《男尊卑の改革者》第一章『異世界転生!?』第七話「ラナと殺し合いの語」

あれから一年ほど経って、俺は三歳になっていた。

俺はこの一年間、魔法の訓練だけでなく武の訓練もしていた。クライドは國の中でもトップクラスの実力を持っているらしいので、時間があれば直接教えてもらっていた。まぁ、クライドも魔法を使うことはできるのだが、殘念ながら脳筋なので力で押し切ることしかしないので、剣を教えることになっていた。教える、と言ってもひたすら実戦だった。結局のところ、自分に合う型を見つけるのがいいというが彼の考えで、やっぱり脳筋だった。

先生にも、しずつ魔法を教えてもらえるようになってきていた。そこで教えられたのは、魔法にとって最も重要なことは想像力だと言うことだ。どうやらこの世界での魔法は、呪文みたいなものを唱えればいい、というわけではないそうだ。呪文はあくまで、イメージを明確にするための手段で、基礎となるものは結局のところイメージ、つまり想像力らしい。これは俺にとっては嬉しいことだった。元日本人の俺からしたら、想像力なんかは日頃のテレビやら本やらで十分すぎるほど補っていたのだから。そのため、前世で言う初級魔法みたいなものは、一回でできるようになった。これには流石の先生も驚いていた。……………まぁ、ミリアと姉さんにはスゴイスゴイと言ってでられたり、抱きしめられたりしたのだが。

そんなわけで、両親の想像を超えて長している俺は、護衛付きという條件付きで外に出ることを許されていた。もちろん、家からあまり離れてはいけないのだがそんなものは関係なく、俺はその時間を楽しんでいた。

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「わぁ………」

いつものように、俺にとってはし高い扉を開けて外に出る。そして俺はこのいつもの一言を呟く。俺の家の近くには大きな湖や森があり、なども多種多様にいる。なんとも心安らぐ瞬間である。そんなふうに俺が思っていると、

「ふふっ、ユウト様ったら………。外に出られるとき、いつも同じ反応をされるのですね」

俺の橫からそんな聲が聞こえた。

「だってキレイなんだもん」

「そうですね…………フフッ」

そう言って、手で口を隠して笑う黒髪の。この子はうちのメイドの一人で、ラナという。年はメイドの中で最年の11歳で、マルシアの補佐役みたいなものをしている。以前は奴隷だったみたいだけど、ミリアが助けてあげたらしい。ついでに結構強い。

「はぁ………。やっぱり、ユウちゃんを見てるだけで癒やされるわぁ」

「フフッ。そうですね」

すると後ろからミリアとマルシアがやって來る。俺が散歩に行く、と言ったので二人もついてくると言って來たのだが、

「……………奧様、マルシアさん。やっぱり、お二人はお休みになられていたほうが…………」

ラナが心配そうな表をしてそう言う。

「大丈夫よ〜。最近、ずっと家の中にいてつまらないもの〜。しくらい、外の空気を吸いたいわ〜」

「で、でも…………」

ラナはミリアに救ってくれた恩をじているため、いつかのミリアのように過保護になっているのだ。もちろん、マルシアに対してもメイドとしての教育をけているため、同じように心配している。

実は、最近ミリアとマルシアの調子が悪いようであまり部屋から出ないことが多くなっている。俺が大丈夫か聞いても、二人共笑顔で大丈夫と返されるだけだ。正直、心配ではある。

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「…………母様」

「?何かな〜?」

それでも俺は、

「一緒に行こっ!」

そう言って俺は、ミリアの手を摑む。

「(そうだ。もしものときは俺が守ればいい)」

ミリアとマルシアは俺の突然の行にキョトンとしていたが、

「…………フフッ。ありがとう、ユウちゃん」

「…………はぁ。仕方ありませんね」

ミリアとマルシアは笑顔で、ラナは苦笑混じりにそう言って、散歩がスタートした。

「〜〜〜♪〜〜〜♪」

俺たちはあれからし歩いて、湖のほとりで座っていた。ミリアが膝枕をしてくれて、鼻歌を歌っている。…………相変わらず、寢させにかかってくるなぁ。

「奧様、マルシアさん?調はどうですか?何かおかしなところは?」

「大丈夫よ、ラナ。心配しすぎよ〜」

「えぇ。大丈夫よ、ラナ」

「心配するのは當たり前でしょう?」

「そうね〜…………ありがとう」

そう言って、ミリアはラナの頭をでる。ラナも11歳とは言え、まだまだ子供だ。ミリアからしたら、娘ができたようなものだろう。

「……………」

ラナも子供扱いされたことにしムッとしながらも、満更ではない様子だ。そんなじで平和な時間が過ぎていく。

しかしそれは、突然聞こえた悲鳴でかき消されることとなる。

「うわぁーーー!?!?」

「きゃあーーー!?!?」

「「「「っ!」」」」

いきなり聞こえた悲鳴。それが聞こえた方向に、全員の視線が集まる。そこには草原が広がっており、その一部に何かが集まっているのが分かる。とは言え、ここからでは流石に見えないため、俺はある魔法を唱える。

