《男尊卑の改革者》第一章『異世界転生!?』第十一話「村との語 前半」
  ある日、俺は家の前の庭で先生と魔法の訓練をしていた。
「…………………ふぅ〜」
俺は力すると同時に、魔力を高める。ある程度の魔力にすると、
「…………うん、そうだね。そのままの狀態で、十分で良いから持ち堪えよう」
「はい」
先生に言われるがままに、俺は魔力を放出する。すると、自分の中の力が抜けていくようなじがする。これを十分……………。
「………………っ」
今、俺がやっているトレーニングは魔力総量を増やすためのものだ。魔力総量は限界ギリギリまで使うたびに増えるそうで、先生もこれを毎日しているらしい。とは言え、空っぽにしてしまっては本當に危ないらしいので、普通は限界ギリギリまでやることはしないのだが……………。俺の場合は、先生が『私がいるから気にするな!』とか言って、ぶっ倒れる寸前まで続けさせられていた。こんなに疲れたのは、もしかしたら人生の中でも初めてかもしれない。
そして十分後、
「………………よし、やめだ」
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「…………ふぅ」
俺は先生の一言で一息つく。最初はこのくらいでやると、フラフラになってしまっていたが、今では大分もつようになってきていた。
「余裕そうだな…………。よし、明日からは魔力の放出量を二倍にしてみるか」
「え!?に、二倍ですか!?」
「なに。心配しなくても、後のことは私に任せておけばいい」
先生はニカッと笑いながらそんな事を言う。いや、別にそれを心配しているわけじゃないんだが……………。
「……………お?ミリアたちが來たようだぞ」
俺が一人、ため息をついていると、先生が家の方を見ながら呟いた。振り向くと、家の方から二人のシルエットが見える。ミリアとマルシアだ。そして、二人の腕の中には小さなの子が見える。二人は腕の中で周りをキョロキョロしていたかと思うと、俺の方を向いてニパーっと笑顔を見せる。
「にぃーーーー!」
「ユウーーーー!」
俺の方に一生懸命腕をばして、バタバタさせている。…………………可い。
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もちろん、クロエとリリィだ。二人共大分大きくなってし話したり、一人で歩けるようになっていた。
ミリアたちは二人のそんな姿に苦笑いして、二人を地面に下ろす。するとテクテクと謎の効果音を出しながら、二人が俺の方に歩いてきた。
「にぃ〜〜〜♡」
最初に俺の下にたどり著いたのは、クロエだった。俺は抱っこ抱っことおねだりをするように、手を上に上げるクロエを抱き上げる。
「よく歩いてこれたね?偉いぞ〜」
俺はそう言って、微笑みながら頭をでてあげる。すると、さらにニパーッとして眩しい笑顔を浮かべる我が妹天使。……………可すぎるぞ、この子。
前世でも妹はいたけど、初めて會ったときの夢月はここまで小さくなかったからなぁ。
俺がそんなことを考えていると、服の裾がクイクイと下に引っ張られる。どうやらリリィも著いたようだ。見ると、ちょっと涙目になりながら、上目遣いで子首を傾げている。耳はフニャンとなっており、なんとも可らしい。一番じゃなくて落ち込んでるのか?…………………まったく、本當にこの子達は。可すぎやしないか?
俺の今のでは、殘念ながら二人同時に抱っこすることは出來ないので、ひとまずクロエを地面に置く(クロエが不満そうに、頬をプクーっと膨らましていたのはご)。そして微笑みながら、おいで?と言うようにリリィに向かって手を広げてあげる。それを見たリリィは、パーッと可らしい笑顔を浮かべて、俺のに飛び込んでくる。
「ユウ〜〜〜!」
そして、リリィは頭を俺のにスリスリし始める。どうやら、リリィはコレがお気にりのようで、昔からずっと行っている。まぁ、可いからいいのだけど、何か意味があるのかな?
「あらあら〜。モテモテねぇ、ユウちゃん?」
「くすっ…………ユウト様なら當然ですね」
それから、ニコニコと微笑みながらミリアたちがやってくる。
「いつもありがとうございます、ユウト様。本來ならば、お世話をする側なのですが……………」
「まだこんなに小さいんだから、無理はさせないであげてね?それと、勝手に僕専屬にしちゃダメだよ?この子にもいろんな道があるんだから」
俺はそう言ってから、「ね〜?」と俺の腕の中でキョトンとしているリリィに微笑む。それを見て、リリィもニコニコと笑い返してくれる。
「わざわざ、私が言わなくても………………いえ、そうですね。私達のようなメイドに対して、ご配慮ありがとうございます」
「家族だからね。當たり前でしょ?」
そういうと、マルシアもキョトンとしてしまう。……………あ、なんか似てるな。
「……………ふふっ。本當に、ユウト様は…………」
「しょうがないわ〜。だって、あの人のを継いでいるんだもの〜」
「それも、そうですね」
そう言って、二人は笑い合う。……………何がしょうがないんだろうな?
