《脇役転生の筈だった》4

ーーーーーーーーーーーーそれから9年後。

遂にこの學院に『エデンの花園』のヒロイン黒崎音が學してきた。

そして、私は16歳になり、高等部へと進學していた。

初等部、中等部等は兄が卒業した後に必ず會長になるという事があったがそれ以外は何も無かった。

……本當に何も。

あるとすれば暴走した兄を止めたり、その兄がシスコンのせいでクラスで自慢ばかりしていたらしく先輩方から変な目で見られたり、兄が仕事を放りだし私のところに來るせいで私のところに先輩がいたり…。

そして何より、その兄のせいか同級生2人のせいかは知らないが友人が1人も出來なかった!

「咲夜、おはよう」

「おはよう」

學早々私に話しかけてきたのは小學生からの付き合いである天也と奏橙だった。

私は制服の裾を摑んで軽く禮をする。

この9年で大分令嬢らしくなってきたと思う。

「おはようございます、天也、奏橙。

…それにしても……また、ですか」

また、というのはクラスの事である。

小學生から9年間、私達3人は全て同じクラスだったのだ。

…私としては違うクラスとなる事をんでいたのだが仕方ない。

あまりにも同じクラスが続くので何か人為的な気もするが……気にしてもしょうがないだろう。

「あぁ、良かったよ。

また3人で同じクラスになれたんだ。

……咲夜は嫌だったか?」

「…えぇ、まぁ…。

新鮮味がありませんから。

たまには他のクラスになってみたいものですわ」

「それにしても凄いね。

また、咲夜が首席でしょ?

流石、9年間學年1位を取り続けてたただけあるよね。

しかも…1度だけ499點だっただけであとは全て500點でしょ?」

そう、私はずっと1位を取り続けてきた。

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これまで首席の座は1度も渡した事がない。

まぁ、それを言ったらこの2人もずっと3位以だったけど。

「當たり前ですわ。

天也も、2位以下になった事はありませんし、奏橙だって3位以下になった事なんてありませんでしょう?」

天也と奏橙は大抵1位で私とも並ぶか2位で並ぶか、奏橙が3位に落ちるかのどちらかだったのだ。

まぁ、つまり私達は9年間隆會メンバーだった。

そしてそれは今年も同じ……と言いたいのだが…この場合はどうなるのだろうか?

私はもう1度試の結果を見てみる。

1位 海野咲夜 500

2位 天野天也 499

神崎奏橙 499

黒崎音 499

と、1位が私、2位が天也と奏橙そしてヒロインである黒崎音が並ぶ結果となっていたのだ。

……これは、どうなるのだろうか?

「あぁ……1點落としたかぁ………。

でも、首席…いけると思ったんだけどなぁ……」

綺麗なき通る聲でそんな臺詞を言ったのは黒崎音、本人だった。

話しかけてみるべきだろうか?

……自慢じゃないが私には友人がいない。

そんな中、友人になれそうな子がいるとしたら…。

話しかけなければいけないだろう。

「あなたが黒崎音さん?」

「え!?

あ…はい、そうですけど……」

まぁ、ゲームで見てたから知ってたんだけどね?

「私は海野咲夜ですわ。

2位に知らない名前があったので気になっていましたの」

「え!?

首席の人!?

あ…黒崎音です!」

元気だなぁ……。

だけど天真爛漫ってじよりも天然ってじするなぁ……。

「おい、咲夜!

いきなり居なくなったかと思ったら……誰だ?」

天也は來なくても良かったのに……。

音さん、この後お時間はありますの?

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宜しければお話しませんか?」

「是非!」

食いつきいいな。

まぁ、いっか。

私は近くで騒ぎだした天也と笑って見ていた奏橙を連れ靜かな場所を探し始める。

「個室、使うか?」

「えぇ、お願いしますわ」

という事で使い慣れた私達3人用の個室を使うことにした。

天也が付を済ませると私達は天野家が借りている個室へとる。

そして…私は令嬢としての皮をぎ捨てた。

「あぁ…もう疲れた…。

天也、私はいつものでお願い。

あ、フランボワーズと、レモンと、カシスと柚子とねー、シトロンと、パッションの気分かな~」

「…俺を使うな」

などと言いつつも取ってくれる天也は優しいと思う。

天也はフランボワーズとバニラ、抹茶をとり、奏橙のはショートケーキを用意した。

「君は何にする?」

「え…わ、私ですか!?

