《悪役令嬢は趣味に沒頭します》29 波

貓の姿のノアを連れてピアノの部屋に移する。

ノアはピアノに興味津々のようでピアノの足回りをウロウロしている。

黒いピアノに黒い貓!

なんとも可い組み合わせ…私の大好きな2つが揃い気分も上がってくる。

「ねぇ、これがピアノ?どうやるの?何するの?」

「これがピアノよ。ここの蓋が開いて、この白や黒の鍵盤っていうのを押すと音が出るの。」

「音?」

「そうよ。ノアは歌とか音楽とか知ってる?」

「…あー。霊の里で何かしら歌ってる霊がいたよ」

ノアの聲が大人しくなる。

やはり、霊の里は嫌な思い出しかないからか…今度から話題を振るのに気をつけよう。

楽譜を取り、椅子に座る。

「ノアはこっち」

ノアを膝に乗せてでる。

すると、ノアは人間の姿になり私の前に立った。そのまま抱きついてきて私の顔は彼のの中だ。

「ごめんね、嫌なこと思い出させちゃったね」

「…大丈夫。今はリアがいるから。」

そう言って上からキスを落としてくる。

もう何度目か分からないキス。まぁ、1回も5回も同じだろう…貓に舐められたとでも思うことにしよう。

「ノアは音楽が嫌い?」

「……いい思い出はないけど、リアが奏でる音楽なら聞いてみたい。」

「うん!」

そう言って、ノアはソファに座った。

私は嬉しくなりピアノの蓋を開ける。

彼の心がしでも癒されますように。

そんなことを思いながら、『雪の降る日のオルゴール』という曲を弾いた。

悲しさ、儚さ、怒り、しさ、優しさ

そんな曲だ。

しく高い音の旋律を歌い上げていく。

曲が終わり、膝に手を置くと自分でも何かため息が出た。

そのままソファに目を向ける。

ノアはただ、口を開き呼吸をしていると言った狀態で、心ここに在らずというじだ。

私は椅子から降りてソファに移し、彼の隣に座る。

「……凄く、綺麗だった」   

「ありがとう」

それだけだ。

それだけの會話をした。その後は、私は黙々とピアノを練習していてノアはずっと私を眺めていた。

そうして、今日のピアノ練習は終わり夕食に呼ばれたので食事に向かう。

食事が終わり、部屋に戻ってきてお風呂にっていた時、ノアが口を開いた。

「また、聞かせてくれる?」

「もちろん。」

「そっか…俺、リアのピアノ好きだよ」

「ありがとう」

そして、お風呂から出て寢る支度をしてしまう。

今日もさらさらな生地の白いネグリジェで、髪は緩めに2つに結ぶ。

顔にを塗ってベッドにった。

今日も々あったなー、疲れたから早く寢よう!

「ノア、おやすみ」

「おやすみ、リア」

ポスっと枕に頭をあずけ、ノアは貓の姿で私の隣に寢転がる。

あぁ、もう寢れる…という時に思い出した。

あれ、今日ってルーと寢る約束した?

今日って言ってたけ?あれ?いつだっけ?

彼は言っていた。今夜だと。

やばい

私は飛び起きるように起き上がり、髪を整えて、服のシワを確認する。

「ノア、私、ルーと寢なきゃ行けないんだった。今夜は1人で寢れる?」

「…やだ」

「じゃあ、私たちと一緒に寢る?」

「あいつがいないなら寢る」

「や、だからルーと寢なきゃ行けないの!」

駄々っ子だ。ルーがいるとなんでもやだ!と言う。

「チッ、完全に忘れたと思ったのに…」

そんな彼の小さなつぶやきは聞こえていない。

そんな中、扉がバンっと開く。

「リア姉様?迎えに來たよ。ほら、行くよ」  

有無を言わさず、ぐぃっと引っ張られ部屋から出された。その後ろには明らかに拗ねてしまったノアがついてくる。

「お前はついてこなくていいんだけど?」

「はぁ?リアと俺はずっと一緒に居なきゃ行けないから。俺だってお前なんかと同じ部屋に行きたくないよ。」

ん?ずっと一緒に居なきゃ行けないって、貴方今日の午前中離れてましたよね?それ、噓だよね?

「邪魔だから嫌なんだけど。ていうか、貓とか獣臭いし」

「それなら問題ないよ。ついさっき、#リアと__・__#お風呂にったばかりだから」

「は?」

ルーに握られている腕に力がこもる。こちらを睨みながら「ねぇ、なにしてんの?」とでも言いたげな顔を向ける。

あら、眉間にシワが…とその目線を無視しルーの眉間をぐりぐりする。 

「リア!そんな奴らないで!」

「おい、クソ貓お前はってくんな。廊下で寢ろ」

そして、ルーの部屋の前で言い合いがまた始まった。私は心を無にし、彼に摑まれている腕をそっと抜く。靜かにルーの部屋にってそのままベットに潛り込んだ。

寢ましょう。

そうして、彼らをほっぽいたまま私は眠りに著いたのだ。

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