《異世界生活は突然に〜いきなりチートになりました〜》領地開発は突然に21

「今の魔王が一也だからだろ?」

「ご存知だったんですか!?」

「まぁ確証はなかったけどな。何となくそうじゃないかって。」

俺が選ばれる理由。

そんな事を考えれば考えるだけ、その結論へ行き著いてしまう。

特に何にも持たない俺が選ばれる理由など何も無いからだ。

あるとすれば魔王が俺と繋がる人

俺だから止められる人

だとすれば一也しか思いつかない。

結局、その答えに行き著いてしまう。

でも俺は不思議とそれがショックではなかった。

こちらの世界へ來て最初に気になったのは、あの後どうなったのかという事。

あの時、狂気に支配された男に俺は殺された。そしてあの場に一也もいた。

俺を殺した事であの男が止まるはずないと思っていた。

そうなれば近くにいた一也が次に狙われるのは必然。

まぁ勿論、そうなってなければ良いなとは思っていたが、やはり殺されてたのか。

しかしこちらの世界に來ているという事は再び一也に會えるという事だ。

どういう形であれ、あいつとまた會える。

そう思うとあいつが魔王だという事、そして俺の敵だという事はそれ程ショックではないのだ。

その後、アリシアは一也が召喚された時の事を教えてくれた。

「ワタルさんが目の前で殺害されて、一也さんの自我は崩壊しました。憎しみに支配され完全に正気を失ったのです。

そしてあの男に再度詰め寄って行ったのです。

しかし刃を持った相手に対して素手で向かって行ってもどうする事も出來なかった。

次の瞬間、彼は男に刺されました。

そして、友を目の前で殺された事、自分が何も出來なかった事に対して失意の中にいた彼に魔族の召喚の呼びかけがあったのです。

彼はその呼びかけに応じ、こちらの世界へ召喚されました。

こちらの世界の時間で3年前の事です。」

なるほど。という事は半分俺のせいみたいなもんか。

「一也さんが魔族に召喚される事は運命によって定められていました。だから私達は彼を止める事の出來る存在として貴方に白羽の矢を立てたという訳です。

今まで黙ってて申し訳ありませんでした。」

そう言ってアリシアは深々と俺に頭を下げる。

気にするなという方が無理だろう。

は俺にいつその話を切り出そうか、ずっと悩んでいたに違いない。

その証拠に泣いているのだろう。

は小刻みに震えている。

ちょっとキザかなとは思いながらも、俺は彼を抱きしめる。

そして彼に向かって改めて申し込む。

2度目の仕切り直しである。

「多分、そう遠くない將來、俺は一也と対峙するだろう。その時俺は正気を保てるかどうか分からない。

俺達との共存をあいつが否定した場合、俺は全力であいつを殺さなければならないから。

だからその時、俺が正気を保っていられる様、俺の隣にいてしんだ。

改めて言うよ。俺と結婚してしい。」

アリシアは涙でグシャグシャになりながら俺の顔をしっかりと見て答えてくれる。

「はい。不束者ですが、幾久しく。」

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