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「(…………強化)」

そして、自分の目に力が集まるように魔力をる。すると、悲鳴のした方向に人影が見えた。

強化は文字通り、使い手の能力をあげる魔法だ。そしてこの魔法はとても使い勝手がよく、今回のように目に魔力を集中させれば、その分視力が超人レベルまで上げることもできる。

「…………っ!?母様っ!人がオークたちに襲われてますっ!」

「っ…………そう。マルシア」

ミリアは一瞬考える素振りを見せてから、マルシアの方を向く。

「はい」

「ユウちゃんをお願い」

「っ……………わかりました」

その言葉に目をし開いたマルシアだったが、すぐに了承する。しかし、それを聞いたラナは、驚いたような表を見せる。

「だ、ダメですよ!?奧様!!私がなんとかしますから、奧様はマルシアさんたちと一緒に…………」

「ラナ。あなたって、魔法使えたかしら?」

「で、ですが私は………」

「大丈夫よ。何も殲滅すると言っているわけではないわ」

真剣な顔でそう言うミリア。すると俺の方に向き直り、

「ユウちゃん?ユウちゃんはマルシアと一緒に、ここから逃げて?」

「…………母様は?」

「私はあの人たちを助けなきゃいけないの。…………大丈夫。ちょっと行って、すぐに帰ってくるわ」

優しく俺をでる。俺が自分も行くと言ったところで、誰も賛同してくれないのは火を見るよりも明らかだ。

でも、このまま行かせていいのか?この優しく溫かい家族を失うかもしれないのに。俺は何のために強くなろうとした?俺は…………、

「……………い」

「?」

「………いってらっしゃい。母様」

無理矢理笑顔を作る。俺のの中に不安が広がっている。でも、今の俺の言葉では、ミリアを説得することはできない。だったらすぐにでも行かせて、しでも早く帰ってこられるようにするべきだ。

「…………ありがとう、ユウちゃん」

そう言って、ミリアとラナは悲鳴のした方向へ。俺とマルシアは逆方向へ進み始めた。

「はぁっ、はぁっ」

「マルシア、大丈夫っ?」

「は、はい。お気になさらないでください」

ミリアたちと別れたあと、兵を出すために家に戻ろうとしていた俺達だったが、マルシアが苦しそうにしていたため一度立ち止まって様子を見ていた。あまり、調子が良くなさそうにしており、顔も良くない。

「マルシア、これ」

ひとまず、バックから水筒を取り出し水をあげる。

「だ、大丈夫です。そ、それよりもミリア様たちを…………」

「ちゃんと飲んで?母様たちなら、大丈夫だよ」

そう言って、俺はもう一度強化を使い、母様たちの様子を見る。二人は既に現場に到著しており、オークの殲滅を行っていた。ミリアは魔法で。ラナは短剣を両手に持ち、手當たり次第に數を減らしていく。そして、ミリアの近くには三人の人影が見えた。夫婦であろう二人の男と、俺と同じくらいのの子。恐らく、彼らが先程の悲鳴をあげたのだろう。

