《【書籍化決定】前世で両親にされなかった俺、転生先で溺されましたが実家は沒落貴族でした! ~ハズレと評されたスキル『超用貧乏』で全てを覆し大賢者と呼ばれるまで~》第四十二話 分の悪い戦い
ガチャ……
このオブリヴィオン學院は前世の學校のような建の造りになっており、屋上が存在する。頑丈で高い柵と網で飛び降りたりできないように工夫されているのが特徴で、扉から出た際に視界にる部分のみ使用スペースとなっている。ベンチやちょっとしたテーブルセットもあり、お晝休みや放課後に集まる生徒もいる。
だけど今日は週末。
部活も無く、みなさっさと帰宅してしまっているためここには今到著した俺と、腕組みをして仁王立ちをするリューゼだけだった。
「來たな、ラース」
「約束だからね」
俺はリューゼの前まで行く。お互い視線を離さず立ち盡くしていると、リューゼが先に口を開いた。
「……晝の件、教えてくれるんだろうな。俺と友達になれないってやつだ」
「ああ。それに関して一つ、言っておくことがある」
「なんだよ」
「今から言うことは本當に本當の話。そしてそれを聞いた瞬間、リューゼは多分困する。きっと噓だと思うに違いないと言うと俺は思っている」
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「な、なんだそれ……俺を脅かそうたってそうはいかねぇぞ!」
「それも、お前次第だ。それでも聞きたいか?」
俺が真っすぐ見つめると、リューゼはごくりと唾を飲み込み、一瞬、間をおいてから、
「……頼む」
そう呟いた。
俺はため息を吐いてから、俺の知っていることを告げる。
「お前の父、ブラオは領主だけど領主になれたのはどうしてか知っているか?」
「いや……生まれた時から父上は領主だったし、そういうもんだと思ってた」
「ブラオが領主になったのは俺とお前が生まれる二年前なんだ。その前は俺の父さんが領主をしていた」
「え……」
目を見開いて驚くリューゼ。話をすることもないだろうからこの反応は當然だ。
「その時、俺の兄さんが大病を患ってね、父さんは私財を投げうって治療に勵んだ。領主は財産が一定以上ないと剝奪されるんだけど知っているかい?」
「それは知っている。父上が金は大事だってよくぶつぶつ言っているから、なんでそんなに心配しているのか聞いたことがある」
俺は頷く。
次期領主にして老後も楽をしようという算段もあるだろうから、そういうことは教えるのだろう。リューゼはそこで俺に問う。
「もしかして父上がそれで領主になったのが気にらないのか? だったらそれはお前が勝手に恨んでいるだけだろ? 自分勝手ってのはそういう――」
「違う」
「っ……!?」
俺が聲を強くして遮ると、リューゼは驚いて後ずさる。同時にぽつりぽつりと雨が降ってくる。晝間はあんなに天気だったのになと思いつつ、目を細めてからリューゼを見て、俺は最後の審判を告げた。
「それだけなら俺だって文句は言わないし、貧乏人を謝罪してくれた時點で許していたし、友達になっていただろうね」
「ならどうして……」
「それはリューゼ、お前の父親が兄さんに毒を盛って殺そうとしたからだ。治療費を払う羽目になったのも、払ってお金が無くなって領主を降ろされたのも、全てブラオがやったことで起きた出來事。領主の座はいい。今の暮らしに不満はないからね。――だけど、兄さんを殺しかけたことを許すわけにはいかない。結果的に生きているというだけで、財産と兄さんを失うところだったんだ」
「そ、そんな……こと、父上が……」
ぺたんともちをついて俺を見上げるリューゼが口をパクパクさせて驚愕の表を見せていた。そんなリューゼに、俺は片膝をついて話を続けた。
「そんなこと、だと思うだろ? でも事実なんだ。だから俺は必ずお前の父親に痛い目を見てもらうつもり。だから、その息子であるお前にもとばっちりがいくだろうね。これで友達になれない理由がわかったかい?」
「……」
言葉も出ないリューゼは怯えているのか、父親の所業に驚いているのか分からない表をしていた。俺はこれでいいかと立ち上がり出口を目指す。
「俺のことをブラオに言っても構わない。その時は……妨害されても、死ぬような目にあうとしても、それでも俺はお前の親父を必ず地獄に叩き落とすと伝えてくれ」
ああ、雨が強くなってきたな……こいつ自に恨みは無いのに、俺は俺の勝手で怒りをぶつけてしまった。友達は……前世から居なかったし、今更どうということもない。できるだけリューゼに被害が及ばないようにするにはどうすればいいのか?
俺が中でそんなことを考えているとと、背後でバシャっと水しぶきの音がしてリューゼの聲が聞こえてきた。
「先生が……」
「……?」
「先生が言っていたんだ。『人から聞いたことよりも、自分で見たことや考えたことで判斷する方がいい。分からないなら人に聞くのもいい』って。だから……俺はまだお前の話を信じない」
「……」
「でも、多分お前は噓を言っていない。俺と友達になりたくないからってこんなことを言う必要はねぇはずだ。だからし待ってくれ! 確かめる時間を、くれ」
「俺はどっちでもいいんだ。これをお前に話した時點で不利になることはわかっていた。だけど、お前も知った。ウチに何かあればそれはきっとブラオが何かしたのだと判斷ができる。……もし俺以外の人間に危害があるようなら――」
ゴゥ……!
「!!!!???」
「その時はを切ってでも手段を選ばない。……いいかリューゼ、もし今の話を確かめるなら慎重にするんだ。実の親でも平気で子を切り捨てる。そういう親もいるんだから……」
「そ、そりゃどういう……あ、おい! ラース!」
俺は頭上に出した特大の<ファイア>消して學院を出た。頬を伝う雨はほんのり暖かった気がした。
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