クラリスさんと出會い、俺とアイリとアデルとサラは花畑へ向かった。

クラリスさんは後ろ姿もとても綺麗で、ローブの下からし見える足だけでも人と分かる歩き方。きっとどこかの貴族の方だろうと俺は思った。

「クラリスさんはこの國に住んでるんですか？」

アイリがそう聞くと、クラリスさんはこちらを振り向いた。それだけでも綺麗だ。

「住んではいないけれど、よくこの國に遊びに來るからオススメの場所は知り盡くしてるわ」

「じゃあ私達にオススメの場所とか案してもらってもいいですか！」

サラは相手の迷を考えずに……。

「ええ、いいですよ。シンシアちゃんとも仲良くなりたいですし」

「っ……」

クラリスさんは俺の目を見て微笑んだ。それだけで言葉を失ってしまい、クラリスさんの綺麗な笑顔に見惚れる。

「もうお花畑に到著しますよ」

そう言われて我に返った俺は、目に映る花畑に気づいた。

花畑をバックにクラリスさんの後ろ姿が更に映える。

「結構広いんですね〜」

「お花の手れをする人が1度に4人も來るのだけど、それでもないくらい広いんですよ」

緩やかな坂道に赤と薄桃、そして白の綺麗な花がグラデーションを作って並んでいる。まるでそれぞれの花で一つの絵が出來ているようだ。

「シンシアちゃん中にってもいいみたいだからろ！」

「あ、うん」

アイリと手を繋いで花畑の中へ向かった。

「気をつけてね〜！」

◆◇◆◇◆

花畑の中にると、先程からしだけじていた花の匂いが更に強くなった。

「この花なんて名前なんだ？」

「ん〜書いてないね」

不思議な匂いだ。多分今までの人生で嗅いだことのない初めての匂い。この世界にしかない花だろう。

「っていいのかな」

「他の人もってるし、千切らないなら良いんじゃないか？」

アイリは薄桃の花にると、ビクンと手を引いた。

「どうした？」

「う、ううん何でもない。変なだったから」

「変な？」

俺も花にってみる。

「……うっ、なんか……なんとも言えないだな」

「ね？」

蟲のような、バッタの背中のような、ゴキブリのお腹のようなだ。そのどれもった事がないのだが想像するならそんなじである。

自分で想像して気持ち悪くなってきた。あまりこの花にれたくない。

「鳥立ってきた」

「戻るか」

見た目は綺麗な花だけど、ってみると表面が気持ち悪いという事が分かった。すぐにサラとクラリスさんの元に帰る。

「ほら、すぐ帰ってきたでしょ」

「ほんとだ〜！ どうして分かったんです？」

何やら俺達が帰ってくるのを分かっていたかのようにクラリスさんは話している。

「この花は特殊なんです。を守る為に不思議な匂いを放出して、その匂いを嗅いだ人が花にれるとその人が苦手な。食べたら苦手な味を與えるんです」

「最初から教えてくださいよ〜！」

「うふふふふ、験する事も大事なのよ」

だから鳥が止まらなかったのか……俺あの花嫌いだ。

しかし、クラリスさんは悪戯っ子なのかな。そこもまた可いな。

「私もってくる！」

サラが１人で走っていって、花にれた。

「ギャアアアアアアア！！！」

れた瞬間、サラは大聲でんでれた手をぶんぶんと振り回していた。そして先程とは明らかにテンションの落ちたサラが帰ってきた。

「す、凄かった……」

「一どんなを験したんだ……」

ある意味気になるところだ。サラがぶほど嫌いななんて想像すらできない。

まだチラチラとれた指先を確認しているし、相當酷かったんだな。

「アデル、お前もってこい」

「お、俺はいいよ！ 花とか興味ねぇし……」

アデルは俺達の反応を見て怖気付いているようだ。

「じゃあクラリスさんですね。花の効果を知っていてシンシアちゃん達に教えなかったですし」

サラがニヤリと笑ってクラリスさんにそういった。

「確かにクラリスさんがってないのはズルイですよ」

アイリまでそういうと、クラリスさんは困ったような表をした。

「わ、私はったことありますし。ほ、ほら！ 次の観場所に案しますよ」

「えいっ」

サラは地面に落ちていた花を集めたをハンカチで持って、クラリスさんの顔にペタンと當てた。

「あっそれは流石に……」

クラリスさんはしばらく直した後、涙目になりながら白目を向いて倒れた。

「クラリスさんっ！？」

「失神してる……」

「サラ、後で謝れよ」

「うぅ〜……とりあえずどこかに連れてかないと」

サラは失神しているクラリスさんを抱えると、どこか座れる場所を探すようにしばらく彷徨いた。

お、俺の位置からだとクラリスさんのローブの中が見えて……腳と黒のパン──

「あうっ」

アイリに抱き抱えられて絶景を堪能する事が出來なくなってしまった。

◆◇◆◇◆

なんとか団子屋のようなお店の前の椅子に座って、サラはクラリスさんの意識を取り戻させた。

「ぅ……」

「クラリスさんごめんなさい……」

「だ、大丈夫ですよ。ただ顔に來るのは予想外でした……」

クラリスさんが自分の頬にれて震いをした。

「シンシアちゃん、お口直しにちょっといいですか？」

「ん？ っ！？」

突然クラリスさんが自分の頬を俺の頬に合わせてきた。

らかいクラリスさんのが直に…………。

「シンシアちゃんの頬はとてもり心地が良いんですね」

「そ、そっすか……」

可くて良かった！ で良かった！ こんな人なお姉さんのほっぺを堪能できるのはだけ！ 今だけはこのに謝しなければな。