「シンシアちゃ〜ん！ 今日は休みだから一緒におでかけしよ？」

「ん〜……まだ寢させて……」

「も〜」

サラはいつでもテンションが高い。というより俺の前だとどうしてもテンションが高くなるようで、普段の教師としての仕事は真面目しているらしい。神なのに。

「ほっぺぷにぷに〜」

「ん〜〜〜……やめろぉ〜……」

なんでこの神はこんなにデレデレなんだっけ……。最近あんまり一緒に居れる時間がないから、折角の休みだからって流石に俺の力が持たない。

「今日はシンシアちゃんのお洋服とか買いに行こうと思うの」

「服なんて今持ってるもんで十分足りてるよ……」

「えぇ〜？ の子なんだからオシャレしないと」

オシャレとか興味無いんだよなぁ〜……そもそもオシャレってなんの意味があるんだ？ 見た目より機能を重視しないのはこの街が平和だからだろうか。

「平和だな」

「私がこの國を結界で守ってるからだね」

ふぅ〜ん結界……待て。

「まさか常に結界をってるのか？」

「そうだよ？」

まあ神なら広範囲に常に結界をるなんて簡単か……アイリと一緒に図書室でにつけた知識が役立つ時は來るのだろうか。

常識外なサラの力に頭を抱えながらを起こすと、ウキウキした様子のサラが何やらピンクの何かを持ってこちら見つめていた。

「ま、待て……それで何をする気だ？」

「ふっふ〜ん、買いに行く為にオシャレ！」

◆◇◆◇◆

「可いぃぃいいいいっっ！！！！ んはぁぁぁぁぁぁあああっっっっ！！」

「……」

ピンクでフリルの付いたワンピースを著せられ、髪のはツインテールにされた俺のプライドはズタボロにされていた。

「ね、ねぇっ！ ちょっとそれでサラお姉ちゃん大好きって言って！」

「なんで……」

「お願い！」

「サ、サラお姉ちゃん……大好き」

「んほぉぉぉぉぉぉおおおおおおっっっ！！！！！」

それからサラはしばらく興を抑えきれないようで、外に出てからも俺を人形のように抱きしめながら服屋へと向かった。

俺はとにかく、この恥ずかしい姿を同じ學園の奴らに見られない事を神に願っていた。この目の前にいる神にはそんな願い屆いていないのだろうけど。

それなりに大きな服屋にると、3人の店員がすぐさま俺の周りを囲んでんな服をオススメしてきた。

「この可いスカート似合うと思いますよ！」

「ボーイッシュなこの服も似合いそうですね」

「セクシーな部分も出してみますか！」

「はいっ！ 全部お願いします！！」

計4人の大人に著せ替え人形にされた俺は、人生で最も「可い」と言われる瞬間を迎えている。

他の客も集まってきて、俺が新たな服裝に著替えさせられるのをまだかまだかと待ちわび、更室から出てくると甲高い聲が店に響き渡る。

折角の休みのはずがいつも以上に疲労をじるのだが、俺はいつ開放されるのだろうか。

◆◇◆◇◆

「「お買い上げありがとうございましたっ！！」」

コスプレかと思うような服を両手いっぱいに抱えるサラ。俺もその服の中にり込まされ、まるでこれが一つのファッションのように周りから注目を集めている。

「この後どうするんだ？」

「一旦家に荷を置いた後に晝食食べに行きましょ。たまには外で食べるのもいいと思うの」

「俺は著替えるのか？」

「勿論！！」

當たり前だと言わんばかりのドヤ顔で答えるサラは、もう俺をどう変させるかという事しか頭にないようだ。

神様、どうか今日だけは同じ學園の生徒全員家に引きこもっててくれ！ 俺は今から潛伏ミッションを開始する！

家に帰ってきてすぐ、逃げようとする俺の服をあっという間にがせられてパンツ一丁にさせられた。

「今日はこのお姫様風のコーデで行こうね」

笑顔で服を選んだサラを斷ることなんてできず、俺は無表のまま可くなっていく自分の姿を眺めていた。

本當にお姫様風の服を著せられ、更には日傘なんて持たされて完全にサラのオモチャだ。

「完璧ね！」

「そうですか……」

「それじゃあ行きましょうお姫様っ？」

どうやら本當にこの姿のまま外に出なきゃいけないようだ。

外に出ると、やはり注目の的になった。周囲に人集りが出來て 「どこかの國の姫様か？」 なんて言われる始末。

こんなに人が集まってしまえば同じ學園の奴らに出會うのは確実だろう。とにかく顔を見られないよう下を向いて、日傘で死角を作ろう。

「かぁわぃ〜……」

そうですか。

「アレは天使なのか！？」

そうだな……今の俺はサラの天使的な何かだ。

「あれっ！？ サラ先生とシンシアちゃん！？」

んっ……この聲どこかで聞き覚えが。ま、まさか……いきなり出會ってしまうとは……。

「あ〜アイリちゃん！ 奇遇だね！」

「先生！ この可いのシンシアちゃんですよね！？」

「ち、違います……」

「そうだよ！ シンシアちゃんったら照れちゃって顔を上げてくれないの」

クソがぁぁぁぁあっっ!!!