《であり男でもある私は復讐をしていきます》22話 氷の騎士と王子
その日の學園ではシャルルの暗殺未遂の事、アルザックとアトレーテの求婚の事で持ちきり。
そしてどちらの事件にも絡んでいる私は話しかけられないものの、常に好奇の目を向けられていた。
「いやー、人気者だね」
他人事のようにそう私に話しかけるガルデ。実際に他人事なのでなんとも言えないがその笑顔がやけに私をイラつかせた。
「々あって疲れているのに、さらに疲れが増しましたわ。他にも々増えてしまって…」
溜息を吐きながら橫目で教室の窓の外に目線を向ける。その行を不思議に思ったのかガルデが首をかしげた。
「なに黃昏たそがれてるの」
「人の視線と気配には敏なほうですの」
ガルデにはわからないようなので人差し指を使って窓を軽く叩く。それにつられてガルデがその方向を見て何かに気づいたようだ。
「付けられたんだ」
「ええ」
そう、學園の庭の草に見える人影。私を隠に護衛、及び監視をする暗躍部隊のようなものであろう。
基本的に王族などの高貴な人の為に付けられることが多いが、今回の事件に乗じて私にも付けられたようだ。
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私の場合、監視というよりかは護衛の意味合いが深いだろうがそれでもかなり行が制限されてしまうだろう。
 面倒なことになったものだ。
「面倒なことになったね」 
ガルデとたまたまにも思考が被った事にしだけ笑みがこぼれた私であった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
「やあ、リリアーナ。これから街にでも出かけないか?」
「せっかくの申し出、行きたいのは山々ですが生徒會の仕事がありますの」
放課後、寮に帰ろうとしている際にアルザックに聲をかけられる。
勿論仕事などないし、この後の予定もないが街に行くのは嫌なのでやはりいつも通りの営業スマイルで遠回しに斷る。が、やはりアルザックには分からないらしい。
「ごめんねアルザック。リリアはこれから僕と仕事をするから」
橫から私の腰を引っ張り自分に引き寄せてから嫌味ったらしくガルデはそういった。いつもなら婚約者でもないには気安くれるものではないと怒るところだが今回は見逃そう。
「ガルデお前っ」
「行こうか、リリア」
明らかに不機嫌になったアルザック。
それをみて満足したのかガルデは私の手を引き早足で逃げていった。
「早く行かないと待たせちゃうでしょ」
 
やけに楽しそうにそう笑うのでこちらもそれが移ってくる。
「そうね」
 
笑顔でそう返すと、さらに嬉しそうにしながら走って行くのでどうも子供の頃に戻ったようで楽しくなる。
実際には小さい頃から勉強漬けで友人と楽しく遊んだ記憶なんてないのだが。
だから今ここで味わっている社辭令のない友が嬉しかった。
「ディルク先輩ー」
ガルデのその聲で我に帰り握っていた手を急いで離す。
見られてはないだろうか、そう不安になり恐る恐る彼の顔を見ると綺麗な顔は穏やかな優しい表をしている。
エリオットさんは今日はいないらしく、1人で正門で壁に寄りかかり本を読んでいたようだった。
「ガルデ、リリアすまないなわざわざ付き合ってもらって」
そう、今日はディルクの馴染でありエリオットさんの人の誕生日祝いを買うために出掛けるのだ。
しディルクの他ののプレゼント選びに付き合うのは複雑だが馴染ならしかたがない。
エルデの特産品のようなものを送りたいらしく、その為にガルデとへのプレゼントという事で私という組み合わせらしい。
「いえ、お気になさらず。私も久々の王都でワクワクしてますの」
「そうですよ、じゃあ行きましょうか」
ガルデがそう言うと3人で歩き始めた。 
好きな人と仲のいい友人と出かけられる事にワクワクしていると、背後から急に手がびてが倒れかける。
「ワクワクしてるの?可いなあ」
き通った綺麗な聲。
そしてその持ち主のアトレーテが私のを抱きしめていた。
「私もご一緒させてはいただけませんか?王都に興味がありまして、ね」
 