「そう言えば、母様。何か用ですか?」
「あぁ、そうそう。お散歩してたのだけど、そろそろお晝だから呼びに來たのよ〜」
「あれ?もう、そんな時間ですか?」
「はい。すでにお晝を過ぎております」
「今日は村の方に行くのでしょう?だったらそろそろ食べたほうがいいんじゃないかしら〜?」
「そうですね…………では、行きましょうか。先生?」
「あぁ、行ってこい。私はし用事があるから、これで失禮する」
「そうですか」
そう言って、先生は飛行魔法を使ってどこかへ行ってしまう。……………俺も早く使いたいな。
「さぁ、ユウト様」
「うん。それじゃあ、行こっか。二人共?」
俺はリリィを下ろしてから、二人に笑いかけた。すると、二人は手を上げて、
「「はいっ!」」
元気に返事をした。うん、可い。
「ふぅ…………ごちそうさまでした」
「はい。お末様でした」
そう言って、俺が食べ終えた食を片付けてくれたのはラナだ。あれから二年以上経っており、ラナも長していた(何処とは言わないが…………)。
「ありがとう、ラナ。今日も味しかったよ?」
「そうですか。それは何よりです」
ラナはそう言って、優しく微笑んでくれる。あれからもラナは変わらず、俺の姉のような存在だ。去年、ソフィアが王都の魔法科學園に通い始めたため、余計そうじるのかもしれない。前世では甘えることがなかったから、っていうのもあるかもな。
「にぃ〜〜」
「ん?どうした?」
聲のした方を見ると、食事をとっていたはずのクロエがブーっとした表をしていた。
「にんじん、やぁ〜〜。食べて〜〜?」
………………まぁ、そういう時期だよな。首をコテンと傾げながら俺に頼んでくる。……………………くっ!一瞬揺れたがそれはクロエのためにならないからな。
「あ〜、にぃは今、人參をちゃんと食べれる偉い子をナデナデしてあげたい気分だな〜?」
俺はチラチラとクロエを見ながらそういった。
「…………う?」
お。若干の反応あり、か?
「ん?リリィはちゃんと全部食べてるね〜。偉いぞ〜〜」
そう言って、クロエとは反対側に座っていたリリィの頭をでてあげる。
「えへへ〜〜〜〜♡」
「うぅ〜〜〜〜〜!」
すると、クロエは人參と俺に頭をでられているリリィを互に見始める。そしてクロエは涙目になりながらも、意を決したように一気にパクリと人參を食べる。
「むぐむぐ………………ゴクンっ。に、にぃ?クロエ、ちゃんと、食べた、よ?」
上目遣いで何かを求めるかのように俺を見つめるクロエ。
「うん。良く出來ました」
ご希通り、頭をでてあげる。
「えへへ〜〜〜♡」
うん、可いなぁ。
俺たちがそんな風に和んでいる姿を見ていたミリアたちは、
「……………何ていうか、どこかの夫よりも親してる気がするのだけど………」
「み、ミリア様。流石に可そうでは………………でも、私も思い當たる人はいますね」
と言った話をしていた。それと同時に、どこかの男騎士二人組がくしゃみをしたのはまた別の話である。
「……………ユウト様。準備ができましたので、いつでも行けます!」
「分かりました。いつも、ありがとうございます」
「いえっ!ユウト様に盡くしている時間は至福の時間ですので、お気になさらないでくださいっ!むしろ、まだ何かありませんか?何かございましたら、なんなりと申しあげください!!そうすれば私は、それはもう音を超え、をも超えてそれをこなしてみせますっ!!」
「あはは………」
腕をブンブン振り回して熱弁するメイドさんに馬車の準備をしてもらい、街へ行く準備をする。とは言え特に何かいる、というわけではないのだが。
「それにですね?メイド一同ユウト様に忠誠を盡くしていますから、そのようなご遠慮は無用です。でも、ユウト様はお優しいですから私達のような者たちにも優しさや有り難いお言葉をくださるのですよね?ありがとうございます!!あと、私達はユウト様とこうやってお話ができるだけで、もう天にも昇るほど幸せなのですから、お気になさらないでくださいっ!っていうか、もっと話しかけてくださってもよろしいですよ?むしろ、話しかけてください!!あ、そういえば……………」
……………あ、基本的にうちのメイドさんたちは一部を除いてこんなじですよ?えぇ。
止まらないメイドさんをどうしようか迷っていると、
「アニ。その辺にしておきなさい」
「あうっ!」
家から出てきたラナがメイドさん(アニさん)に、脳天チョップを食らわせた。
「うぅ…………はっ!ま、またやっちゃった!?も、申し訳ありませんっ!ユウト様っ!!貴重なお時間をむだにしてしまいっ!!」
「ふふっ。そんなに気にしなくていいよ?それに、アニさんが話してるときの表はコロコロ変わるので、見てて楽しいですから」
「ふぇ?…………そ、そうです、か?」
「はい。可いですし」
「かわっ!?!?」
何処からか、ボシュッ!という音が聞こえた。………………なんの音だ?
「はぁ…………ユウト様。それくらいにしてあげてください」
「ん?」
「それ以上はこの子が保ちませんから」
「?よくわかんないけど…………わかった」
何が保たないんだろうな?ただ、本當のこ……………、
「本當のことを言えばいいという訳ではありませんからね?」
「………………はい」
……………やっぱり、この世界のは心が読めるのか?
