《【書籍化決定】前世で両親にされなかった俺、転生先で溺されましたが実家は沒落貴族でした! ~ハズレと評されたスキル『超用貧乏』で全てを覆し大賢者と呼ばれるまで~》第百三十二話 外れる思

詰め放題は八ポイント獲得。

そしてBクラスも同じく八ポイントとなり、Aクラスの一位は変わらないけど、B、Cクラスとの差は四ポイント、D、Eとは七ポイントの差となった。

名前當て競技でヨグスの出番の時、同率二位だった三クラスが全員三ポイント與えられたので、あそこは正直痛かった。もちろん俺の0ポイントも。

だけど、一萬ベリル競技でルシエールとジャックがダブルで最下位を取ってしまう以外は一位は揺るがないので、概ね問題ない……はずだ。曲者なのは競技によっては二人出場してたので、ポイントの上下が割と多かったこと。

ここまで考えて生徒一人は必ず二種目以上出るという縛りを作ったのであれば學院長や先生達は流石だと思う。

[さあ、無差別戦闘競技前の最後の競技、一萬ベリル競技となりました。これも去年無かったようですねぇ?]

[はい。の価値、というのは案外分かりにくいもので、ただの棒だと思っていたものが世界樹の杖だったり、高価そうな金で出來た彫像が偽だったりという例があったりします。一萬ベリルに近い品を一個見出すか、それとも一萬ベリルになるように選ぶのか? そういう意図が含まれています]

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[なるほどぉ。鑑定があれば楽なのではないでしょうかぁ?]

[もちろん、鑑定ができないよう魔法処理はかけていますよ。ぬかりはありません]

[くおー]

[あ、クマちゃん。また連れて來たんですねぇ、よしよし]

と、解説が行われる。

やっぱり鑑定は対策済みだったかと中で呟き、再びフィールドに向かうルシエールとジャックに目を向ける。

「これでふたりが一位を取ればを確実だね」

「ごめんねー、オラがもうちょっと頑張っていたら良かったんだけどー」

<相手が一枚上手だったのだ。例えば我はドラゴンで、最強に近い生きだが、お前達にはしてやられたであろう? いつも確実だとは限らない。準備を怠るのは言語道斷だが、それをして尚、上回られたなら、悔しいだろうが認めねばならん>

ウルカとノーラがそれぞれふたりに話しかけ、サージュが良いことを言っていた。そろそろ始まるし俺も話しておくかと近づいていく。マキナやクーデリカも発破をかけるため集まっていた。

「ううん、ノーラちゃんは頑張ってたよ。大丈夫、私がまた一位を取ってくるから!」

「俺も忘れてもらっちゃ困るぜ! へへ、俺の目利きに期待してくれ」

「妨害で変なのを摑まされないようにね? 直前ですり替えられる可能もあるんだし」

俺の言葉にクーデリカとマキナも口を揃えてジャックへ言う。

「さっきの競技もそうだったけど、スキルを使ってこなかったのが怪しいかったんだよね。ルシエールちゃんもさっきので警戒されるだろうし、ここで何か手を使ってくるかも」

「散々使ってたから、コラボレーションは使えないと思った方がいいわね。私ならジャックを相手にしないでさっさと勝負をつけるわ」

「何とかしてみるしかねえな……」

「まあ負けても死ぬわけじゃないし、最後の競技で負けるつもりもねぇ。最下位でも俺達が取り返すから気楽にやって來いって。なあラース」

「リューゼの言う通りだよ。萬が一負けても、來年勝てばいいしね」

「気の遠い話をするなあ……」

「はは、確かに!」

ヨグスが呆れているとみんなが笑い、直後に集合の合図がかかる。

「じゃあ行ってきますー!」

「見てろよ……!」

意気込んで乗り込むふたりを見送る。

勝ち負けも重要だけど、どんなものが商品が出てくるのか、というのも興味深いものがあるよね。お、始まるみたいだ。

◆ ◇ ◆

<Cクラス陣営>

「ルクス、Bのやつらなんだって?」

「……同盟は破棄だそうだ。ここからは単獨でやるとさ」

「折角ったのに裏切られた」

毒づくクラスメイトに、ルクスは真面目な顔で彼らを制して告げる。

「計畫はこの競技までだったからし早まっただけ。幸い僕達とBクラスはタイの五十ポイント。D、Eは四十九ポイント。この競技で最低一回は一位を取っておけば最後にみをかけられる」

「最後、Aクラスが最下位だったら、でしょ?」

「まあね。最後は総當たりとは言っていたけど、ラース君でも連戦はきついんじゃないかな? それに一戦目で戦闘不能になったりしたら可哀想だよね?」

ルクスはにやりと笑ってフィールドに目を向ける。その言葉に若干、背中に冷や汗をかくCクラス。だけどルクスは気にせずに続ける。

「まあ、ちょっと半日眠ってもらう程度さ。それよりほら、応援しようよ!」

「あ、ああ。眠りなら大丈夫か……」

[――では、競技開始ですよぅ!]

そして競技が開始される――

◆ ◇ ◆

「うへ、ティーカップとかあるぜ? あんなの絶対安いよなー」

「リューゼが領主邸に居た時に使っていたカップ、あれひとつで三千五百ベリルするんだよ? もっと高いティーセットとかあるよ」

「マジでか!? 俺、ミルクをれて飲んでた……」

「価値が分からないとそんなもんだけどね。とりあえずジャックが何を選ぶか楽しみだね」

「一応、商店街には足を運んでいたみたいよう?」

そう言って笑うヘレナ。一番手はジャックで、すでに競技は始まっている。味の時間は十分にあるけど、これだというものを『選ぶ』のは勇気がいるものだ。

カバンや時計みたいに日常で使うものだと尚更で、さらにブランドなどが加わってくると手に負えない。ジャックが難しい顔をしている気持ちはよく分かる。

そんな中、ジャックの背後へ近づく影があった。

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