《【書籍化決定】前世で両親にされなかった俺、転生先で溺されましたが実家は沒落貴族でした! ~ハズレと評されたスキル『超用貧乏』で全てを覆し大賢者と呼ばれるまで~》第百十六話 ジャックの戦い

[さあ、快進撃の続くAクラス。そろそろ誰か止めることができるかー!]

[みなさん頑張ってしいですねぇ♪ 必ず勝てる糸口はあるから諦めないでくださいねぇ]

わぁぁぁ……!

相変わらずの実況に盛り上がる観客席。

主にベルナ先生にできたファンの聲援だったりするんだけど、正直なところティグレ先生の目つきがどんどん悪くなるから止めてしい。

「んじゃ行ってくるぜー」

「頑張ってこいよ! 負けても気にすんな!」

「負け前提で言うの止めろよリューゼ!?」

「信用してるって、アンデッド相手にも頑張ったんだし」

「そうそう、ラースは分ってるじゃんね! じゃーな!」

そう言って白線の側にって行くジャック。その背中を見ながらマキナが呟く。

「大丈夫だとは思うけど、ジャックってサポートのイメージが強いわよね」

「【コラボレーション】は戦闘向けのスキルじゃないからなあ。地力が試されるんじゃないかな?」

「あ、始まるよ!」

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「くっく、見せてもらおうじゃねぇか!」

「誰の真似だよリューゼ……」

々言ったけど誰一人ジャックが負けることなど思っていない。相手も出てきて対峙する。しかし、相手はニヤニヤしながらジャックに言う。

「よう、ジャック泣き蟲は治ったのか?」

お、ジャックを知っているんだ? そばかすがまだ目立つたれ目をした男子生徒がそう聞くと、ジャックはフッと笑い、指を突きつけて返す。

「お前こそオネショは治ったのかネミーゴ?」

「くっ……! 相変わらず嫌な奴」

「そりゃこっちのセリフだっての」

[はい、すでに戦いが始まっているようですが、Aクラスのジャック君とCクラスのネミーゴ君はなぜギスギスしているのかー!]

[ジャック君はお魚屋さんで、ネミーゴ君はお屋さんなんですねー。子供のころからどっちがいい店かを爭っているみたいですよぅ? 學院に學してからお友達が増えて疎遠になったみたいですね! わたしはどっちも大好です。お野菜も味しいですよね]

[ベルナ先生ありがとうございます! それにしてもどこからそんな報仕れてくるのでしょうか!]

[うふふ♪]

[おほう……。さ、さあ、背筋が寒くなったところで開始の合図のようです、先制はジャック君! 鋭い!]

「一気に行かせてもらうぜっと!」

バスレー先生の言う通り、ジャックの剣がネミーゴの腹を目掛けて振り抜かれた。ネミーゴはそれをバックステップで回避し同じく剣で反撃をしようとしたが、ジャックはさらに攻め立てる。ライバルというやつだろうか? 屋の息子には負けられないという気迫がひしひしと伝わってくる。

學してから顔を合わせてなかったけど、やるじゃないか……!」

「お前には負けられねぇからな! そら!」

「ふっ! はっ! 調子に乗るなよ」

回避していたネミーゴも足を止めて打ち合いに。だが、ジャックの剣は鋭く、ネミーゴは防戦一方になる。

「速いな……!」

「おおお! いいぞジャック!」

「落ち著いていけよネミーゴ!」

お互いの陣営からも歓聲が上がる。確かにジャックは攻めているけどネミーゴの反撃がないのが気になる。鋭いけど回避と防に集中すればけきることは可能だ。防の無い二の腕や太ももをしっかり狙っているのでダメージは取れているけど、踏ん張っているので効果は薄そうだ。

「うりゃあああ」

「はあああ!」

直後、ガコンという鈍い音ともに鍔迫り合いになる。

「くう……」

「さっきまでの勢いはどうした、ジャック……!」

ギリギリと押し合いになるのを嫌がるジャックだけど、ネミーゴはそれを逃すまいと剣を押し付けていく。すると、ネミーゴが笑いながら言う。

「ふう、相変わらず力は無いようで安心した。もうしすれば鈍くなりそうだ」

「くそ! 速攻勝負でびびらせてやるつもりだったのによ!」

[あーっと! ネミーゴ君、防戦一方だったのは演技だったようです! 力切れを狙ったようだ!]

[これも戦い方のひとつですからいい手だと思いますよぅ? ジャック君は焦ったのかな? それとも何か手があるのかしら?]

