《脇役転生の筈だった》1
目が覚めるとそこは見慣れたアパートの天井ではなく…病院の天井でもなく…豪華な部屋だった。
………取り敢えず狀況を整理しよう。
…私は、杉本 香乃、大學に通う途中で車に跳ねられ……私、もしかして死んだ?
……あぁ、そうだった。
記憶が鮮明に蘇る。
………そう、私は死んだ。
そして、それは元々予定されていなかったという事で私の好きだった乙ゲーム『エデンの花園』に転生させられたんだ。
……あれ?
じゃあ、私の今の名前は……?
それに、ここは何かスチルで見たことがある気が……。
あぁ、そうだ。
ヒロイン、黒崎音の友人、海野 咲夜の部屋だ。
という事は、私が転生したのは海野咲夜か黒崎音のどちらかだろうか?
「咲夜、しいいかい?」
「あ…はい、どうぞ」
この聲は攻略対象の1人で海野咲夜のたった1人の兄
海野 悠人だ。
という事は私は海野 咲夜か。
シナリオだとヒロインを庇って悪役令嬢に殺されるって役だった気が……。
え?
私、何もしてないのに殺されるの?
いやいやいや…そんなのやってられるか!
絶対に回避してやりますとも!!
折角の2度目の人生、捨てるものですか!!
「咲夜忘れてはいないと思うけど…明日は隆桜學園の試験の日だから」
隆桜學園……私立の學園だ。
しかも、金持ちしかいない……。
うわぁ……行きたくないよ……。
あ、でも良かった。
禮儀作法はなんとかなりそうだし。
勉強も元は大學生だしなんとかなりそうで良かったぁ……。
「お兄様、私、學園のお話聞きしたいです!」
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妹である事を利用して報を聞き出す作戦である。
何故ならこの役、災難としか言い様がない。
この役に割り振られた結末はバットエンドしかないのだ。
兄のルートだと庶民であるヒロインと共に生きる為に邪魔だった私(海野咲夜)は殺されるか、ヒロインを庇って悪役に殺される。
他のルートだと、やはり悪役に殺されるかヒロインに勘違いされて裏切り者として殺されるか、嫌われ者となり心を病んで自殺という結果だ。
……つまり、この役のエンドは他殺か自殺かの違いしかないのです。
まぁ自殺はないだろうけど。
前世では小學校の頃、められていたみたいだったけど特に害は無かったし。
まぁとにかく、その結末を回避する為にまずは兄に邪魔者認定されないようにしなければ……。
「咲夜がそんな事言うなんて珍しいね?」
……そうだった。
私が突然こんな事を言っても怪しまれるだけだ。
「駄目…ですか?」
出來るだけ上目遣いを心がける。
……が子供だからこそ出來る事だった。
こ、これしか考えつかなかったんだから仕方ない!
「……そうだね。
咲夜が學するかもしれない學園の事だからね。
気になるのも當たり前か…。
いいよ、簡単になら教えてあげる」
私は満面の笑みを浮かべ、兄に駆け寄る。
「ありがとうございます!
お兄様!」
「咲夜のお願いだからね。
學園は、1組から9組までの9クラスあるんだ。
各家の関わりとかで決められる事が多いよ。
特別教室は學式の後に説明があるからいいとして……あぁ、學園では決められた時期に期末テストや中間テストがあって績が張り出されるんだ。
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上位3人の中にっていた場合は隆會っていう學園の中樞になっている役員につけるんだ」
つまり、隆會っていうのは他の學校でいう生徒會って事だね。
違うところは普通、大學には無いのだが、この隆會はあるってとこくらいか。
「お兄様、お兄様も隆會の役員なのですか?」
「うん、まぁね」
つまり學年で上位3位にっていると……。
どれだけハイスペックなんだ……。
後に知った事だが2位などが3人いた場合は1位と合わせて4人が代表になるらしい。
「凄いです!
流石お兄様ですね!」
一応賞賛しておくのを忘れない。
兄は満更でもないようでし機嫌が良さそうだった。
機嫌のいい兄が私の頭を優しくでる。
「咲夜もきっとれるよ」
「頑張ります!
お兄様!
