《天才の天災》憧れたものの真髄

何とか3階層までリョウヘイが辿り著いた時、ダンジョンが大きく揺れた。

「う、うわぁぁ!!!な、何!」

元々鍛えてもいないリョウヘイは揺れに耐えられずに地面に転がる。

しすると揺れが収まり、リョウヘイが立ち上がる。

「何だったんだろう…今の…」

不思議に思いながらも、考えても仕方の無いことだと割り切って先に進むことにした。

4階層に繋がる階段のすぐ前まで來ていたため、急いで降りた先には人の影が見えた。

「…ニ…げテ……ろ…ーニゃ…」

「嫌よ!!あなたを置いて逃げられるわけないじゃない!」

の冒険者と思われる2人が言い合いをしていた。

茶髪のショートカットのの聲は掠れており、頬には赤い筋がって手には管が浮き出ている。

「あ、あの…どうかしました…!!」

し仄暗かった為、リョウヘイはし近づいてから気がついた。

「!!」

黒い髪を腰までばしたがリョウヘイに気づき、慌てて振り向く。

「やめて!來ないで!!なんでもないの!」

見るからになんでもないということはなさそうなので、リョウヘイも口を挾む。

「いやでも…」

「いいの!!」

リョウヘイの聲を遮るの圧に押されて、気の小さいリョウヘイは迷いながらも先に進もうとした。

黒髪のの橫を通り過ぎる時に、

聞こえてしまった。

「……助けられるなら…助けてしいに決まってるじゃん…」

「ッ!!!」

誰に向けるでもなく、ただただの口から零れた言葉。

振り向くとの頬には涙が伝っていた。

自分が幾度となくろうとしていた理想。

理想は葉わないからこそ理想なのだ、と言う誰かの言葉に流されて、1度は諦めた

『正義のヒーロー』。

(ヒーローはどんな狀況でも助けるからヒーローなんだろ!だから凄いんだろ!

憧れたんだろ!ここで逃げてどうするんだよ!)

「…ける!」 

「…え?」

「…絶対!助ける!」

ではなく、自分をい立たせる為に聲を上げる。

『お前の戦い方は一撃で倒すなんて派手なもんじゃねぇ。まずは相手のきをよく見ろ。』

「うん…分かってる。」

頭の中でログから教わった言葉を再生し、

それに答える。

足を開き、いつでもけるように重心を下げて短剣を抜く。

「違うの!やめて!!その子は私の友達なの!」

「君を傷つけるのが、友達?」

「…それは……変な魔のせいなの!!!」

「魔?」

再びしっかりと見る。

人の形をしているが、目は赤く走り、

手や足からは管が浮き出していて

左頬は黒ずんだ上に赤い筋がっている。

ログさんから々教わったけど、

りこんでを乗っ取る魔なんて聞いたことがない。

ましてやここはE級ダンジョンだ。

「…いゃぁアァぁあ!!!」

考えているあいだに唸っていた

びながら襲ってきた。

前線で戦うスタイルのだったのだろう。ロングソードを振り回しながら走ってくる。

攻撃は単調で避けるのは難しくない。

避けながら思考を張り巡らせる。

B級ダンジョンにいると言われている

シャムオンという魔は対象の後ろで座り、三味線の様なものを使う事で対象をる魔もいるが、後ろには何もいないし、

び聲以外の音は聞こえない。

「その魔はどこにいるの?」

攻撃をわしながら聲を張り上げる。

「スライムみたいなのが…サリアの中に…」

「スライム?」

「紫で…紅く筋がってる…」

(そんなスライムは聞いたことない…

けど、本當だとすると異常種ってことになる。どうしよう…異常種なんてログさんも遭遇した事ないって言ってたのに…

僕に倒せるのかな…いや、そもそも倒しちゃったらこの人の友達は…?)

リョウヘイは戦いにおいて経験が淺く、

どうしようか考えるも、焦りで頭が真っ白になった。

「嗚呼ァァアァァア!!!」

リョウヘイがハッと頭を上げて異常種に目線を戻す。

しかし、視線は異常種ではなくその後ろの人影に釘付けになった。

「うるせぇ。」

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