ジャックが冷や汗をかきながら吠える。確かにAクラスの中でもジャックの力は々低い。男子組だと、俺、リューゼ、ウルカに次いでヨグスかジャックかというじ。

馴染と言っていいか分からないけど、ジャックのことは良く知っているということだろう。

「ぐぐ……」

「ここから反撃する手なんてないだろ? そろそろお終いにしよう、【力増強】で押し切ってやる」

「ジャック、一旦距離を取るんだ!」

俺がぶと、ジャックは一瞬俺の方をチラリと見て、すぐにネミーゴへ向き直る。

「くっくっく……」

「……ん? 何がおかしい?」

ジャックは含み笑いをし、口を開く。

「使ったな、スキルを。お前のスキルはよーく知ってるぜ」

「それがどうした? 俺もお前のスキルは知っているぞ、コラボレーションとかいうよく分からないやつだ。まあいい、終わらせてもらう」

「というわけにはいかねぇんだ、これが……! 【コラボレーション】させてもらうぜ!」

ジャックが目を見開きネミーゴの手を摑む。その瞬間、ジャックは剣を捨てて顔面にパンチを繰り出した! そういうことか!

「ぐぐ……お前……!」

「俺の【コラボレーション】は俺自とコラボレーションすることが可能なんだよ。だからお前の【力増強】も俺に流れ込んでくるって訳だ!」

「いてっ!? 離れれば――」

「逃がすわけねぇだろ? いつまでも剣を握っていたお前の負けだ……!! 技”タチウオ”!」

「おおおおおお!?」

腕を摑んだまま片手でボコボコに毆りつけ、フィニッシュは手刀で鼻の頭を一撃。鼻が舞い、ジャックが手を離すと後ろに倒れこんだ。起き上がることができないようで、ティグレ先生が両手を差し決著がついた。

[決まった! Aクラス二連勝! ジャック君の頭脳プレーでライバルを下しました!]

[コラボレーションは使い方次第で面白いですねぇ。わたしの魔法も使えるんですよ?]

[は?]

「今日のお前の獻立はハマチで決定だ。ブリにはまだ早ぇ」

「く、くそ……! 魚屋に高級ルツィアール牛を買わせる計畫が……!」

ネミーゴは、ダン! と、地面を毆りつけ観客席を見ていた。視線の先にはジャックの両親と別の家族がこっちを見て笑い合っている。あれってネミーゴの家族じゃないのかもしかして……? 仲良しじゃないか……

「次は負けないからな! 【コラボレーション】のを知ったしな!」

「へーい」

ジャックは笑いながら適當に相槌を打ってこっちに戻ってくると、マキナが訝し気な顔をしてジャックに尋ねる。

「何よ、友達?」

「まあな。決闘ごっことか言って學院にる前はお前等より良く遊んでいたんだ。思わせぶりでなかなか良かったろ? うひひ」

「いい勝負だったと思うよ。ジャックのコラボレーションは気を付けないといけないなあ」

「おうよ、お前の魔法も一回発すりゃ一応使えるからな! ……魔力があればだけど……。アンデッドの時はベルナ先生を摑んで魔法で戦ってたんだけど、すぐ息切れしちまったから、力と魔力をあげる練習がいるなあ。苦手なんだけど」

「みんなでやれば楽しく強くなれるのです! それじゃ、次はわたし、行ってきます!」

やる気十分のクーデリカが斧を握りしめて立ち上がる。

のだが――

[おや、どうしたのでしょう? 次のCクラスの選手がティグレ先生に話をしているようですが?]

[……ふうん、そうきたのねぇ]

ベルナ先生の興味深いと言ったじの言葉を聞いて、俺達も耳を傾けるすると、

「あん? 棄権? 別に構わねぇけど、まだ勝ち筋はあるぜ?」

「いえ、辭めておきます。僕達は二位でいいですか?」

「ああ、そりゃいいけど――」

次の子が棄権をし俺達が一位を摑みとった。

[Cクラス棄権により、Aクラスが一位を取りました! それでは引き続き、三位と四位、そして五位を決める戦いを――]

「う、戦いたかった……」

「良かったじゃねぇか、楽出來てよ! 次は投擲競技だっけ? ルシエールとウルカに期待だな」

「そうだね」

順位としてはA、C、B、E、Dでフィニッシュして一年生の魔法の無い戦闘競技が終わった。このまま快進撃と行きたいところだけど、どうかなあ。

◆ ◇ ◆

<Cクラス陣営>

「これで良かったのかな?」

棄権をした男子生徒が肩を竦めながら黒縁眼鏡の男子生徒へ聲をかける。

「いいよ、ケガをしても、力を使うのも勿ないよ。他の競技でポイント稼ごう」

「にしてもAクラスは厄介だな。戦闘はずば抜けてるわ」

「やりようはあるよ。クラスに得意不得意は必ずあるし」

「ま、気長にやろう。二位で4ポイント、十分じゃないか。……競爭系は他クラスと共同戦線を張るのもアリかな……?」

黒縁眼鏡の男子生徒が笑ってみんなの肩を叩き、次の競技である投擲競技に備えるのだった。

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