《【書籍化決定】前世で両親にされなかった俺、転生先で溺されましたが実家は沒落貴族でした! ~ハズレと評されたスキル『超用貧乏』で全てを覆し大賢者と呼ばれるまで~》第二十一話 ラース、やらかす

「ふう、草むしり終わったよおばあちゃん」

「おお、早いねえ。はい、ジュースでもお飲み」

「わ、ありがとう!」

「まだ小さいのに偉いねえ。またお願いね」

「はーい!」

ギルドで仕事を始めて早半年。俺は順調に仕事を進め、お金を稼いでいて、今日は老夫妻の家の庭をきれいにする依頼をサクッと終わらせていた。これで四百べリルだけど、魔法のおかげで実働は一時間程度なので、薪割りよりは楽に稼げたと言える。

ギブソンさんの言う通り、雑用は人気が無く安いので余っていることが多い。それも何日も放置された雑用が。

俺はそれを片っ端からやることで、収はもちろん町の人たちから認知されるようになり、俺を指名してくる人もしだけどいる。

今のおばあちゃんもそんなじで、最初は花を植えるために土を掘り返してしいという依頼だったんだけど、魔法であっという間に耕してからたまに呼ばれるようになった。でも最近はどうもかこつけて俺を呼んで甘やかしたいだけにも見えるんだけど……孫を可がる気持ちなのかな?

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半年でこなした數は百件ほどに上り、金額も七萬ベリルくらい貯まった。もちろん危険な魔討伐の依頼はけていない。

「戻りましたー」

「あ、おかえりラース君。早かったね?」

「草むしりだけだったからすぐだったよ」

俺がカードを渡すとチェックをしてくれ、すぐにお金が手渡されると俺は依頼掲示板を見ながらどうするか考える。

「今日はまだ時間があるし、もうふたつくらいいけないかな」

「無理しないようにってお父さんに言われてるんでしょ?」

「そうなんだけど、俺には金が必要なんだよ」

「そんな守銭奴みたいな言い方……」

ギブソンさんが呆れながら笑うけど、割と死活問題ではある。

ちなみに父ちゃんと母ちゃんはみんなに食事を元に戻してくれた。けど、そうなると俺の學費貯金もし減っているはずだしね。

そんな時、俺は一枚の依頼に目を向ける。

「これは……」

「あー、スライムの駆除依頼まだ殘ってたのか。そろそろ誰かに頼まないとなあ」

「スライムって結構危ないんでしょ? 先生が言ってたよ」

「そうだね。一匹や二匹ならいいけど、一気に殲滅しないとこちらを敵だと認識すると仲間を呼ぶから大量にいるところに突っ込んだらいけないね」

「ふむ。俺にはまだ早いかな……」

「止めといたほうがいいよー? お父さんに怒られるよ」

五千ベリルは魅力的だけど俺は別の依頼へ目を向ける。と、その時だった。

「今日も元気にやってるな年」

「あ、ミズキさん」

當てや脛當てといった防に、腰の剣が良く似合う冒険者であるミズキさんが聲をかけてきてくれた。彼はこの町に住む冒険者で、主に魔討伐を擔當しているそうだ。短めのポニーテールを揺らしながら微笑んでくれた。

「今日は依頼は終わりか?」

「うん。もうちょっと何かやろうかと思っていたけど、雑務はもうないからまた明日かな?」

「そうか。私はどうしようか……ふむ、スライムの討伐、これでいこう」

ミズキさんはスライム討伐の依頼をギブソンさんに渡すと、承認され出ていこうとする。このまま帰るのはやぶさかではないけど、俺はしだけ魔討伐に興味を持ち、相談をもちかけてみることにした。

「ミズキさん、俺も一緒に行っていい?」

「む。スライムは危険だぞ? ギブソン、どう思う」

「うーん……ミズキさんがいいなら僕はいいけど……」

「あ、大丈夫。遠くで見ているだけだから。なんなら木の上にでも登っているよ」

「そうか? では、行くとしようか」

「やった! いつか戦うことになるかもしれないから、どうやるのか見てみたかったんだよね」

もし戦うことになっても無策で挑むのは避けたい。まずはスライムとの戦いを観察して、魔がどういうものかを確認しよう。

ちなみに熊と遭遇した以外は危険なにも魔にも會ったことはない。何故か? ……ベルナ先生が駆逐しているからである。なのでよほどのことが無ければウチからベルナ先生の家までの道、もしくは付近は安全だったりする。

さて、そんなわけでこの観察はとても重要だと、俺はホクホク顔でミズキさんについていくことになる。

◆ ◇ ◆

「なるほど、結構いるな」

「あ、結構違いとかが多いんだね」

プルプルとゼリー狀の塊が町の外で闊歩していた。こいつらは某Gと同じくらいの繁力でほっとくと際限なく増えていくからこうして定期的に駆除をするらしい。

特に町の近くに増えてくると、町にり込んだスライムに子供が酸で焼かれたりする被害があったりするのだそうな。

「目も耳もない奴らは空気の振と接地面の音でこちらを察する。だからこうするんだ」

そう言って遠くにいるスライムに向かって走ると、一定距離から跳躍した。なるほど、空からの攻撃には反応できないのか!

ブシュ! バシュ!

一気に二匹のスライムが真っ二つにされぐじゅりと汚い水になって潰れて消える。そのあともミズキさんはきを悟らせないよう、飛び跳ねながら確実に仕留めていった。

地面には先生から教えてもらった通り、赤い玉が落ちていた。スライムに限らず、魔を倒すと赤い野球ボールくらいの玉を落とすんだけど、それは魔の核というもので魔力の塊なんだそう。

初めて見たけど禍々しいをしている……

「ふう……このあたりのはこれくらいでいいか」

「凄いねミズキさん! かっこいい!」

「う、きゃわゆい……」

「え?」

「こほん! なんでもない! では核を回収して帰るか」

ミズキさんが核を拾い集めているのを眺めていると、一匹のスライムがミズキさんの背後に現れた。

「危ない……! <レビテーション>! で、<ファイア>!」

「!?」

ブスブスと焼ける匂いと共に、スライムは核を殘して消えていく。ホッと安堵のため息を吐くとともに、魔法が簡単に通じるからスライムくらいは怖くないかもね。

「あ、ああ……ラ、ラース君……」

「ごめんなさい! 勝手に攻撃しちゃって……大丈夫でしたか?」

俺がそう聞くと、口をパクパクさせながら頷き、続けてこう言った。

「そ、空を飛んでいる……!?」

「あ!?」

しまった!?

飛んで倒すというのが頭から離れず、俺は古代魔法で飛んでしまっていた……ど、どうする!?

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