であり男でもある私は復讐をしていきます》13話 學力テスト

ガルデの話を聞いた私は唖然とした。

切なげで、哀しそうな顔をしたガルデになんて聲をかければいいのか。

綺麗な黃の瞳は、悲しみで歪んでいた。

そんなガルデに私は口を開く。

「そんなにぐじぐじしていたらシトラルも見損ないますよ」

「え?」

「わたくしは貴方に言ったはずですわ、得意不得意は誰にでもあります。と」

此方を間抜けな顔で見てくるガルデは何かに気づいたのか、下を向いた。

「君はシトラルではないだろう?…めようとしなくても大丈夫だよ」

顔が見えないが、私はこいつには立ち直ってしい。

そう思ってソファから立ちあがり、ガルデの綺麗な顔を両側からバチンと挾んだ。

不敬だと言われようが知ったことではない。

「もし、シトラルがリリアーナに転生していたら?」

不敵に笑う私はガルデにはどう映ったのだろう。

「…シトラルが生きていたときに君も生きていた」

何を言っているんだとでも言いたげな顔で此方を見るガルデ。

そんな彼にイタズラが功した子供みたいに笑いながら言った。

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「神様は気まぐれですもの」

「そんなの…信じれるわけ…」

ひどく困している様子のガルデに私は言葉を続ける。

私は目を瞑って、ライルとなった。

「え?」

「私がこんな質を持っていながらこの學園に留學した理由、知っていますか?」

「復讐のためですよ」

低く、凜とした聲が休憩室に響く。

ガルデは目を見開いてライルとなった俺を見ていた。

口からは何か言おうとしているが聲になる前に閉じてしまっている。

…ガルデには私の正を知っていてしい。

そして、できれば協力してしい。

部につながっている仲間ができるのはとても心強い。

目を瞑ってリリアーナに戻る。

ついさっきまで小さく見えていたガルデがやけに大きく見えた。

「…信じれないのであれば、シトラルが貴方に勝ったという総合テストで勝負いたしますか?」

「勝てるわけないだろう、エルデの歴史や一年の復習が範囲だぞ」

「リリアーナなら、そうでしょうね」

妙な空気の中、流れる沈黙は心地いいものではなかった。

「…私が勝ったら、復讐に協力していただいてもよろしくて?」

また、ぽかんとした顔をしていたガルデだが、急にニヤッと笑って言った。

「では、僕が勝ったら僕の婚約者になってくれ」

腑抜けた顔をしそうになるのをぐっと抑える。

私からしたら、その條件を出されるとは思っても見なかった。

「…大きな対価ですわね」

「こちらは一応友人と従うべき主君を裏切るんだ。復讐がどのくらいのものかは知らないが、そのくらいの覚悟があっていいだろう?」

その意見はもっともだ。

「君がシトラルなら、それほど嬉しいことはないしな」

ガルデは私の手を取り、手の甲にキスをする。

デュークスの時のように嫌悪はしないが、ディルクの時のように顔が火照ることもない。

「…そこまで無表で見られるとさすがに傷つくよ」

さらっと笑いながらガルデは言った。

絶対傷ついてないだろ。

半ば呆れた目でガルデを見ていると、彼は見るからに楽しそうな雰囲気を出している。

「2週間後が楽しみだな」

ガルデは私の手を離さず、手りを楽しむように握り続けるのでこれは周りから見たら人にしか見えないだろう。

振り払おうとしたその時。

「おい」

低い澄み切った聲が休憩室に響いく。

恐る恐る口の方を見るとそこには高長の白銀の髪の持ち主、ディルクが立っていた。

あたりの溫度ががくっと下がり、ただでさえ寒いのにもっと寒くなる。

それだけ、ディルクが怒っているということなのだか。

「鍵がかかってあるから何かと思えば、會でもしてたか?生徒會長が學園全ての鍵を持っていることを忘れるな」

淡々と言い放った後、ガルデを休憩室からほぼ追い出す形で退出させてから私をため息つきながら見てきた。

「何をしているんだ…」

苛立っているような呆れているような聲だった。

「いや、いろいろありまして…」

今までの経緯を話すともう一度大きなため息をつかれた。

紫と青の瞳がその詳細まで見抜いてしまいそうでつい、目を逸らしてしまう。

「その魅了魔法はむやみに使うな。理なんて捨てて後先省みず奪いたくなる」

「ですが、それでは…」

その続きは口から出る前に遮られた。

ディルクが口を手で塞いだのだ。

にディルクの手が當たっており、一気に顔が熱くなる。

そのまま椅子に押し付けるかのようにして彼は私の耳にが當たるかどうかの所で呟いた。

「使うな、襲われたいのか」

低く痺れるような聲に、がこわばる。

ディルクの目が本気なのが尚更にゾッとした。

私の様子をしばらく見てから手を潔く離し、先輩らしく言う。

「…という訳だ、使うな」

その後、私は始めて授業をサボっていることに気づいたのだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

あれから私はとにかく勉強した。

いくらシトラルの頃に予習をしていてもリリアーナになってから勉強をしていなかったため抜けているのだ。

魔力で失點を補うこともできなくはないが、ガルデにああ言った手前そんな事できるわけない。

學力で勝たなければ意味がないのだ。

そして総合テストの學力調査當日を迎え今はその4日後で順位が張り出させる日だ。

死ぬ気で復習をしたからなんとかなると思うが、不安は拭えない。

今回の総合テストで生徒會役員が決まるためか、張り出されるホールにはたくさんの學生が集まっている。

ガルデと友達ならまだしも、婚約なんて、無理だ。

それに婚約なんてしたら復習に支障をきたす。

早くってくれ。と、心の中でぶが張り出させるのは3年生から。

【主席 ディルク・ソレイユ・デュラハント】

そう書いてある紙がられた瞬間、辺りからは歓聲が上がる。

これでディルクが今年も生徒會長を務めることほぼ確定になったからだ。

そして、二年生は…

【主席 リリアーナ・アイラライト】

それを見て、中の力が抜けたようなじがした。

心の底からホッとする。

周りからはいつも以上に視線を送られている気がするが、もう慣れた。

「負けたよ。シトラル」

そう思っていると後ろからガルデが聲をかけてくる。

悔しそうな、嬉しそうな、なんとも言えない顔をしながら。

「信じていただけました?」

ニヤリと笑いながら、彼に私はそう言った。

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