教えてくださりありがとうございます!」
「咲夜のお願いだからね。
また何かしてほしい事があったら言ってね」
私はもう一度お禮を言い、勉強をしようと機に向かった。
機の上のノートを開くと7歳とは思えないほど綺麗に書かれた字が目にる。
ノートも見やすいように書かれていて兄が隆會にれると言った事も納得出來た。
試に出そうな問題は赤で印が付けられていて分かりやすい。
香乃の7歳の頃と比べしっかりしているとし落ち込んだのであった。
次の日、ついにこの日が來たか…とし楽しみな反面張してくる。
私の様子に兄は
「咲夜なら出來るよ」と優しい言葉をかけて見送ってくれた。
母と父も心配の様で
「咲夜ちゃん、いい?
お名前を先に書いておくのよ?
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持ちは大丈夫?
ペンは持った?
消しゴムは大丈夫?
ハンカチは?」
「まぁまぁ、落ち著いて…。
咲夜なら大丈夫さ。
何せ私達の娘だからね。
あ、そうだった。
いいかい、咲夜。
決して知らない人について行ったらいけないよ?
知らない人に話しかけられたらすぐに電話をかけるか、びなさい。
いいね?」
私は子供か!
……子供でした。
と、そんなやり取りがあった中、私は學園について々と考える。
兄からも言われていたが…私の學年には近付いてはいけない人が2人いる。
1人は、天野 天也 (あまの たかや)……攻略対象だ。
もう1人は神崎 奏橙(かんざきかなと)……こちらも攻略対象だ。
そして、天也の馴染でもあり唯一『たか』と呼ぶのを許されているが本人は天也と呼び続けている…。
はずだ。
なくとも高校ではそうだった。
今は知らないけど。
「咲夜お嬢様、到著致しました」
「え…ありがとうございます。
では、帰りもお願い致しますね」
攻略対象のことを考えていたら到著していたようだ。
…取り敢えず攻略対象には近付かないようにしよう。
そうすればフラグをたてずに済む…はず。
無理そうなら逆にフラグを折にいこう。
私は指定された席につき、試験を開始する。
……簡単だ。
まぁ、當たり前といえば當たり前だろう。
私の前世は大學生だったし、ノートもかなり丁寧に書かれていたし。
昨日、猛勉強したし。
家に泥を塗るわけにはいかない事もあり私は前世の時よりも勉強をしたのだ。
これで出來なかったら逆にヤバイ。
全教科が終了し、私は一息つく。
そして先のテストを思い出してみるとノートに書かれていた出そうな問題全てが出ていた。
まぁ、最後に難しい問題があったけど。
確か今日はこれで終了のはずだ。
面接もないみたいだし。
うん、帰ろう。
私には友人なんていないみたいだし。
私が帰る準備を初めると不意に消しゴムが転がってきた。
その消しゴムを拾い、落としただろう人が「すまない」と言ってきた。
聞き覚えのあるような聲だったが気の所為だろう。
「どうぞ」
と差し出すついでに顔を見る。
瞬間、私は後悔した。
何故、顔を見てしまったのだろうと。
何故、消しゴムを拾ってしまったのだろうと。
何故ならそれは…攻略対象であり、兄に注意するように言われていた人、天野 天也だったからだ。
接しないよう気をつけようと思っていたその人だったからである。
外見は黒髪黒目だが……油斷ならない人だったはず。
「ありがとう。
俺は天野天也だ。
君は?」
こうなったらなるようになれだ。
「私は海野咲夜です」
さぁ、早く帰してくれ。
私は関わるつもりなんて無いんだ。
忘れてくれ。
そんな思いの中、私は向き合っていた。
「海野……あぁ、あの客船のか」
知っていたらしい。
まぁ、私の家は豪華客船を扱う會社の中でも有名な方だから當たり前かもしれないが……。
「ご存知でいらしたんですか?」
「當たり前だろう。
海野グループといえば世界で一、二位を爭う程の客船會社だろう」
そうらしい。
まぁ、あの會社は親の會社だから私には関係ないけど。
「栄です。
それでは、私は迎えが來たようなので失禮します」
「あぁ、またな。
咲夜」
私は下の名前で呼ばれた事に驚くが、外面に出さず頭を下げ出ていった。
あぁ……張した。
いきなり攻略対象と接とかシャレにならない。
心臓に悪いから辭めてほしい。
「咲夜様、試験、如何でしたでしょうか?」
「全て埋められたので大丈夫だと思います」
「それは宜しゅうございました」
それより大丈夫じゃないのは天野天也との接だよなぁ……。
どうしようか?