「(よかった。無事に保護されたんだ)」

ホッとで下ろし、全の狀況を見る。

「(……………うん。大丈夫そうだ)」

ミリアが風の刃みたいなもので、あの家族には近づけさせないようにして、ラナも一ずつ確実に仕留めていた。

「(殲滅じゃないって言ってたような…………まぁこれなら、時間の問題だな)」

そして俺は、安堵の息をつこうとして…………………つけなかった。何故なら、

「…………えっ」

俺の目には、先程まで戦っていたはずのミリアが倒れた姿が映っていたのだから。

〜ラナside〜

「はっ!」

「ギュワ〜〜!」

私が短剣を振るうたびにオークたちが、気持ちの悪いび聲を上げながら倒れていく。

「つぁっ!!」

ズバッ、という音と共に目の前のオークが倒れる。ここまでの規模の戦闘は久しぶりだったが、なんとか押しきれそうだ。もちろん、これも奧様のおかげだが。

「(…………奧様のアレ・・の心配も無さそうですし)」

私はそう思い、再び自分の戦闘を始めようとした……………のだが、

「……………うっ」

「えっ?」

私の耳がのうめき聲のようなものを捉えた。そして、先程まで奧様がいた方を向くと、

「っ!?奧様っ!!」

奧様が苦しそうな表をして倒れていた。

「だ、大丈夫ですかっ!?」

私はすぐに奧様に駆け寄る。さっき襲われていた家族も心配そうに見ていた。

「だ、大丈夫、だから」

そう言う奧様の額には汗が滲んでおり、苦悶の表を無理矢理抑え、笑顔を作っていた。

「っ………………奧様は休んでいてください」

「だ、ダメ、よ」

「奧様の方が駄目です。私なら大丈夫ですから」

そう言って私はいつの間にか近づいてきていたオークを切る。

「はぁっ!!!」

が飛び散る。それでも、私は攻撃を止めない。奧様の魔法による支援が無くなってしまったのは正直なところつらいと言わざるを得ない。でも、

「(…………私を救ってくださった奧様。そして、私を信じて送り出してくださったユウト様のためにも。私は負けられないっ!!)」

私の脳裏には、先ほど別れたユウト様の顔が映っていた。あの年なら普通、自分の母親を行かせたりしないだろう。あんなふうに気を使えるような子を私は他に知らない。あんなに優しく、あんなに強いのも、彼だからだろう。そんな彼の母親をこんなところで、死なせるわけにはいかないっ!!

「ふっ!!!」

私は決意をに切り続ける。

でも、

「うおっ!!!」

「きゃあ!?!?」

「あっ!!」

奧様たちの方にオークがどこからか現れて、攻撃を加えようとする。

「危ないっ!!!」

と、間一髪のところで相手のオークを切る。でも、

「(このままじゃっ!?)」

倒すだけならできるかもしれない。オークとはいえ、私の実力ならば問題なく狩ることができる。でも、誰かを守りながらだと、どうしてもスキができてしまう。それに、奧様はけるかどうかすら不明だ。

それからも、何とか相手の攻撃を弾きながら數を減らしていたが、次第に追い詰められていく。

「くっ………」

どうする?せめて、奧様とこの家族だけは逃さないと………!

「…………ラナ」

「奧様っ!」

奧様の目が覚めた。苦しそうな様子は変わらないが、それだけでも私にとっては嬉しいことだった。

「ラナ…………このままじゃ、ジリ貧でしょ?」

「…………」

「だから、あなただけでも……………」

「駄目に決まっているでしょう!!!」

私は思わずんでしまう。そんなこと、絶対に駄目だ。あなたが死んでしまったら、皆が悲しむ。あの溫かい家族が壊れてしまう。それは、絶対に駄目だ。

「そちらの男の方!!」

「あ、あぁ!」

「奧様を抱えてください。皆さんは、私が道を切り開きますので、その後を付いてきてください!!」

「わ、わかった!」

その男は嫌がらず、言うとおりにしてくれた。普通の男なら、そんなことは絶対にしないだろう。いや、それ以前に私の言うことなんて聞いてくれないだろう。きっと、この人も旦那様やユウト様と同じように、優しい人なんだろうな。

「ラナ!なにを!?」

「…………この狀況では、一點突破しかありません。皆さんは私の後ろをなんとか付いてきてください」

「っ…………でも、それじゃあ………」

「私は大丈夫です」

無理矢理奧様の言葉を遮って、集中する。

「(…………無理に切る必要はない。弾くだけでもいい)」

とにかく、ここさえ抜ければなんとかなる。

「ふぅ………………行きますっ!!」

その掛け聲とともに、私は走り出す。その後ろをあの家族が付いてくる。目の前のオークを斬り、左右からの攻撃を最小限のきでかわす。

「(よしっ!これなら…………)」

なんとか、オークたちを振り切れそうだ。そう思った。そう、油斷してしまった。私の反応が一瞬遅れる。そして、後ろから男を狙っているオークの攻撃が奧様を襲う。

「奧様っ!?!?」

私はすぐに立ち止まり、男の方に駆け出す。そしてなんとか奧様を庇うが、

「うっ!!」

無理な態勢から庇ったため、上手く捌ききれずに私の右腕が斬りつけられる。

「っ…………」

右腕に痛みが走る。でも、今はそれを気にしている場合じゃない。早く、逃さないと…………。

しかし、現実は殘酷で私達はオークたちに囲まれてしまっていた。

「っ……………」

どうする?どうする!?

