それからあった期末テストで一位になり、生徒會の役職の位が上がった時。
嬉しくなんてなかった。
ただただ虛しさだけが殘り、そして後悔した。
なんの意味があったんだろう。
なんてことをしてしまったんだろう。
彼が言っていたあの言葉を今更真にけるなんて、馬鹿みたいだ。
いや、馬鹿だった。
僕は取り返しのつかないことをしてしまった。
今更、彼のことが好きなことに気づくなんて。
自分で殺したのに。
いいねやコメントありがとうございます!
誤字の指摘のところは直させていただきました!
これからも頑張っていきたいです!
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