………………………………決めた……忘れよう。
そうして私は考える事を放棄した。
家に帰ると兄が出迎えてくれた。
何か嬉しいね。
「咲夜、おかえり」
「ただいま帰りました、お兄様!」
兄はまた私の頭をでてくれる。
昨日もそうやっていたが何か意味はあるのだろうか?
……無さそうだ。
「どうだった?」
「問題無さそうです!」
「それは良かった。
流石僕の自慢の妹だね」
自慢の妹……自慢って言われた!
何か照れるな。
嬉しいや。
「合格発表は明日の午後だったね。
…一緒に來るかい?」
學園に、という事だろうか?
うん、面白そうだし、行くか。
「いいのですか!?
行きたいです!」
「うん、一緒に行こうか。
ついでに々と案するよ」
「わぁ…ありがとうございます!」
楽しみだなぁ。
學園の中って教室しかれなかったんだよねぇ…。
明日かぁ……。
早く行きたいなぁ……。
そんな私と兄のやり取りを屋敷の人々が暖かい目で見ていたのに私も兄も気付かなかった。
「あらあら…咲夜は悠人の事が大好きなのね」
「はい!
あ、お母様の事も同じくらい大好きです!」
兄も満更でもない様だ。
母も心なしか嬉しそうだ。
その日の夜、父は私の試が終わったからという理由でショートケーキを買ってきてくれた。
味しく頂きました。
そして次の日、ついに私は兄と共に學園に行った。
「咲夜、あまり離れないようにね?」
「はい、お兄様」
私は兄に離されないようし早足になる。
それに気付いたのか兄はスピードを合わせてくれた。
私の兄は優しいようです。
「おはようございます、海野さん。
…その子はどうなされたんですか?」
「おはよう如月さん。
僕の可い妹の咲夜だよ。
咲夜、こちらは同じ隆會の如月さんだよ」
気の所為だろうか?
如月さんと私に対する聲音がし変わった気がするんだけど?
それに、可い妹って……。
「海野咲夜です。
宜しくお願いします」
私は禮儀作法に細心の注意を払って挨拶をする。
すると、如月さんは優しい口調で挨拶を返してくれた。
「私は如月皐月です。
宜しくお願いします、咲夜さん」
「あ、あの…如月先輩って呼んでも良いですか?」
優しい先輩ってじするし…駄目かな?
まぁ、ダメ元だから駄目って言われても良いけど。
……し傷つくだけだし。
「ふふっ…皐月でいいですよ」
「ありがとうございます!
皐月先輩!」
皐月先輩って容姿端麗で績優秀とか羨ましいなぁ……。
容姿端麗は無理だとしても績優秀くらいは頑張れば何とかなるよね!
「如月さん、そろそろいいかい?
僕は咲夜を案しなきゃいけないからね」
「海野さん、仕事は終わらせましたの?」
「咲夜の方が優先順位は上だよ」
え……つまり、仕事はやってないと。
これって私のせいだよね。
……皐月先輩のためにもどうにかして仕事をやらせなければ……!!
「私、お兄様のお仕事する所見てみたいです!」
「咲夜がそう言うなら行こうか」
「咲夜さん、ありがとうございます」
兄よ。
しは考えたらどうなんだ。
変わり早すぎはしないか?
……まぁ、皐月先輩は笑顔だからいっか。
「うん?
悠人?
珍しいね。
悠人がここに來るなんて」
「來る予定は無かったけど咲夜の『お願い』だからね」
兄よ。
仕事をサボっているのか……。
「咲夜?」
「…その汚い口で僕の可い可い妹を呼び捨てにしないでくれるかな?」
兄よ。
キャラが変わっていないか?
