《天才の天災》現実か幻か

「桜花から聞ぃてた通り、強そうやわぁ。うちじゃ、勝てへんのちゃうやろか。」

人の形をした狐は高そうな著のようなものにを包み、妖艶さが漂っている。

「桜花は狐の子か...」

「親言うても育ての親や。

わしはガキの頃捨てられとったみたいでな。まぁこんな狐は子供以前に相手がおらんじゃろ...グハッ」

「桜花、ちょいと靜かにしといてや。」

ん?

桜花は腹を抑えてるから、

普通ならものすごい速度で毆れば目で追えないってのも不可能じゃない。

でも、それは見る人と毆った人に圧倒的なステータスの差があればの話だ。

自分で言うのもなんだが、

俺より相當ステータスが上となると

歩くだけで星を砕けるレベルだろう。

となると...

「幻か?」

「よぉ分かりはったな。

でも、うちは妖狐や。お前さんらが知ってはる幻とはちょっとちゃうと思うよ?

うちが使ってるのは妖って言うもんや。」

(リズ、妖と幻の違いってなんだ?)

念話でリズに聞いてみる。

(妖は幻の完全上位互換になります。)

(王國とかこの世界の実力者を神眼で覗いてきたが、今まで妖を使えるやつはいなかったな。そんなに習得の難しいなのか?)

(難しい、と言うよりは不可能です。

私達がどれだけ頑張ったところで、

それはあくまで度の高い幻に過ぎません。妖というのは妖狐が生まれながらに持つ種族固有スキルです。)

(俺でも取れないか?)

(いえ。人は不可能というだけです。

マスターにかかれば一瞬で取得可能です。)

ほぅ、俺はもう人ではない、と...

まぁ、死神だし間違ってはいないが...

(じゃあ取ってみる。)

(はい。)

取れた。

ステータスとかは見ると面白くないので、

をピンポイントに神眼を使ってとった。

種族名:妖狐 の固有スキル

相手に現実とは判別できない様な、

高度な幻をかける。

幻なので、者よりも強い神力を持って

遠隔武などで者の集中をすと

は解けるが、神力を強く持ちつつ者に攻撃を仕掛けることはほぼ不可能と言われる。

へぇ、試してみるか。

久しぶりの新スキルという事で、

2回続けて妖を使う。

対象は妖狐。幻の中で重力でも変えるか。

いくつかの幻を見せてみよう。

まずは重力超過。

「グッ.........」

(これは...妖

ウチ以外に妖狐はおらへんはず...

まさか...)

妖狐が跪きながらレンの方を見る。

すかさずまた別の幻。

「どこを見ている?」

妖狐が見上げていたレンが消え、

後ろからレンの聲が聞こえる。

すかさず振り向くが、レンの姿はない。

「お前が見ている俺は幻だ。」

(いろんな所から、聲?

なんであの子が妖を使えるんやろか?)

妖狐がレンに向けて小刀を投げるが、

レンの幻をすり抜ける。

「お前はいつから、幻を見ている?」

(...いつから?)

そんなレンの聲が頭に殘る。

「お前は、本當に部屋まで來れたのか?

桜花を拾い、育てたのは現実か?

いつから幻を現実だと思い込んでいた?」

好奇心に駆られたレンが冷ややかな笑みを零した。

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