私はいいですよ!

私みたいな庶民がこんな高級そうなの……」

「いいからいいから。

どうせ全て天野家持ちだし」

「尚、悪いですよ!」

往生際が悪いな。

こういう時は強にいこう。

「マカロンでいいって~」

「ええぇぇぇぇぇ!?」

天也は苦笑しつつもマカロンを取り分けた。

「遠慮はいらない。

まぁ、咲夜は遠慮が無さすぎるとは思うが…」

「え~、酷いなぁ。

私を釣る為にマカロン用意させた癖に」

そう。

天也は小學生の頃、私をここに連れてくるためだけにないはずのマカロンを用意させていたのだ。

後でその事実を知り呆れたのはまだ記憶に新しい。

「改めて、私は海野咲夜。

宜しくね。

あ、話し方は普通でいいよ。

まぁ、他に人がいない時は私もこんなんだし」

「俺は天野天也だ。

一応、咲夜とは小學生の頃からの付き合いだな。

奏橙とはもっと長くなるが」

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「僕は神崎奏橙。

僕も咲夜とは小學生の頃からの付き合いだよ」

「私は黒崎音です。

今年から特待生として學してきました」

やはり敬語は改めないか。

まぁ、いいけど。

どうせ最後には使わなくさせるし。

「黒崎…って2位のか!」

「あぁ、だから咲夜が絡んでたんだね…」

人聞き悪いな!

私が何かやらかしたみたいじゃないか!

「だって天也と奏橙と私で毎回ライバル関係だったのに、そこにまた1人増えたんだよ?

気になるじゃん」

「お前はいつも首席だろうが!」

いやぁ…そうだけどさ。

「私だって同の友達がしいんだよ!

2人のせいで子からは敵視されて祿に友達出來なかったんだからな!!」

……つい勢いで言ってしまった。

……くそっ!

恥ずかしいじゃないか!

「それは…俺のせいじゃないだろう!?」

「絶対天也と奏橙のせいだ!!」

「お前が無想だからだろう!

それと悠人先輩だろ!?」

「はぁ!?

誰が無想だ!

それと、お兄様のせいでもあるだろうけど…絶対っ天也のせいだし!

もういい!

もう囲まれてても助けてあげない!」

「お前になんか助けてもらわなくてもいい!」

売り言葉に買い言葉だった…。

反省はしているが、後悔はしていない。

私の苦労、思い知ってみろや。

「えーと……これ、止めなくていいんですか?」

「うーん……。

いいんじゃないかな?

でも、確かに僕と天也が咲夜と一緒にいたせいで最初の頃は咲夜が他の令嬢からめをけてたし。

それを気付けなかった僕らも悪いけど、咲夜のお兄さんを怒らせたせいで咲夜に近づく人が居なくなったからね。

だから、咲夜に友人がいないのは僕等のせいでもあるんだ」

私は確かにめをけていた。

だが、それを知った兄が怒り狂い彼達の親に直談判しに行ったのだ。

その後、彼達と彼達のご両親がお詫びにきたがその終わり方のせいか私は益々恨まれてしまった。

そして結局、彼達は転校してしまった。

折角穏便に済まそうと々考えてたのに。

そんな事があり、私には近付かない方がいい、と思われてしまったらしい。

そんな事があり私は今まで先輩方やこの2人以外の友人は出來なかったのだ。

「そう、なんですか……」

「あ……ごめんね。

こんな見苦しいとこ見せちゃって」

「い、いえ!!

…あの!

私なんかじゃ駄目だと思うんですけど…釣り合わない事は分かっていますが…その…お友達になってください!」

……友達…?

わっ……やばい…。

泣きそう。

「…ど、どうしてもと言うなら…その、お友達になってあげてもいいけど…?」

うわぁぁぁ!!

違う!

違うだろう!?

私はお願いする側だろうが!!

もう、本當に何してんだこの口は!!

「はい!

どうしてもお願いしたいです!!

お願いします!

咲夜さん!」

「……なら、私の事はさん付けしなくていいよ?

私も、その…音って呼ぶから」

これじゃあ本當にツンデレじゃないか!!