必死に考えるが解決策は浮かばない。しかし、相手からすれば考える時間すら関係ない。すぐに大量のオークたちが襲ってくる。

「っ!!」

私は奧様を抱きしめる。攻撃されるのは私だけでいい。もしかしたら、私が頑張れば奧様だけでも生き殘れるかもしれない。

結局、私はこの人たちも守れなかった。私を信じて送り出してくれた彼になんて謝ればいいのだろう?いや、もう謝ることもできないのか………。私はギュッと目を瞑って、オークたちの攻撃を待つ。しかし、

「「「「ギャーーー!!!」」」」

実際に聞こえてきたのはオークたちの斷末魔だった。

「え…………」

私が目を開けると、そこには所々に傷がついて、明な剣を持っているユウト様がいた。

「えっ…………」

ミリアが倒れた。その景はまるで、夢を見ているようで現実がない。

「…………?」

な、なんで?なんで、ミリアが?

「…………ト様!」

どうする?どうする!?

「ユウト様!!何があったのですか!?」

「っ!!」

マルシアの言葉で意識が戻る。

「か、母様が…………倒れた」

「っ!!………………ユウト様!急いでお屋敷にお戻りください!」

「ま、マルシア?」

「私はミリア様たちに加勢してきますので」

「なっ!!だ、駄目だよ!そんな調で!!それにマルシアは…………」

「…………私もしくらいの経験はあります」

いつものマルシアからは絶対に想像できないであろう聲でそう言った。俺にそういうマルシアの目は本気だった。そしてそれは、何かを守ろうとする者の目だった。

「……………」

「さぁ、ユウト様。早く…………」

「…………駄目だ」

「えっ…………」

マルシアは思わぬ返事に驚いたのであろう。し驚いた表をしていた。

「その役目は僕がやる。マルシアはなるべく早く家に戻って?」

「そ、そのようなことは!!」

「…………命令だよ、マルシア」

「っ!!」

マルシアの目を見ながら俺はそう言った。俺は今までマルシアに対して一度も命令、と言ったことはなかった。自分のことはなるべく自分でやるようにしているし、頼るときもお願い、として聞いてもらっていた。そんな俺が命令、と言ったのだ。マルシアがけた衝撃は相當大きかったのであろう。

しかしマルシアはすぐにはぁ、とため息をついて苦笑混じりに、

「…………やっぱり、旦那様とミリア様のご子息ですね」

と言って、立ち上がる。

「……………私はすぐに家に向かいます。ユウト様は奧様たちを助けてあげてください」

「うん!わかっ…………」

「ただし!!」

マルシアはキッと真剣な目をして、

「……………無理だと思ったら、絶対に逃げてください」

と目を伏せて言った。俺にとってはこの人も、母親のような存在だ。俺のことをこんなふうに心配してくれるのだ。だから俺は、

「わかった!!」

そう返事をして、すぐにミリアたちの元へ向かった。

「(ミリアたちはっ……!!)」

強化で走るスピードを上げながら、狀況を確認する。

「(っ…………マズイな。囲まれてる)」

ミリアたちはオークたちに囲まれていた。ラナが一人で頑張ってはいるが、數に差があり過ぎる。しかも、ラナはミリアたちを守りながら、戦闘をしなければならない。

「(…………あっ!き始めた!?まさか、ラナが全部引きけるつもりか!?)」

ミリアたちは、ラナを先頭に走り始めていた。その頃になって、ようやく俺もオークたちの集団にたどり著く。

俺は腰に下げた剣を抜く。これは二歳の誕生日のときに、クライドにもらった剣だ。いつもはお守り代わりに持っている。それは剣というよりも、ナイフに近いが今の俺にとっては短剣くらいのサイズにじる。だが、いくらなんでもそんなサイズではコイツらは殺せない。だから俺は、ある魔法を唱える。

「不可視の剣インビジブルソード!!」

すると、俺のから魔力が溢れ出す。そして、明に見えるソレは俺の右手に握られた短剣に移して、形を変える。

これは魔力制の訓練をしている最中に俺が考えた魔法……………いや、コレを魔法と言ってもいいのかはわからないが………。簡単に言えば、魔力を質化して、それを剣の形にしているだけだ。まぁ、先生いわく「普通はそんな非効率なことはしない」らしい。そもそも、魔力を質として外に出すということ自がありえないことらしい。まぁ、それはともかく実踐で使ってみた結果、魔力で出來た刃はそんじょそこらの剣であれば豆腐みたいに切れてしまったので、威力は申し分ない。つまり、

「ふっ!!」

ズバッ!!

