《に転生した俺の保護者が神な件。》16話 まさかの神(じんぶつ)
何故か二人は朝以降はいつも通り過ごしていた。俺だけ妙に警戒して、いつもの調子を出せていない。考えすぎだろうか。
「シンシアちゃん、オススメした魔の本読んだ?」
「一応最後まで読んだよ」
魔を教えてもらう為に、サラに魔についての基礎知識が書いてある本を勧められて読んでいた。
空気中の魔素をで魔力に変換し、それをエネルギーとして放出するのが魔である魔法である。しかし、サラのように神様にしか使えない魔もあるようで、そういうのはこの本に書かれていなかった。
「とりあえず1人で練習して、風を起こすことはできるようになったよ」
そう言いながらサラの顔に涼しい風を送る。
「わぁ〜……1人でここまで出來るなら長が楽しみだよ! じゃあそろそろ魔の訓練に移ろうか」
「剣はその後?」
「ちゃんと順序じゅんじょがあるんだよ。來て」
サラの後ろについていく。
いよいよ漫畫やアニメで見たような魔法が使える。そう考えるとワクワクが止まらなくなってきた。
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いつか最強の魔師にでもなって……いや、俺ずっとの姿だからそこまでイイもんにはなれねぇか。
◆◇◆◇◆
やってきたのは特別クラス側の屋上。以前はゾーンの訓練をした場所だ。
「……ん? 誰かいるぞ?」
先客が居たのか。椅子に座って景を眺めているの姿が見える。といっても長い黒髪しか見えない為、誰なのか分からない。
「ここの學園長だよ」
が、學園長!? じゃあここで一番偉い人……一般クラスと特別クラスのトップ!
「挨拶しにいこ。あの人は私より強いから」
「サ、サラよりも……?」
「うん。実はあの人はこの世界を作った神様なの」
すまんサラが何を言っているのか分からない。人間の言葉で話せないのだろうか。
「この世界を作った神様なの、とはどういう意味?」
「言葉の通り。この世界を作ってくれて、更に全ての神のトップ。ゼウスの名を持つ神クロア様」
んん〜? 更に分からなくなったぞ? ゼウス? 神クロア? どうやら俺は英語が苦手なようだ。
「日本語でお願い」
「2人ともやっと來たか」
「ぬひゃあっ!!?」
突然遠くにいたはずの人が目の前に立っていて、俺は思わず悲鳴をあげてサラの後ろに隠れる。
「よろしくお願いします、クロア様」
「その子がシンシアちゃん? 可いなぁ」
「あ、ああ、貴が……? ゼウス……?」
サラと違ってシュッとした顔立ち、風でポニーテールの髪がサラリと揺れると思わず見とれてしまう。
「ゼウスって呼ばれてるけどクロアでいい。家庭の事で普段あんまりこっちに來ることはないんだけど、可い子がいるってサラティーナに言われて來てみたんだ。よろしくなシンシアちゃん」
そのは腰を低くして右手を前に出してきた。
「は、ひゃい……」
張でガチガチに固まったまま、なんとかその手を握る。目の前にゼウスがいるとか……これ何事よ。
サラとゼウスが目の前で何か話をしているようだか、俺にはもう何も聞こえない。あまりの衝撃に脳が考えることをやめ、ついには視界がグルグルと回り始めた。
「シンシアちゃんどうした?」
「ぁ……」
目の前に再びゼウスの顔が現れた瞬間、目の前が真っ白になり意識を失った。
◆◇◆◇◆
「……ん……」
「あ、シンシアちゃん起きた? 大丈夫〜?」
サラが目の前で心配そうにこちらを見ている。
ん? じゃあこのらかくていい匂いのする膝枕は……。
「私でビックリしすぎじゃないか? そんなに怖かったか?」
「うわぁっ!?」
ゼウスの膝枕で眠っていたと気づいて、すぐにその場から飛び跳ねて土下座する。
「すみゅましぇんでした!」
「な、なんで謝ってるんだ?」
「きっとクロア様の膝枕なんて恐れ多いって思ってるんですよ」
その通りだサラ。今ばかりは俺の事をなんでも分かるサラが有難い。
「へぇ〜意外とそういう地位は大切にする子なのか。元18歳とは思えないな」
「あ、あのゼウス様……今日は何をしに……ここへ?」
恐る恐る聞いてみる。
「今日は暇だったし、それに可い子がいるって話は聞いてたから見に來ようって思って來ただけだよ。シンシアちゃんはいつも通りでいい。私だって普通の人だから、気軽に接してくれ」
ゼウスが普通の人ってありえないでしょ。それだけ凄い力を持っている訳で、この世界を作ったんなら人1人を消す力も持ってる訳だ。
俺がゼウス様を怒らせてしまったらこの世から、それどころか魂すら消されて廻の道を外れる事になる。
「シンシアちゃん凄く張してるみたいですし、慣れるまではこのままになりそうですね」
「そうか……まあほとんどの人がそうだからな。2人とも魔の訓練をするんだろ? 見學させてくれ」
あれ、魔ってなんだっけ。衝撃で記憶がどこかに……。
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