だが、音は嬉しそうに笑っていた。

「良かったです。

私、友達はなかったですから」

…私と同じだ。

でも、私にはこの2人もいたし、先輩もいたし。

「…ねぇ、音は何組?」

「私は3組ですよ。

咲夜は何組ですか?」

あぁ、良かった。

天也と奏橙だけじゃなかった。

「私も同じ。

というか、天也も奏橙も3組。

私達3人、9年間ずっと同じクラスだから…って、もう10年か」

「そうなんですか!?

咲夜と同じクラスになれて本當に良かったです!」

私も良かったと思ってるよ。

なんて、言わないけどさ。

音は晝食、どうするの?

購買で買う?

それともお弁當?」

「購買って何があるんですか?」

私はいつも日替わりセットなんだよなぁ……。

今までずっと…ではないな。

これまでは日替わりセットかフレンチトーストだったし。

「セットメニューとか、中華やフレンチ、和食も…々あるよ」

「でも、高いですよね…?」

あぁ……確かにあの値段は気が引けるよね。

私も最初は食べにくかったし。

「大丈夫。

私、去年の文化祭で無料チケット貰ってたんだよね。

2枚」

去年ら高等部の文化祭に行った時にチェスのPCゲームで買ったら景品がいくつか貰えるって奴で何回かやったんだよね。

まぁ5回やって5回とも勝った…というか、善勝したけど。

最初の2回は初級と中級だったんだよね。

その景品がこの無料チケットだったんだよね。

高等部のみで無期限だったからとっておいたんだけど……流石に2枚もいらないし。

因みに殘り3回の景品はガラス細工とオルゴールにした。

ガラス細工を2つ貰い片方を兄にあげたら大喜びだった。

あれはちょっと引いた。

後で知ったがあれは私からの贈りって事で喜んでいたたまけらしかった。

兄がガラス細工を好きという訳では無かったらしい。

「え…でも、悪いです…」

そう言うのは分かってたんだよね。

だから私は換條件を出す。

「じゃあこうしない?

今度一緒に遊びに行ってよ。

付き合ってもらうお禮でこれあげるって事で」

「それだと私ばかり得しちゃいます!」

これでも駄目だった!?

なら、どうすればいいのだろうか?

「なら、今度私が困った時助けて。

だからこれはけ取って?」

「友達を助けるのは當然の事ですから!

け取れません!」

だな!!

どうすればけ取ってくれるんだよ!!

もう…私はいらないっていうのにさ。

「なら、天也と奏橙と仲良くしてあげて。

あくまで普通に接してくれればそれでいいんだ」

「それは…お願いのうちにりませんよ?

普通に接する位なら當たり前の事ですから」

うわぁ……私とは正反対だ……。

私は大抵冷たく遇うってのに。

「咲夜とは大違いだな…。

咲夜なんて気にった奴以外は無視か塩対応だぞ?

俺等とこいつの兄に対する接し方でも大きな差があるくらいだぞ?」

「実の家族とどうでも……多分友人の奴と音や先輩に対応の差が出るのは仕方ないと思うんだよね」

先輩方にはお世話になったし。

兄は優しいし、機嫌悪くなると怖いし。

音は私の友人だし。

2人は、まぁ……遠慮はいらないし。

殘りはどうでもいいし。

「お前は正直に言い過ぎだ」

「どうでもいい奴らって言いかけた気がするのは僕だけかな?」

「そうそう。

気の所為気の所為。

耳がおかしくなっただけだよ。

耳鼻科行った方がいいよ?

あ、醫者呼んであげようか?」

「いらないからな!?

こんな奴だぞ!?

ありえないだろう!」

そうか?

普通の気がするが……。

「あ、はい。

これ、チケットね。

け取らなかったら捨てるしかないから」

「咲夜、ありがとう!」

「いいよ。

私も一緒に晝食とりたいし……」

折角の友達、だしね。

私は友達には優しく接するタイプなのだ。

「じゃあ9人になるのか」

奏橙が聞き捨てならないことを言った気がする。

「え?

4人じゃないの?」

私と天也と奏橙と音の4人じゃないのか?

「…忘れてないか?

悠人先輩も涼太先輩も皐月先輩も……。

皆大學、ここだろう?