「ギュワ〜〜〜!!!」

と、キレイにオークが真っ二つに切り裂かれる。これならば、俺の力でも十分に切れるし、範囲も十分だ。

俺は走りながら次々にオークを切っていく。オークのが自分にかかってもお構いなしに、ただただ進んでいく。

「……………っ!見えたっ!!」

そして、ようやくミリアたちの姿を捉える。しかしそのとき、ミリアたちは止まっており、その周りからオークたちが飛びかかる。ラナはミリアを抱きかかえる。

「(っ!!)」

全力で駆け出す。周りのオークが俺を斬ろうと躍起になって剣やら斧やらを振るう。最低限は避けて、かすり傷程度ならば気にせずに進む。そして、

「…………死ねっ!!」

飛びかかるオークを後ろから真っ二つにする。そして周りのオークたちも同じように水平に斬りつける。そして返りが俺の髪にもかかる。うぇ…………最悪。

「えっ……………ゆ、ユウト、様?」

目の前にはポカンとした表を浮かべるラナがいる。よかった………。なんとか間に合ったか。

「うん。そうだよ?ラナ」

ニカッと、なるべく安心させるように笑う。するとラナは下を向いてわずかに震え始める。

「(……………そりゃあ、怖かったよな。こんな狀況になれば)」

と考えた俺は、勵まそうと思い聲をかけようとした。

「ラナ……………」

「な………………」

「ん?」

「な………………何をなさっているんですかっ!?!?」

と、怒り始めた。

「何って…………助けに來た?」

「そうですけど!そういうことではなくて!?」

「とりあえず、その話はあとにしよう」

「っ!」

俺は再び視線をオークたちに向ける。そして突撃、からの回転。さらに先程よりもし刃を長くする。

「つぁっ!!!」

「「ギュワ〜〜!!!!」」

「「「ガボッ!!!」」」

何匹かを同時に斬る。それでもまだまだいる。……………なんでこんなに。いや、それはまた後だ。これは剣で斬ってたらキリがないな。

「…………仕方ないか」

俺は剣をしまい、代わりに目を瞑り先程の景を思い出す。その景とは、ミリアが魔法を放っていた場面だ。初級魔法なら習ってはいたが、コイツラに通じるかが不安だ。それに、さっきの魔法ならコイツらを殺せる。

「(イメージをしろ。さっきの魔法を………)」

「ゆ、ユウト様!?前っ!!」

顔をし上げると、オークが突進してきていた。でも、

「(…………悪いけど、コッチは準備出來てんだよっ!!)」

そして、魔法を放つ。

「風刃っ!!」

「えっ!!!」

俺から放たれた魔法は一直線に襲いかかろうとしていたオークに向かう。そして、スパッと言う音とともにオークが半分になる。

「…………うん。できた」

「……………」

ポカンとしているラナはとりあえずおいといて、俺はオークたちと向き合う。

「(でも…………これだけじゃ)」

倒していては効率が悪い上に、ラナにも負擔がかかってしまう。それに、早くミリアを家に連れて帰らないと…………!!

「だったら…………!」

もう一度、目を瞑り集中する。今回イメージするのは敵を全部捕捉して、一気に倒すイメージ。自分の魔力を周囲に展開して、自分の脳の中で立的な空間を作る。地形や気候も考えて、ジオラマを作る、そんなイメージ。

「……………っ」

ズキンっと頭が痛むが、無理やり作業を進め、なんとか魔法を完させる。

「(よしっ……これなら)」

とりあえず出來た魔法をすぐに使う。

「空間把握マルチロックオン」

そして、自分を中心にして魔力が放出されオークの位置を確認する。さらに、

「並行処理マルチタスク」

もう一つの魔法を使う。この魔法は一つの魔法を連続同時発させるものだ。回數は本人の技量…………というか、脳の処理能力に比例する。今の俺は空間把握も使っているため、せいぜい三十ほどが限界だろうか?

「(…………でも、十分だ)」

そして俺は先ほどの風刃を発させる。

「くらえっ!!暴風ストリームっ!!!」

その掛け聲とともに、俺から風の刃が放たれる。それらは寸分狂いもなく、オークたちに襲いかかる。

「「「ギャ〜!!!」」」

「「グギャ〜〜!!」」

風の刃とオークたちの斷末魔が消えたあと、俺の目の前は地獄絵図のような景だった。でも、

「よかった…………守れて」

この手で守れたことを実し、嬉しさがこみ上げてくる。そして俺は、一息ついてミリアたちのもとに戻ろうとしたが、

「(…………あれ?)」

かない。いや、力がらないと言ったほうがいいだろう。俺の視界では、世界がゆっくりと倒れていく様子が映し出されていた。

「(いや…………これ、俺・が倒れてるのか?)」

ドサッ、という音がする。しかし、それはまるで他人事のようだ。すると、すぐに瞼が重くなってくる。そんな俺が最後に見たのは、

泣きながら何かをんでいるラナの姿だった。

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