にっこりと私をその腕の中に収めながらガルデとディルクに笑いかける。
2人はしの間唖然としていたが先に反応したのはディルクだった。
「勿論ですよ、我が主君ともあろうお方に私の事に付き合わせてしまうのは大変申し訳ないのですが。それでもよろしければ」
今までに見た事ないくらいの笑顔でディルクがそう言う。本當にいつも無表な彼と同一人か問いたくなるほど別人の様だ。
「堅苦しいなぁ、先輩なんですから。遠慮しないでくださいよ」
その瞬間、し緩んだ腕をほどき開いた口が塞がらない。とでも言いたげにフリーズしているガルデの元へ近づく。
「どうなってるの」
耳打ちすると止まっていたがき出し、こちらの質問に答えてくれた。
「ほら、スティーア帝國の王太子と魔法騎士団団長候補じゃん」
それに妙に納得する。
確かに騎士と王族には絶対と言ってもいい服従関係がある。その為、アルザックとデュークスなどの馬鹿でない限り互いの間には壁があるだろう。
規律や伝統を重んじるディルクであればなおさらだ。
「じゃあ行こうか、止まってるのもなんだしね」
そう歩き始めるアトレーテにディルクが驚いた様な顔で止める。
「王太子でもあろうあなたが護衛もつけず出向くのですか!?」
「君はスティーアでも指折りの騎士だろう?それだけで十分だと思うんだけどね」
その一言で各國の將來を擔っているもの達のみで王都に出向く事になったのだ。
「これとかいいんじゃないんですか?」
「確かに、綺麗ですしね」
王都につき、早速った裝飾店。
本當にここまでの道のりは長かった。距離でいうと大したことはないのだがメンバーがメンバーな訳だ。
すれ違う人で悲鳴を上げない方が珍しいし末期な人では気絶していた。
その為、ほんのしの道のりなのにかなりの時間がかかったのだ。
「その馴染の方の髪がオレンジでしたならこちらもよろしいのでは?」
そう言って純白な寶石のネックレスとピアスを手に取りディルクの元へ持っていく。
「おお、綺麗だな」
心した様な顔をしているディルクはどことなくあどけない。私よりずっと高い背を屈めてネックレスを見てくる様子はとても可らしく、ついつい頬が緩んでしまいそうになる。
「リリアには、こういうのが似合うと思うけどね」
「ひぇっ?!」
そんなことを考えていたので、背後からの気配に気がつかなかったのだ。
ひんやりとした冷たい覚が首元をつたった。その事に々驚き明らかに変な聲が口から飛びだす。
周りも、にわかに黃い悲鳴を上げていた。
「えっ、レッドダイヤモンド!?」
深い赤を帯びた明かりの下、それによって幾度も輝き方を変えるダイヤモンド。
希価値は他と比べ非常に高いがそのしさから高位貴族からの人気は高い。
しかし、しかし私の首につけられているこのネックレは本當に別格だ。
小さなものがほんの量しか採取されない寶石であるにもかかわらず、幾度となくそれがちりばめられており中心にはひときわ大きいレッドダイヤモンドが存在を放っている。
「しいなら買ってあげようか?」
さらりとアトレーテは言ってのけるがこのネックレス、1つで街1つ買っても余るほどの価値があるのだ。
それを貰うなんて、到底できることではない。
「素敵な申し出ですが、遠慮させていただきますわ。私には持ったいなさすぎます」
ディルクはこの景を始終、無表で見ていたがし下がった気溫と微かにじる魔力が何らかの気に障ったことを証明している。
心、冷や汗が出てきた。
こんなにくっついていては、本當に外堀を固められてしまう。
以上にアトレーテと著しているを離し、ディルクに話しかけた。
「どうします?どれも魅力的ですもの、迷ってしまいますよね」
私は、上手く笑えていただろうか。
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