って事は悠人先輩がこっちに來ない訳ないだろう?」

……あぁ、そうだったね。

確かに兄が私の所に來ないはずが無かったね。

「高等部の方が味しいんですか?」

そんな可らしい事を言うのは音だ。

音は兄の事を知らないから。

「いや、そういうわけじゃないんだ。

逆に大學の方が味しいくらいだよ。

……悠人先輩は咲夜のお兄さんだよ。

で、その悠人先輩は…困ったことに極度の…………シスコンなんだ……。

それが無ければ績優秀、運神経抜群っていう完璧な先輩なんだけどねぇ……」

何処であぁなったんだろうね?

あれは本當に殘念な兄だよ。

あ、でもマカロン買ってくれるから好きだけど。

「えぇと……」

音は困ったように私を見るが私はそれを否定は出來ない。

「……私が言うのもなんだけどお兄様は本當に変わった人だよ。

ちょっと他よりも家族思いで、ちょっと心配癥で、暴走気味なだけで……」

「えーと…それをシスコンというんじゃ……」

「そうともいうね」

私は簡単に肯定した。

兄の病気は私が1番理解しているのだ。

それによってどんなに被害をけたか。

何より被害者の私が認めるし周りの先輩も認めている。

すなわち、『兄ゆうとはシスコン』だと。

「さっき、咲夜の友達が出來ない理由について話したでしょ?

本當は、それともう一つ。

咲夜のお兄さんがその子の事を調べあげて相応しくない、とかっていって邪魔するんだよ」

……何度その事で怒ったことか。

だが、毎回毎回、怒っても笑っているだけで辭めようとはしないのだ。

「……今回も頑張るつもりだけど…暴走したらごめん……」

「大丈夫…です……。

庶民なんかとって言われそうですが……」

あぁ、それは無いね。

「それは無いな。

あの人は庶民だとかは気にしないからな。

それにそんな事言ったら咲夜が家出すると分かってるからな」

「……待って?

私の扱い何なの。

私を一なんだと思ってるの」

私はそんな事しない。

するとしたら

『もうそんなかっこ悪いお兄様とは口を聞きたくありません!』

と言うくらいだ。

だがそれもどうせ兄に負けして終わりだろう。

「?

咲夜は咲夜だろう」

「もういい……」

天也の中では私は別の枠にいるらしい。

「天也様、お時間です」

「あぁ、すぐいく」

そろそろ學式らしい。

はぁ……面倒臭い。

また、新生代表の言葉を言うとか……。

中等部と同じ挨拶にしようかな?

し変えればバレないよね?

「咲夜、頑張れよ」

「応援しているよ」

ニヤニヤしながらそんな事を言われた。

絶対笑う気満々じゃん!!

酷くない!?

特に奏橙の格がどんどん歪んでる気がする!!

「あ…新生代表の挨拶、頑張ってください!

応援してますね!」

「ありがとう。

頑張ってみるよ」

音の言葉は素直にけ取った私だった。

個室を出ると私は先ほどの気の抜けた雰囲気から一転、令嬢としての皮を被った。

「あ!

天也様!

それに奏橙様までいるわ!」

はぁ……またか。

このハイエナが如く2人に群がる子達……。

ウザイ。

ばかり大きくなっても頭は弱いらしい。

音、私の隣にいなさい」

「え……はい」

何も分からない様子で私の隣にきた。

それから私は群がる子達に向けて告げる。

「何をしているのかしら?

天也、奏橙、行きますわよ。

皆様も、このようなはしたない事をするよりも先にやるべき事があるのではなくて?

ここは隆桜高等學院ですわよ。

その様な事をする事しか脳の無い方々でしたら自分にあった學院に転校をおすすめ致しますわよ?

さぁ、行きますわよ。

このままでは頭の弱い方々のせいで學式に遅れてしまいますもの。

貴方がたもそろそろ諦めになられたらどうなのかしら?

