《【書籍化決定】前世で両親にされなかった俺、転生先で溺されましたが実家は沒落貴族でした! ~ハズレと評されたスキル『超用貧乏』で全てを覆し大賢者と呼ばれるまで~》第百二十三話 ノーラの魔法
というわけで俺達一年の番が回ってきた魔法戦闘競技。
今回は運の良さが発揮できず、俺達にシード権は與えられなかった。それでもやることには変わりが無いと、一番手のノーラが前に出る。
Aクラス VS Bクラス
Cクラス VS Eクラス
Dクラスがシード権を得て、CとDの決著がついた後、AかBのどちらかと戦うことになった。二つのフィールドに分かれて戦いが行われようとしていた。
[なんか言いたいことを言えなくなってしまったような気がしますが気のせいですね! さあ今回のシード権はDクラス! AかB、どちらか勝った方と戦ってもらいます!]
[AとBクラスはどっちが勝っても三戦あるから魔力の溫存とかが重要になりますね。あ、一番手が出てきましたよぅ]
「よろしくねー!」
「よ、よろしく!」
Aクラスの一番手はなんとか目が覚めたノーラ。Bクラスもの子が出て來た。
[一番手、AクラスはノーラちゃんでBクラスはミリィちゃんですね。の子同士頑張ってもらいたいです]
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[ふたりともおっとり系の格という報! 今までのような激戦は期待できないかもしれませんが、可いのでいいと思います]
ベルナ先生のおかげでBクラスの子の名前が判明する。そしてバスレー先生の言う通り、茶い三つ編みでし大人しいじのの子だという印象があった。
「始め!」
ティグレ先生が合図をすると――
「<フレイム>ー!」
「わ、大きい! <アースウォール>で、<アースブレイド>!」
「ひゃあ!? <ファイア><ファイア><ファイア>!」
「<ストーンショット>! もっかい<アースウォール>です!」
一瞬の攻防。だけど、戦いはバスレー先生の予想とは裏腹にとんでもない魔法の撃ちあいが繰り広げられていた。
ミリィって子は土魔法の使い手のようで、ノーラの中では大技のフレイムを即座にガードしたのは正直驚いた。ただ、ノーラも得意の『指から出す魔法』で、距離を離したミリィ相手にファイアを連。
嫌がったミリィが足元にストーンショットを放ってノーラの気を引いたところで、アースウォールで防に回った。
「うおお、ノーラのアレを防いだぞあいつ。あのファイア連発は発をずらしてくるから避けにくいんだよな……」
「だからアースウォールなんでしょ? ストーンショットの使い方が上手かったし、あの子強いわね」
俺もマキナの意見に同意だ。魔法のみという制限下ではかなり強い気がする。半面、距離を取るときの足は速くなかったので接近戦は恐らくダメなのだと思う。
「びっくりしたー! ミリィちゃん強いねー」
「う、ううん……ノーラちゃんも魔法系スキルじゃないのにこれだけ出せるのは凄いよ……! ま、負けないから!」
「オラもー!」
[……なんと、おっとり系子。まさかの高火力を出し、激しい撃ち合いとなったぁぁぁ!]
[ノーラちゃんは小さいころからわたしが教えていますからねぇ♪ 魔法系スキルが無くてもきちんと訓練すれば魔法は噓をつきませんねぇ。ミリィちゃんも魔法系スキルじゃないはずですし]
[ミリィちゃんも!? さあ、そうなると目が離せない一戦になってきました!]
「<ファイア>!」
「<ストーンショット>!」
激しい火と土の魔法の応酬がフィールドで炸裂する。ノーラはファイアとフレイムが攻撃として使え、後はウォータやウィンドなど攻撃に向かない魔法が使えると言ったじだ。
「これはまじいか?」
「ミリィはウチのクラスでもトップの魔法使いだ、負けはしねぇよ!」
ジャックが目を細めて呟くとBクラスの子が自信満々で聲をあげる。だが、俺はミリィの足が止まっていることに著目していた。逆にノーラはまだ元気いっぱいでフィールドを駆け巡っている。
「ノーラ! 兄さんと同じで!」
「え? あ、うん」、わかったー!」
俺がそう言うと、ノーラは足元から連続でせりあがってくるアースブレイドを避けながら徐々に間合いを詰める。
「あ、わ、ね、狙いが定まらない……!?」
「<ファイア>! もう一つ<ファイア>!」
「あ、ならこっちに……!」
ノーラが魔法を放つと、ミリィは空いている場所へ逃げる。だが、それは罠だ。
[あーっと、ミリィちゃん自ら角へ行ってしまったぁぁ!]
[ノーラちゃんが導していましたねぇ。追い詰めたノーラちゃんはどうするんでしょうか!]
ベルナ先生がそう言った瞬間、ノーラはミリィに笑いかける。
「凄く強かったよー! 今度魔法を教えてねー! <ウインド>!」
「ひゃああ!?」
風魔法のウィンドでミリィのバランスが崩れ、後ろにたたらを踏み白線の外へと押し出されてしまう。そこでティグレ先生が合図をし、試合が終了となった。
「大丈夫ー?」
「う、うん、大丈夫だよ……。今度、一緒に魔法のお勉強しようね!」
「うんー!」
[ほのぼのしたふたりはお友達になったようです! いい話ですねえ……]
[ミリィちゃんの魔法も凄かったですし、今後に期待ですねぇ]
観客席やテントから拍手が鳴り、ノーラとミリィは手を上げて応えると、そのまま戻ってくる。俺達はハイタッチをして迎えた。
「勝ったよー!」
「勝つとは思ってけど、あの子相手には凄いよノーラちゃん」
「ああ、多分俺とかジャックじゃ負けてたな」
「えへー」
褒められてご満悅のノーラに続き、二人目の選手がテントから出る。こっちは……ヨグスだ。
「それじゃ行ってくるよ。ベルナ先生に見せないとね」
「ああ、頑張って。落ち著いたらヨグスならやれるよ」
俺がそう言うと、笑って頷きフィールドへと足を踏みれた。
さて、ヨグスが午前のことにこだわらず戦えるか? そこがカギだね。
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