気の所為なわけないよねぇ。
「お兄様……?」
「咲夜、怖がらせたかな?
ごめんね。
大丈夫だよ」
……先輩がぎょっとした様子で見ているのだが…。
兄は一何をしたんだ?
シナリオだと優しい先輩で通っていたと思うのだが……。
「あ……海野咲夜です」
「え…あ…。
白鳥 涼太だ。
宜しく、咲夜ちゃ……海野さん」
何故呼び直したのだろうか?
……視線の先には兄がいた。
あぁ、兄がやったんだろうな。
うちの兄が申し訳ない。
「白鳥先輩、私で良ければ何かお手伝いさせてください」
「え?
大丈夫だよ。
海野さん、ありがとう」
何かやらせてしかったんだが、仕方ないか。
私はまだ7歳だしな。
「咲夜、こんな奴はほっといていいよ。
…そろそろお晝にしようか」
「はい、お兄様」
あ、皐月先輩も一緒がいいな。
……迷かな?
今回は諦めよう。
などと思っていると兄が私をジッと見てきた。
かと思えば皐月先輩に話しかけた。
「如月さんも一緒にどうかな?」
「あら…海野さんが私をうだなんて珍しいですね…。
咲夜さんもいますし、いいですよ」
あ、兄は私が皐月先輩も一緒がいいって思ってたのに気付いたのかな?
だとしたら何か見かされているみたいで恥ずかしな。
「お兄様、皐月先輩、ありがとうございます!」
「海野さんは咲夜さんが絡むと人が変わりますのね」
皐月先輩はそう言うがそれ程なのだろうか?
私にはあまりよく分からない。
が、兄は悪びれもなく言い放った。
「咲夜は可いからね」
「お、お兄様!」
やめてくれ!
恥ずか死ぬ!!
食堂にくると普段なら多分、混んでいるだろうが今日は誰もいなかった。
私達と料理人だけだ。
「今日は僕達の學年の隆會メンバーしかいないからね。
空いているんだよ」
兄が説明してくれた。
やはりいつもは大勢いるらしい。
まぁ、當たり前か。
私は皐月先輩と同じ日替わりセットを頼んでみた。
兄はAセットを頼んだようだ。
凄く豪華だった。
…が庶民の私にとっては食べにくい。
兄も皐月先輩も全く気にしないように食べている。
……私も食べるか。
………流石、豪華なだけあって味しい。
味しい食事に私は自然と笑みが零れた。
「可い…ですわね…」
「だろう?」
はっ……。
皐月先輩にも兄にも見られた…だと…!?
くっ……私は何をやっているんだ……!!
私達は食べ終わると下へ向かった。
「そろそろ合格発表が張り出される頃だね。
行こうか」
「はい!」
合格、してればいいなぁ……。
「あら…咲夜さんは新生なんですの?」
「あぁ、今日が発表だからし先に來ていたんだよ」
皐月先輩には私は新生と見えていなかったのか……。
「そうだったんですか…。
だから……。
私も一緒に行っても?」
「皐月先輩、いいんですか?」
それは、嬉しいけど……。
いいのかな?
「えぇ、咲夜さんの結果、私も気になりますから」
「ありがとうございます!」
「さ、行こうか」
兄に手を引かれ私達は発表の會場まで來た。
そこには人盛りが出來ており、既に張り出された後だった。
あぁ、張する。
私は下から順に自分の名前を探していくが名前は見つからない。
「咲夜、あったよ」
「咲夜さん、おめでとうございます」
もう、見つけたらしい。
早いな。
「咲夜、上だよ」
上?
上から見ろという事だろうか?
上位から見ていくか。
………見つからないわけだ。
まさかこんなとこに名前があるとは……。
1 海野咲夜 500
2 天野天也 497
3 神崎奏橙 486
とあった。
まさか1位とは。
満點か。
やったね。
「咲夜!」
この聲……まさか……。
「まさか首席を取られるとは思わなかったよ。
おめでとう、咲夜」
「ありがとうございます、天野さん」
覚えられていたか。
……何故だろうか?
兄の笑顔が怖いのだが……。
「天也で構わない」
「そうですか。
なら遠慮なく」
「同じクラスになれるといいな」
え?