せめて、私よりも績を上げてからやりなさい」

私は令嬢らしさを意識して告げると2人を連れ引き上げた。

靜かになった通路を堂々と歩きつつこれからの學院生活も大変そうだ…と、不安を抱えた。

その後、學式も無事に終了しホッとしていた。

だが、學式が終わった瞬間その人はきた。

「咲夜、迎えにきたよ」

「……お兄様、何故ここにいるのですか?」

それは大學にいるはずの兄だった。

この9年間、何も変わっていない事がある。

それは、兄がシスコンで毎日私を迎えにくるという事だ。

………私はもう高校生だというのに変わらずに迎えに來ているのが証拠である。

「何故って……咲夜が可……世界一可くて心配だったからだよ。

さ、行こうか」

……安定のシスコンでした。

言い直す前の方がまだマシだと思うのは何故だろうか?

「咲夜、その人は……?」

音が來てしまったようだ。

……あの2人じゃなくて良かった。

「……咲夜?

そい……咲夜がお世話になっているね。

僕は、可い可い天使である咲夜の兄の海野悠人だよ」

兄よ。

………余分なものを付けないでくれ!!

い可いって!!

兄の目は節か!!

私の何処が可いというのだ!!

いや、確かに前世よりは可いさ。

それは認めるよ?

だけど!!

私よりも音の方がだんっぜん可いだろうが!!

私は兄の自己紹介に顔を引き攣らせていた。

何よりそいつ、と言おうとしていたのに音を見てから咄嗟に自己紹介を始めるって……。

その変わりの速さ何なの……。

と、うんざりしていただけである。

「あ……咲夜から聞いています。

私は黒崎音です」

「お兄様、音は天也と奏橙と同じ2位だったんです!

私の新しい友人でありライバルなんですよ!」

「そう、良かったね。

黒崎さん、咲夜と仲良くしてあげてくれるかい?

それと、余分な蟲…害蟲を近付けないでくれると有難いんだけど……」

私が嬉しそうに言うと兄は優しく笑みを浮かべて頭をでてくる。

……これも9年間変わることが無かった事の一つだ。

それにしても……害蟲とは天也と奏橙の事だろうか?

……気の所為だと思うことにしよう。

「は、はい!

分かりました!」

「ありがとう。

咲夜もいいね?

あの害蟲には近付かないようにしないと駄目だよ?」

「あ…いた。

咲……」

天也が私を見つけたようで聲をかけてくる。

その瞬間、兄の雰囲気がガラリと変わった。

怖っ!!

「…その汚い口で僕の可い可い妹である咲夜の名前を呼ばないでくれるかい?

その君の聲で僕の可い咲夜の耳を穢さないでくれるかな?」

有無を言わせぬほどの圧力だった。

………怖いって……。

私は近寄り難い空気を発している兄の後ろを通り音の橫に移した。

そして誰が聞いているか分からないので令嬢としての口調で話しかける。

音、申し訳ありませんわ。

兄はいつもあぁなんですの…。

天也と奏橙を目の敵のように……」

「……あの2人の言っていた意味がようやく分かりました…」

うん、本當に申し訳ない。

私ではあれを止められないのだ。

「さて、咲夜。

行こうか。

今日は母さんと父さんが帰國する日だからね」

「はい」

母と父はドイツへ行ってから1年後に1度帰ってきたがその後すぐに今度はアメリカへと行ってしまったのだ。

そして今日は何度目かになる帰國の日だ。

々なお土産を買ってきてくれるからそれも楽しみではある。

何より滅多に會えない母と父に會えるのが嬉しい。

「それでは、失禮しますわ」

そう言って私はその場を後にした。

また明日、音と會えるのかと考えると嬉しさがこみ上げてくる。

これが友人というものなのだろうか?

……今更だが、私の死亡フラグはどうなっているのだろうか?

今の今まで忘れていたとはいえ心配なものは心配である。

……全てのシナリオが終わるのは私達の卒業式の日。

まぁ兄のルートでの死亡フラグはないだろうけど。

あるとしたら兄がヤンデレ化した場合?

まぁそんなのシナリオにはないけどさ。

問題は、鬼龍院先輩と、朝霧先輩と白鳥先輩と、奏橙と天也…はなんとかなるか。

それとまだ會ったことのない結城さんと、一之瀬君か。

あれ?

これで8人だから…あのゲームだと9人いたような……。

1人足りない?

あれ?

あぁ、思い出した。

最後のは友ルートだ。

私が敵扱いされて攻略対象者達が友を芽生えさせ誰も攻略せずに終了するんだった。

まぁ今のところ兄という厄介な味方がいるからそのルートはないかな。

はぁ……気が思い……。

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