《天才の天災》『親』
「登録だ。カードはある。」
俺がそう言うとミネア達が自分のカードと俺のカードを取り出す。
俺は普段荷を持つことは無い。
持たせる方が楽だし、こいつらも俺に持たせたくはないみたいだからだ。
「いや、ここじゃカードは見せなくていいぜ。ここじゃ実力が全てだ。
そんな紙切れじゃなんの意味もねぇからな。」
……この流れは大わかる…
脳筋によくありがちな…
「闘技場に行くぞ!著いてこい。」
やっぱりか…
「はぁ…俺は來て1時間もしないうちにお前の故郷が嫌いになったよ。」
「ウッ…そ、そんな目で見ないでくれよ…
あたしだって好きなわけじゃないさ…」
男の後ろをついて行くと、途中で下に降りる階段があった。
そこは地下なのに太のように優しいが當たっており、披戦の時のような、
土のフィールドのようになっている。
「で?お前を倒すのか?」
「ガハハハハッ!ちげぇよ。
お前らが相手をするのはこいつらだ。」
男がそう言うと俺たちのいるところと反対の扉が開き、俺たちと同じ人數の手枷を填めたゴロツキがでてきた。
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「ケヘヘッ、コイツらを倒しゃあ、俺たちは外に出れるなんて簡単な話じゃねぇかぁ!」
いかにも悪の下っ端みたいな聲で男たちが騒いでいる。
「ま、こいつらと戦ってもらう。
こいつらは死刑囚だ。殺してもいいが、
元々冒険者として活していた奴らだ。
舐めてかかると死ぬぞ。」
「へぇ、殺してもいいのか。」
學院では殺しは駄目だと言われたが、
ドラゴニアは違うようだ。
「あぁ、構わねぇ。ドラゴニアではな。
いくらランクが高くても、低級モンスターだけを狩り続けてランクを上げた奴もざらにいる。だからこそ、俺たちが用意したある程度実力のある‘’人‘’をたおすことが俺たちの中のランク付けになる。」
王國ではなかったが、他の國では犯罪者の殺害の以來も來るってことか。
「ま、なんでもいい。もうやってもいいのか?」
「ん?ああ、いいz」
――閃――
付が話し終えると同時に3つの首が地面に落ちた。
『いい』と聞こえた時點で、俺とミネアとシズクが腰の剣を抜きすれ違いざまに首をはねた。
「……っ!そ、そんなあっさり!
お前ら、普通躊躇うだろ!」
一切の躊躇のない一閃に対し、付は言葉をなげかける。
躊躇う?なぜ?久しぶりに人を殺したからだろうか。すっかり忘れていた記憶が
脳の片隅から浮かび上がってきた。
昔から天才と謳われ、『本當の』親も
すごく喜んでいた。
「蓮ってば、稚園のかけっこダントツで1番だったんですって!」
「ホントか?凄いなぁ、蓮は。」
「ねぇ、蓮はどうして私たちのことを
名前で呼ぶのかしら?
周りの子達はみんなパパとかママって
呼んでいるのに...」
「僕も名前でしか呼ばれたことは無いな...今度何でか聞いてみるか?」
「そうね...」
顔も覚えていない父と母。
二人の會話を遠くで聞いている小さい自分の姿があった。
小學生の頃、
「蓮、し話があるんだ。」
「ねぇ、蓮。あなたも私たちのことを
パパやママって呼んでくれてもいいのよ?」
「……」
それでも黙って本を読んでいた。
「蓮!」
両肩を強く揺すられても、ページをめくる手を止めることは無い。
「人が話をしている時は顔を見なさい!」
男が何かんでいる。
「蓮!!」
パァーン!!!!
左頬に強い衝撃がり、本を読む手が止まる。
今まで『親』はただの同居人としか考えたことは無かった。
俺の生活費等を負擔していたのはたしかに2人だが、俺を産んだのも2人だ。
そのぐらいの出費は當たり前だろう。
お小遣いも貰っていた。
特にしいものもなかったから、1円たりとも使ってはいない。
本は男に借りている。
に毆られた衝撃で頭の中の全てが吹っ切れた。
(あぁ、この人らは同居人じゃなくて、
『敵』なんだ...)
昔からなんでも出來た。
だからこそ、出る杭は打たれるという。
小學校で毎度毎度1位を取れば、
毎回2位の子の兄が俺に毆りかかってきた。初めての喧嘩は多分その時。
小學生の割に賢く、妙に冷靜だった俺は
その兄に口止めもした。
その時に気がついた。
口止めで本當に止めるのか?
(『敵』なら、いっそ...)
気づいた頃には、まみれになった自分が包丁をもって立っていた。
目の前には首を切られてが溢れだしている『元』同居人。
その時も妙に冷靜で、指紋を拭き取り、
自分で警察に連絡した。
警察が來て、のあび方などで俺に疑いがかかった。
何より強く疑われた理由は、泣いてすらおらず、ただただ座っていた。
それでも俺が「黒い服の男がいた。」
と証言すれば、こんな小さな子がこんなことできるわけは無い、と、架空の男を捜索し始めた。
2人の葬式の日、2人の知り合いが集まってみんな泣いていた。
「まだ小さいのに可哀想に。」
なんて何度も言われた。
その時俺はボーっとしながら、
(何で、この人らは泣いてるんだ?
地球にはまだ人が大勢いて、毎日沢山の人が死んでいると、テレビで見た。
この人達は、毎日泣いているのだろうか?)
なんでも出來たが、『』だけは全く
理解出來なかった。
そのあと、養子等の話は來たが、適當に返事をした。
了解した人に今日は1人になりたいと言うと、気を配ってくれたのか「明日迎えに來るね、家で待ってて。」と言っていた。
葬式場から家はそんなに遠くはなかったので歩いて帰り、荷をまとめて、その日のうちに家を出た。
(ここは、あの人らの家だから。)
それから、んなところを転々とし、野宿するようになった。
2日後、テレビで氷上家の両親が何者かに殺害されたこと、一人息子の
氷上蓮が行方不明になっていること
を知らせるニュースが報道された。
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