《天才の天災》同居人

學院 

それは昔、勇者が召喚されるより前の話。

學院設立の目的は勇者の排出。

実力者や素質ある者を集め、育て上げて魔王の討伐に向かわせるために作られた。

しかし、勇者育による魔王の討伐は1度も功したことがなく、各國の王が

魔王の討伐の案として考えたのが、

「この世界にいないのならほかの世界から呼べばいい」

という結論に至り、今の勇者召喚が行われた。

それでもなお、各地に學院が置かれている理由は、召喚される勇者には劣るものの、

學院で育した生徒達も逸した力をもっているからである。

その中でも、エギルの學院のエーデライト

と、ハネルのハトラスは世界で群を抜いて大きな學院である。

共に年齢制限はないが、試験で必要とされる素質がほかの學院よりも優れているため、両校共に生徒は100人にも満たない。

「ミネア、シズク。もう行くぞ?」

「待って。」

「ほらシズク、ボスが待ってるよ!」

「できた。ますたー、似合う?」

ミネアとシズクも和服を著ている。

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シズクは袖を摑んでくるりと回転して

こっちを見つめる。

「あぁ、似合う似合う。

それより、早く行って早く帰るぞ。」

「はいよ。」

歩いていくのはめんどくさいから、転移で學院の前まで飛ぶことにした。

「転移」

転移した先には白に包まれた大きな建がそびえ立ってる。

王城に匹敵する程にデカい。

「で、どーすればいいんだ?

お前らはクラスとか聞いてるか?」

「いや、學院に行くこともボスからしか聞いてないからね…」

「......ごめんなさい...」

「謝らなくていい。お前のミスじゃないだろ?」

そう言って下を向いたシズクの頭に手をのせる。

ちょうどその時、校門で紙を持ったが聲をはりあげていた。

「本日からご學される生徒の方は、私のところへお聲がけくださーい!」

「新生だ。」

「お名前をどうぞ。」

「レン。」

「後ろのお二人はミネアさんとシズクさんですね。學院長から聞いてます。あなた方3名は學院長による推薦ですので、本日よりSクラスに通っていただきます。

Sクラスの教室は中央にある本館の最上階です。

寮は口からって右手側、

寮は左手側にございます。」

「寮?」

「はい。えっと…學院長から聞かれてませんか?我が校は全寮制になってまして、

休日以外は寮で生活して頂くのですが…」

あいつ...そんなこと一言も言ってなかったぞ…あとでシバくか...

「はいよ。」

「それで、我が校の制服がございます。

Sクラスの方達は服裝は自由ですが、

學生服を準備しましょうか?」

「必要ない。」

「かしこまりました。以上で説明は終わりです。なにか質問はございますか?」

「ないな。」

「でしたら、1度寮に行ってみてください。今日の授業は晝からですので、

それまでに同じ部屋の人と顔合わせはしておいて下さいね。」

しかも相部屋か...

とりあえず寢れればいいから、

靜かなやつと同じ部屋なら助かるんだがな…

「じゃあミネア、シズク。

寮を出る時は念話で知らせるから、それまでお前らも休んでこい。」

「ん。」「了解。」

レンとシズク&ミネアは反対方向に歩を進める。

忘れないうちにココにも寮のこと伝えておくか...

「念話」

(ココ、聞こえるか?)

(は、はい!ご主人様、一どこからご主人様のお聲が...?)

(念話を使って話しかけてるだけだ。

學院に來たが、全寮制らしくてな。

休日には帰るから、ハクロとリズと留守番をしておいてくれ。)

(え、えええぇぇぇぇ!!!!!!

ご主人様、お戻りにならないのですか?!

そんな...寂しくて涙が出そうです…)

(そう言うな。お前から俺に念話で話しかけることもできるし、何かあったら戻る。)

(わかりました...我慢します。

帰ってきたら、頭をでて下さいね!

約束ですよ!)

(わかった...それじゃ、切るぞ。)

(はい。ご主人様のお帰りを心待ちにしております。)

ここで念話が切れた。

よっぽど寂しいのか、いつもよりココが子供っぽかったな...

寮に著き、各部屋の名札を見て自分の名前を探す。

一番奧の部屋に俺の名前があった。

同居人の名は…

「桜花 元帥(おうか げんすい)...

変わった名前だな…この世界と言うより、日本人に近いか…漢字だしな…」

不思議に思いながらもドアノブに手をかけ、同居人がいるであろう部屋に踏み込んだ。

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