《【書籍化決定】前世で両親にされなかった俺、転生先で溺されましたが実家は沒落貴族でした! ~ハズレと評されたスキル『超用貧乏』で全てを覆し大賢者と呼ばれるまで~》第百四十五話 人生において大切なこと

「では一年生から発表だ。バスレー先生、あれを」

「はっ! 喜んで!」

學院長先生の言われて敬禮をするバスレー先生は、ティグレ先生と共に大きな紙を持ってくる。それを木の上からバサッとみんなに見えるように広げると――

「Aクラス、66ポイント。堂々の一位だよ、おめでとう」

學院長先生が微笑みながら俺達を見ると、リューゼがぐっと拳を握り聲をあげる。ジャックや、ヨグス、ウルカの男子は諸手を上げて喜んだ。

「うっしゃ! 分かっていても嬉しいもんだな!」

「これもみんなの力を合わせたおかげだよね!」

「ああ、微力らだったけど僕も役に立てて良かったよ」

「何言ってんだ、ヨグスも頑張ったっての!」

「元気よねえ男子」

「嬉しそうー!」

勝負事はやはり男子の方が一喜一憂するものだ。マキナが呆れ笑いをし、ノーラも結果にはそこまで執著は無いじだった。競技することが楽しいとじるタイプだ。

ちなみに俺も一位を聞いて腕を掲げて喜んでいたりする。前世ではこういうので一位をとっても褒められたことあまりなかったから特に嬉しい。

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まずは俺達のゆるぎない結果でた。 そしてここから、他のクラスがざわめき始めることになる。

「Bクラス、57ポイントで二位!」

「まあ今年は負けたけど、來年だな」

「ん? いやちょっと待て、ポイントなくなってね?」

「えっと……確か62ポイントになるはず、だよね?」

するBクラス。

それもそのはずで、確かにポイントは減っている。さらに學院長が続けて発表していく。

「三位はEクラス。48ポイント」

「ええ!? お、おかしいですわ! わたくしたちは最下位のはず……」

「ああ……53ポイントだったはずだし……どうなっているんだ……?」

さらに続く。

「44ポイントで、四位はDクラスだ」

「ほう……」

「リースちゃん、その笑みは多分ハッタリだよね? というか四位のままだからね?」

そう、ここはポイントが減っても変わらなかった。となると、最下位は必然的に――

「何故だ!? 僕達Cクラスが最下位だなんて! ポイントが大幅に減っているじゃないか!」

「計算間違い……な訳ないよな……?」

ルクスが青ざめて悲鳴のようなびをあげ、ホープが冷や汗をかきながらぽつりと呟くが、學院長先生は穏やかに返す。

「間違えていないよ。Cクラスが五位だ」

「ど、どうして……!」

ルクスが食い下がると、學院長先生はルクスに視線を合わせて口元を緩ませ、困った顔で口を開く。

「ふむ、どうして、か。それはもちろん、Cクラスである君が謀略を張り巡らせた結果だけどね?」

「……!?」

ルクスが驚愕の表で目を大きく見開き、震えながら學院長先生へ尋ねる。

「そ、そんな馬鹿な……ルールで妨害は止されていないし、実際にやったところで咎めなかったじゃない、ですか……!」

「その通り、特にルールで止めてはいないね。実際にやっても咎めないのは止していないのもその通り」

「では問題ないはず――」

ルクスが言いかけると、學院長はそれをやんわりと制してカラクリを話し出す。一年生である俺達は初めて聞くことになる、ずるい大人の話だ。

「問題はある。いくら勝ちたいからといって、人を陥れたり、危ないものを持ち込んだりするのはもってのほかだ。もちろんルールとしてれず、咎めなかったのは私の一存。言ってくれればやらなかった、といいたいかもしれないが――」

そこから學院長先生は怒濤のお説教タイムにり、上級生は苦笑い、ルクスは目を白黒させてそれを聞く。

この『ルールに抵しなければ何をやってもいい』というのは學院長先生の罠で、きっちりペナルティが課されているのだ。

「やっていいことと悪いこと、というのは學院を卒業すると特に付きまとう。例えばルクス君がお金に困っていたとして、それを稼ぐ手段を考えた時、君はどうする?」

「……は、働くか、売買をする、とか……?」

自信なさげにぼそぼそと呟くと、學院長はルクスの答えに満足気に微笑む。

「そうだね、そういう真っ當な稼ぎ方をすべきだと私も思う。だけど、世の中には人を殺して奪う、という輩も人間がなからず存在する。だからどんな手を使ってでも、というのは考え方として本當に最後の手段くらいで思ってしいんだ。悪いことをしてそのまま逃げ切る者も居る。だが、その後の人生、悪いことをしたという棘が刺さったまま生きていくのは辛いと私は思うよ」