嫌だよ。
攻略対象と同じクラスとか……私はあまり…というか全く関わりたくないのに……。
「9クラスもあるようですからそれは無理そうですね。
では、私はこれで失禮します」
「あぁ、またな」
兄の機嫌が頗る悪い…。
さぁ、どうしようか?
…はぁ…大変そうだな。
機嫌、直さないと……。
「お兄…」
「咲夜、あいつとはどんな関係なんだい?」
「試験の時に落しを拾って渡してあげただけですよ」
噓は言ってない。
全て本當の事だ。
「へぇ……」
「お兄様、どうかされたのですか?」
「咲夜さん、放っておいて構いません。
海野さんはただ拗ねているだけでしょうから」
兄が拗ねてる?
…へぇー兄が、ねぇ……。
ま、いっか。
「それよりも…咲夜さん、代表の挨拶頑張って下さいね」
あ……すっかり忘れてたよ。
そうだった。
私、首席とったんだった……。
あぁ…めんどくさい。
「ふふっ…それでは、私はこれで…」
「皐月先輩、今日はありがとうございました」
「學したらまた一緒に食事をしましょう」
「はい!」
皐月先輩、いい人だったなぁ……。
また一緒に食事出來るんだ…。
ちょっと嬉しいな。
「お兄様、私早くお母様とお父様に報告したいです!」
「あぁ、そうだね。
じゃあ、帰ろうか」
「はい!」
兄は笑みを浮かべ私の手をひいてくれる。
「ご褒は何がいいかい?」
ご褒ですか……。
そんな突然言われても何も思い浮かばないって……。
「えっと……また今度勉強を教えてください」
「そんな事でいいのかい?」
兄は目を丸くしていたが、私は満面の笑みで返事をする。
「はい!」
「分かった。
いいよ」
「ありがとうございます!」
その頃には兄の機嫌も戻っていたようでらかい笑みを浮かべていた。
こんな優しい兄がいて良かったなぁ……。
前世は一人っ子だったし……。
あぁ…でもこんな優しい兄が高等部になると豹変するのか……。
後は野となれご令嬢!〜悪役令嬢である妹が婚約破棄されたとばっちりを受けて我が家が沒落したので、わたしは森でサバイバルすることにしました。〜
「すまん、我が家は沒落することになった」 父の衝撃的ひと言から、突然始まるサバイバル。 伯爵家の長女ヴェロニカの人生は順風満帆そのもの。大好きな婚約者もいて將來の幸せも約束された完璧なご令嬢だ。ただ一つの欠點、おかしな妹がいることを除けば……。 妹は小さい頃から自分を前世でプレイしていた乙女ゲームの悪役令嬢であるとの妄想に囚われていた。まるで本気にしていなかった家族であるが、ある日妹の婚約破棄をきっかけに沒落の道を進み始める。 そのとばっちりでヴェロニカも兵士たちに追われることになり、屋敷を出て安全な場所まで逃げようとしたところで、山中で追っ手の兵士に襲われてしまった。あわや慘殺、となるところを偶然通りかかった脫走兵を名乗る男、ロスに助けられる。 追っ手から逃げる中、互いに惹かれあっていく二人だが、ロスにはヴェロニカを愛してはいけない秘密があった。 道中は敵だらけ、生き延びる道はたった一つ。 森の中でサバイバル! 食料は現地調達……! 襲いくる大自然と敵の兵士たちから逃れながらも生き延び続ける! 信じられるのは、銃と己の強い心だけ! ロスから生き抜く術を全て學びとったヴェロニカは最強のサバイバル令嬢となっていく。やがて陰謀に気がついたヴェロニカは、ゲームのシナリオをぶっ壊し運命に逆らい、計略を暴き、失われたもの全てを取り戻すことを決意した。 片手には獲物を、片手には銃を持ち、撃って撃って擊ちまくる白煙漂う物語。 ※この物語を書く前に短編を書きました。相互に若干のネタバレを含みます。またいただいた感想にもネタバレがあるので読まれる際はご注意ください。 ※続編を別作品として投稿しておりましたが、本作品に合流させました。內容としては同じものになります。
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