「……ぅ……ん？ ここは……？」

目を覚ますと知らない天井を前に暖かいベッドで眠っていた。とても寢心地が良くこのまま二度寢したいところだが、まずは起きて狀況確認だ。

確かあの神が俺の保護者になるとか言って……そこから記憶があまりない。というか手を摑まれた瞬間に気を失ったのだろう。

──ギシッ

「シンシア起きた！？」

ベッドから外に出ようとした時の軋む音に気づいたのか、あの神が扉を勢いよく開けて部屋にってきた。

「あぁっしのシンシアッ！ 今日から私がシンシアの保護者、お母さんよ」

「あ、あぁそう……お母さんね」

あの神の神々しいオーラはどうしたのだろうか。今じゃ本當にただのお母さんのような雰囲気で、そこまで張する事なく話す事ができる。

「貴の為に世界をし弄ったの。今の貴はこの世界じゃ最強クラスの魔を使えるわ」

「……マジか……」

口に出す言葉が思い浮かばず、ただ今の狀況に驚くことしかできなかった。

「素っ気ない態度も素敵よシンシア。私はこれから貴の保護者として共に生活する事になったから、よろしくねっ」

「っ……よ、よろしく」

この神、見た目や笑顔は良いんだが頭がし殘念だ。しかしこんなに強力な味方がいるのであれば異世界生活も満喫できそうだな。

「今何時？」

「元の世界で言うところの8時よ。朝ごはんにする？ それともお散歩？ 今から學校に転校しにいく？ 私の手にかかれば予定なんて簡単に調節できるわよ」

本當に凄いなこの神。俺の言うことなんでも聞いてくれるのか。

……ふむ。ならしは夢を見ても良いってことだな、神様。

「じゃあ一緒に寢よう」

「っ！？ よろこんで！ 子守唄を歌ってあげるわね」

神は俺をベッドに寢かせると、一緒の布団の中にってきた。やはりなんでも言うことを聞いてくれるらしい。

それなりに大きいベッドではあるが、神のはかなりの大きさを誇っている。寢返りを打った勢いでパフパフしてもらえる程だ。これは偶然を裝ってるしかない。

って、神が子守唄を歌う為にの調子を整えてる……。歌はいい。

「子守唄は良いから話したいんだけど」

「あらそう？ どんな話が良いかしら」

んふふ〜と微笑みを浮かべる神は本當に神だ。こんなに神的なが前世の俺の人だったらどれ程幸せだった事か……。

「名前とかあるのか？」

「私の名前はサラティーナ。サラお母さんでもママでも、好きに呼んでいいわよ」

「じゃあサラ」

「はぁ〜っっ……幸せ」

名前を呼んだだけで震いをして頬を赤く染めている。どんだけ俺の事好きなんだ……。

「サラは俺の言うことってどの範囲まで聞いてくれるんだ？」

「ん？ そうねぇ〜……」

人差し指を立ててじっくり考えている姿も神並みにしい。神なんだけど。

「世界を滅ぼすとか、人を殺すとか以外なら基本的になんでもいいわね。あ、私より強くするなんていうのは不可能だからそれも無理かな〜」

「ってことは……本當になんでもいいのか？」

ガードが薄いというか、俺が元男なのを分かっていて言っているのに凄いな。

「とか興味あるでしょ」

「うっ……」

ニヤニヤと笑いながら大きなを近づけてきた。

「ってもいいのよ？」

「……ね、寢る！ おやすみ！」

「うふふふっ、遠慮しなくていいのに」

やはり俺にはそんな勇気なんてない。

なんとか寢返りをして逆方向を向いて目を瞑ると、サラは俺の橫腹らへんに手を當ててリズムよくポンポンと軽く叩いてきた。

本のお母さんにされているみたいで、とても安心する。

「今日から私と生活するんだから、張しなくていいのよ」

「……分かった……」

このポカポカと心から溫まっていく覚。これは神の力なのだろうか。しかし、家族の暖かさにもじる。

安心に包まれて眠くなってきた俺は、瞼を閉じて再び眠りについた。

◆◇◆◇◆

「んん〜……」

──ふにっ

……んっ？ 寢返りを打ったら何からかいが……ほっぺたに當たってる……。

嫌な予をじつつ目を開けると、そこには眠っているサラの満なが俺の頬を優しくけ止めていた。

「っ！！」

お……お、お、おおおおっぱいってあんなにらかいのかっ……。

初めてののにを覚えると同時に、とんでもない事に気づいてしまった。

この神、ノーブラだ。

「あら……おはようシンシア」

「おっ、おはよう……」

をってしまったのはバレていないだろうな。いくら見た目が可くてサラになんでも許されるような存在だとはいえ、中が男である限りプライドというが存在する。俺は自分のプライドを最後まで守り抜く。

「サラはまだ寢てていいよ」

「そう……？ じゃあお言葉に甘えて……」

「この家探検してきていい？」

「うんいいよ……危ないにはらないでね」

眠そうなサラを寢室に殘し、これからサラと共に過ごすこの家を探索することにした。

天井で分かるのだがこの家は木造だ。耐久は……まあ大丈夫だろう。

寢室を出てすぐにはリビングがあった。向かい合って座る大きなソファと小さなテーブル等は、明らかに俺とサラ二人専用の家ばかりだ。

リビングとキッチンは同じ部屋にあり、意外と前世と同じような料理道が置いてあるが、調味料や食材なんかはない。

「ん〜？」

キッチンに立ってリビング全を見渡して何か足りないなぁ〜と思っていたのだが、テレビか。流石に異世界にテレビはないもんな。

その代わりに壁の棚には沢山の本が並んであった。その殆どが日本語で、子供向けの本ばかり。

「日本語は神のことだからそういう世界なのだろうが、子供向けの本しかないのは問題だなぁ……」

もっとしっかりとしたような本を買いに行きたいな。この世界に本屋はあるのだろうか。

更に家の探検を続ける。

リビングから外に出ると、短い廊下が現れた。真っ直ぐ行くと玄関があり、途中には扉が二つ。

片方の白い扉を開けるとそこはトイレだった。

「そういや俺になったんだけど、トイレってどうしたらいいんだ……？」

そもそも実際にのなんて見たことがない。

「まあ、行きたくなったらその時で対処するか」

今度は反対側の扉を開ける。どうやらトイレの向かい側にバスルームがあるようで、ってすぐは洗面臺。そして目の前には明で中丸見えの浴槽。結構広い。

「シャワーは無いのか」

魔法でどうにかなるからだろう。

◆◇◆◇◆

家の探検を終わらせた俺は、再び寢室に戻って寢ようと思ったのだが……。

「あ、私もうすぐそっちに行こうと思ってたの」

「なっ、何してっ！？」

寢室にると、そこには上半で今から服を著ようとしているサラの姿が……。

初めてこの目で見る人のに、俺はその場で気を失ってしまった。