「……」

「私は敢えて対抗戦の競技中は止にはしていない。しかし、何でもしていいからといって悪いことをすれば自分に何かしらの形で返ってくるということを知っておいてしいのだ。最後でポイントが失われているということだけでもショックだろう? 外の世界に出ると、さらに親切に教えてはくれたりはない。だからこそよく考えなければならないのだよ」

最後はルクスにではなく、俺達全員に向けて言葉を放つ。もちろん學院長先生の言うことは綺麗ごとにも聞こえる。だから學院長先生は最後に必ずこう言うのだ。

「悪い人間が君たちを狙い、引きずり込もうとするかもしれない。もしかしたら死の危険に合うかもしれない。だからそんな人間に負けないよう、に負けないよう、この學院で心とを鍛えてしい。そうありたいと想うことが自分や大事な人を守る力になるのだと私は思っているよ」

そこで上級生から拍手がおこり、観客席からも続けて響く。學院長は手を上げてやませると、もう一度ルクスに目を向けて語り始めた。

「Cクラスはクラスメイトの誰かがルクス君を止める、という選択肢もあったはずなのだから一蓮托生だな。しかし、他のクラスと共闘するというアイデアは悪くない。実戦では助け合いが必要なのだから、例えば強力な魔を相手に、手柄を獨り占めしたいがため、他の者を陥れるより、一緒に戦った方がいいとかね。やり方と考え方を変えればルクス君の頭脳はクラスメイトに力を発揮させることがきっとできるはずさ。來年は期待しているよ?」

「……! は、はい……!」

ルクスが潤んだ瞳をし、顔を赤くしてシャキッと返事をすると、學院長先生はゆっくり頷き、他の學年の結果発表に移る。

ちなみに、Cクラスの15の減點は、共闘ではなく共謀だからという理由と、なりふり構わず眠りを使ったりと目立つ悪行がまずかったらしい。Dクラスも10ポイント減っており、リースが眠りを作り、それをルクスに渡したり、ダークカメムシのも悪質だと思われたそうだ。他のクラスはお姫様抱っこ競技のように直接的な妨害がダメだった、ということ終わった。

正直、ポイントの引かれ合がないのでポイントを稼いで妨害すれば勝てそうだと思う。だけど、ポイントがリードしているならそもそも妨害をして最後に減らす必要もないわけなのでこれは心理を上手くついている。

で、俺達……というより俺は、兄さんの応援でこの話を聞いたことがあるので妨害行為はご法度だとみんなに伝えていたので、最後まで正々堂々とやっていたわけだ。もうし反撃しても良かったかなとは思うけどね。

そしてすべての結果が出て、三年生は兄さんのクラスが一位を取り、兄弟揃って一位という快挙を達した。

「そういや、なんかくれるんだっけ?」

「うん。一応、決まっているんだけど、俺はしいと思ったかな?」

リューゼが俺に聞いた後、俺達Aクラスは前に呼び出される。バスレー先生やベルナ先生、ティグレ先生が賞品を持ってくると、俺達にそれを手渡す。

「よくやったな!」

「みんな、それを羽織ってみてぇ?」

「くくー……Eクラスに上げたかったぁぁぁ……」

リューゼやジャックが顔を見合わせた後、俺達は手にしたローブのようなジャケットを羽織る。純白の布に、金の刺繍。そして右肩にペンと剣がクロスしている學院章がい付けられていた。

「わあ! かっこいい!」

「これ、凄くきれいー」

「何か引き締まるわね……!」

「それは一位の証であるジャケットだよ。生活魔法のピュリファイがかかっているから、白だけど汚れないようになっているんだ。クラスが一丸となって手にれた思い出の品になると思うよ」

「「「ありがとうございます!」」」

俺達は笑いながら禮をし、みんなの拍手を一心に浴びる。照れながらリューゼと肩をたたき合ったり、マキナがで泣いていたり、ルシエールやクーデリカ、ノーラが飛び跳ねていたりと大忙しだった。

対抗戦はAクラスの圧勝で幕を閉じ、俺達は大手を振って家へ帰れる。 と、思っていたんだけど、お祭りはまだ終わらなかった。

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