《異世界生活は突然に〜いきなりチートになりました〜》異世界転生は突然に①

「初めまして、赤城渉さん。傷に浸っている所申し訳ないんですが、話が前に進まないのでそろそろ起きて頂けませんか?」

目の前のは俺に起きろと言っている。

つい先程暴漢に斬りつけられもう間も無く死を迎えるこの俺に。

全く酷い言い草である。

死を迎える人間には普通もうし優しくするものだろう。

そう思っているとから聞き捨てならない言葉が聞こえて來る。

「確かにあなたは死にましたけど、もう立派に生き返ってますよ。」

何を言っているんだ。

気休めにしてももうし違う言い方があるだろう。

そもそも死んだ人間が生き返るなど小學生でも信じない。

そんな噓をついてどういうつもりなのか。

「取り敢えず1回起きて貰えませんか?

を説明したいので。」

分かった。そこまで言うなら起きてやろう。

の説明とやらを聞くため俺はを起こし、に向かって腰掛ける。

そしてある事実に気付く。

俺のにあるはずの傷がないことに。

そして大量に出ているはずのが一滴も出ていないことに。

「ようやく話を聞く気になって頂けましたね。そうです。今のあなたは生きています。」

確かに傷もないしも出ていない。

痛みもないし寧ろ先程より元気なぐらいだ。

しかし確かに俺は殺された筈だ。

男の刃が俺のを切り裂く瞬間まで鮮明に覚えている。

あれで傷一つ負わないなどある筈が無い。

自分が今置かれている現狀を理解出來ないでいると痺れを切らしたかの様に目の前のが話し始めた。

「聞いてなかったんですか?〝今の〟と言ったでしょう。あなたは確かに死んだんです。そして生き返ったんですよ。ただ元いた世界とは違う別の世界にですけどね。」

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