「強化旅行ってどんなとこに泊まるんだろうね」

「日本みたいに和風な場所らしいぜ」

アイリとアデルが俺の機の近くで強化旅行について話している。

「シンシアちゃんって皆で泊まったりする旅行って好き？」

「いや嫌い……泊まるなら１人か親しい友人と2人きりが良いな。それに、風呂も大勢でるとか嫌だ」

特に風呂は本當に嫌だ。前世では皆と風呂にるのが嫌で修學旅行をズル休みしていたくらいにな。

「一般クラスにはの子多いからね〜……特別クラスの銭湯と分けられてたら嬉しいんだけど」

「確かに知らない奴らにを見られるのは恥ずかしいな」

あぁ〜……これだから旅行って言葉は嫌いなんだ。強化旅行休もうかな……なんで風呂に大勢でらないといけないんだ。一人風呂が一番良い。

「ダメだ。やっぱり俺皆とワイワイする事より１人でいた方が楽しい。旅行行かないかも」

「ダメだよ。シンシアちゃんがそういうなら私から先生にお願いするから、ね？ サラ先生ならシンシアちゃんのお願い聞いてくれるよ」

そうだと嬉しいな。

◆◇◆◇◆

それからしばらく話しているとサラが教室に戻ってきたので、アイリが早速お願いしにいった。すると話を聞いたサラが俺の元にやってきた。

「強化旅行行きたくない？」

「風呂が……ね」

本當はこんな小さな事、他の皆にとってはどうでもいい事なんだろうな。なんで皆は簡単に人前でになれるんだ？ 恥心の欠片もないのか？

「分かった。じゃあ宿泊先の小さなお風呂を借りるから、そこで私と一緒にろうね」

「まあそれならいいか……ありがとうサラ」

ふぅ、前世でも今世でも悩む容は一緒だな。

「ずるい！ 私もシンシアちゃんと一緒にお風呂りたい！」

「じゃあアイリちゃんも一緒にる？ いいかなシンシアちゃん」

「まあいいんじゃない」

親しい友人と普段から一緒にってる人となら問題ない。これで悩み事は無くなったし、旅行も楽しめるかな。

「アデルはどうするんだ？」

「なっ、ばっ、馬鹿かお前。俺が一緒にる訳ないだろ」

「そういう意味じゃねぇよ馬鹿」

アデルは何を勘違いしたのか顔を赤くして挙不審になっていた。

「アデルは皆と風呂にるの大丈夫なのか？」

「ん〜まあ慣れてるしな。それに銭湯にも結構通ってたし、抵抗はないな。シンシアちゃんは自分に自信がないから嫌なんじゃないか？」

自分に自信が無い、というのには反対意見は無い。

「自信を持って自分のを見せる、というのもナルシストっぽくて無理だけどな」

「何言ってんだか。シンシアちゃんはんな事を考えすぎなんだよ。もうし何も考えない馬鹿になっていてみたらどうだ？」

馬鹿になるなんて簡単に言うが、本當に馬鹿になれれば幸せ者だ。悩み事も不安も抱えずにその時その時で周りに合わせて行する馬鹿は尊敬するよ。

「はぁ……ごめん、なんか今の俺ちょっと機嫌悪いかも。一人にさせて」

「あっシンシアちゃん……」

教室から出て、そのまま中庭の芝生の上で寢転がる。

「ふぅ〜〜〜〜…………」

深く深呼吸をして神を安定させる。

確かに俺は考えすぎなのかもしれない。考えすぎるから周りに馴染めないし、友達もできない。だから前世じゃ駄目駄目だったんだ。

「あっシンシアさん」

「ん？ おぉカズ」

名前を呼ばれて顔を上げると、中庭には前世の友達のカズもいた。

「どうかしたんですか？」

「旅行の事考えてたら憂鬱になってさ」

カズは恐る恐るといったじで隣に座ってきた。まだし慣れないようだ。

「あぁ〜僕もそうなんですよ。暗だから皆とワイワイ騒げるかなって心配です」

やはりカズも俺と同じだな。流石元友達。

「シンシアさんもそういう人なんですね」

「ま、まあな」

それ言い換えれば暗なんですね。って言ってるのと同じだけど、正しいから否定出來ない。

「良かった。シンシアさんは他のの子と違って知的で」

「そうか？」

俺は正直自分の事はどうしょうもない馬鹿だと思っている。勉強だって苦手だし、良い事は何も無い人間だ。

「の子って基本的に的じゃないですか」

「ん〜まあな」

アイリは違うけどな。

「の子が的になるとまともな會話が出來なくなるというか、理屈の立しない事ばっかり話してくるんですよ」

「ハッハッハッ！ カズらしいな」

「えっ？」

おっと、つい前世のようなじで絡んでしまった、今の俺はシンシアだ。

「理屈っぽい者同士、仲良くしような」

「っ……はい！」

俺が拳をカズに向けると、カズも拳を合わせた。きっと2人の友はさらに深まった事だろう。

「なんだか僕と同じ人がいて嬉しいです」

「俺も嬉しいよ」

やはり俺と最も相の良い人はカズだな。いつか絶対前世と同じくらい仲良くなってみせる。