ラナと一緒に家を出てから數十分。何もないところに、一つの村が見えてきた。見ると、その村のり口らしきところには甲冑姿のがいる。真剣な表で周囲を監視するその姿は、であってもカッコいいと思う。
ところが、そのは俺が乗っている馬車に気づくと、はっとした表をして近くにある大きな鐘を鳴らす。それを見て、これから起こることに思わずため息をついてしまう。
「みんな〜〜〜!!ユウト様がいらっしゃいましたよ〜〜!!!」
そのが大きな聲でそう言うと、村の家中からぞろぞろと人が出てくる。老若乙?が俺を迎えるように何故か道に並ぶ。
そして馬車が到著すると、
「「「「どうぞっ!!」」」」
と、メイドさん顔負けのキレイなお辭儀をしてくれる。
「…………………いや、違いますよね?」
どうぞ、じゃないと思うんだけど。
「?何か問題がありましたか?」
「………………どうして、これを僕が來るたびにやるんですか?」
そう。毎回なのだ。最初に來たときには流石に男だから警戒されていたが、すぐに打ち解けることができた。……………のはいいのだが、毎回こんなことをされてもなぁ。
「もちろん!住民たちの謝をつたえるためですっ!!」
「絶対別の方法がありますよね?」
と、これも毎回している會話だ。俺の隣ではラナが集まっていた皆をちらしていた。
「まぁ、ともかく!皆、ユウト様には謝しているのです!」
「………………分かりました。では、いつも通り始めたいので皆を呼んでいただけますか?」
「分かりました!
ビシッと敬禮したはそれだけ言って、みんなを呼びに行った。さてと、俺も準備をするかな?
「……………よし。みんな揃ったね?」
「「「「はぁ〜〜〜い!」」」」
「それじゃあ、授業を始めようか?」
俺はそう言って、メガネをくいっと上げる。
ここは街の中にある校舎の一室。以前は廃校舎だったが、ウチが買い取って新しく改築した。臺所や風呂なども用意されており、いわゆる小型の宿泊施設になっている。
何故わざわざそんなことをしているかと言うと、この村は高齢化が特に進んでおり、前世で言う小學生くらいの子も働く必要がある。そのため、王都に行って勉強することもできないのだ。そこで俺がクライドに頼んで、ここを買い取って改築してもらったのだ。講師は俺一人だが……………まぁ、なんとかまわせている。あ、ちなみにメガネは伊達だ。
「まずは一昨日出した宿題を提出してもらおうかな?」
俺がそう言うと、皆は後ろからプリントをまわしてくる。
「……………うん。全員提出だね。皆、時間がないのによく頑張ったね」
俺は笑みをこらえきれず、微笑みながらそう言った。この子達は皆、誰一人として提出を遅れて出したことがないのだ。この位の歳の子ならば、しくらいミスするとは思ってたんだけど……………。
「先生っ!」
「……………ん?なんだい?」
俺が考え込んでいると、一人の生徒が立ち上がり話しかけてきた。
「私たち、みんながんばりました!」
「あ、あぁ、そうだね。今回も全員提出だからね。皆、本當に頑張ってると思うよ?」
「だったら、ご褒がほしいですっ!!」
「ご、ご褒?」
「はいっ!」
「……………えっと、それはもしかして頭ナデナデ、かな?」
「はいっ!!!」
あぁ…………うん。いい返事だね。
実は最初の授業のとき、皆初めての男を前に張しまくっていたのだ。それで張を取り除くために、問題を解いてもらった數人の生徒の頭をなるべく優しくなでてあげたのだ。それから、「勉強を頑張ればでてもらえる」という暗黙のルールが設定されたのだ。まぁ、このくらいで皆が頑張ってくれるなら安いもんなんだけど……………。
「えっと…………たまには別のご褒でもいいけど」
「ナデナデがいいですっ!」
その一言を期に、皆が騒ぎ始めてしまう。…………そんなに嬉しいのかな?
「……………あっ!先生!私、別のがいいですっ!」
すると一人の生徒が手を上げて、そう言った。
「あ、あぁ、いいよ。僕にできる範囲のことなら、なんでもするから」
「ホントですかっ!」
嬉しそうに笑顔を浮かべるの子。可いなぁ。
「そ、それじゃあ……………」
その子は席を立ってトコトコと、俺の方に近づいてくる。
「よいしょっ!」
そして俺のヒザの上によじよじと上ってくる。そのまま、ストンと俺の膝に腰を下ろした………………え?
「先生っ!ナデナデしてくださいっ!!」
教室が靜まり返る。しかし次の瞬間、
「あぁ〜〜!いいなぁ〜〜〜、リコちゃん!!」
「ずるい〜!先生っ、私も〜〜!!」
「私も私も〜〜〜!!」
「ちょ!み、皆落ち著いて!!」
俺の聲かけは虛しく、子どもたちの聲にかき消されてしまった。
やっぱり、子供であってもの子なのだと改めて思い知らされました。
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