《脇役転生の筈だった》9

私は父の部屋から出てきた後、ずっと自室に篭もり泣いていた。

そのせいだろうか目が痛かった。

そこで鏡を見てみると私の目は真っ赤に充し、腫れてしまっていた。

「……いい歳して…けない……」

私は前世では19歳、今は15歳のため中は34歳だ。

そんな私がこんな事で泣きはらすだなんて……。

そこで気付いたのだが、いつの間にか兄の聲が聞こえなくなっていた。

兄も、私の事を信じてくれないのだろうかと不安な気持ちに押しつぶされる。

そんなはずはない。

きっと兄ならば私を信じてくれるはずだ。

そんな事を思うが『エデンの花園』のシナリオを思い出してしまう。

ゲームの中の兄は私さくやを嫌っていた。

それは、今回の事が原因なのではないかと思ってしまったのだ。

だとしたら……私は兄に殺されてしまうのだろうか?

そんな事はないと思いながらも不安や焦燥、恐怖といったが私を襲う。

「……私は、お兄様を信じてる…。

お兄様は…私を殺したりしない……」

Advertisement

そう口に出したのはしでも恐怖を和らげる為だった。

ゲームと違い今の私には味方がいる。

兄を初めとして、天也や奏橙、音に紫月、皐月先輩や白鳥先輩、鬼龍院先輩も味方になってくれるだろう。

そう思うと不思議と大丈夫な気になってくる。

私は、ゲームの咲夜じゃない…。

そう思えるからなのかもしれない。

それともゲームの咲夜も私の様にこんな恐怖や不安を抱いていたのだろうか?

そんな事を考えていた時だった。

部屋にノックの音が響く。

その音のせいなのかが強張ってしまう。

「咲夜、僕だよ。

咲夜の友人が來ているんだ」

優しい聲だった。

私のを案じているような。

だが、それでもが拒否している。

怖かった。

兄や友人を中にれて、が高ぶってしまったらと考えるとが震えてしまう程に。

……私は弱味を見せたくないのかもしれない。

弱味を見せたら友人や兄が私から離れてしまうのではないかとそう思ってしまうのだ。

私が返事をしないでいると他の聲も聞こえてくる。

Advertisement

「咲夜、俺だ。

いきなり済まない。

だが……」

天也だった。

それに音や奏橙、紫月の聲も聞こえてくる。

普段なら嬉しいはずの事が今は辛かった。

私の弱さを覗かれているようだったからだ。

私は今まで辛い事があっても泣かずに強がってきた。

そうでなければ私は壊れてしまう気がしたから。

「……來ないで…ください。

すいませんが、今日は…帰ってください…。

また、今度に……今は…1人にして…ください…」

私はまた逃げた。

自分勝手な理由で。

まだ気持ちの整理が付いてないから…。

こんな顔で行って、心配させたく無かったから……そんな言い訳で自分を騙す。

そんな自分が嫌で嫌で仕方が無かった。

「…咲夜……お願い……。

話だけでも……!」

音が、泣きそうに聲を震わせていた。

その意味が分からずに私は扉に駆け寄るが最後の勇気が振り絞れ無かった。

馬鹿だ……。

私は、本當に馬鹿だ。

大切な友人までこんな泣かせて……。

自分の事ばかり……。

いつもの私はどうした?

いつもなら無理にでも笑顔を作るのに。

疲れただなんて…やると決めた事は最後までやり通さければいけないのに……。

「咲夜……今日はありがとうございました…。

私を助けてくれた時の咲夜は本當にカッコよくて…私もこんなふうになりたいって思いました…。

だけど…私のせいでこんな事になって…本當に、すいません…!」

紫月だった。

私は、こんな私でも紫月の救いになったのだろうか?

でも、紫月が謝る必要なんて何も無いでのに……。

いや、私がそうさせたんだ。

私がこんなけない姿で馬鹿みたいに閉じこもって……。

そのせいで兄にも迷をかけたし、清水も、皆も心配させた……。

本當、何やってんだろ、私。

……私らしくない。

こんな事をされてむざむざ黙っているだなんて本當に私らしくない。

やられたらやり返す。

それが私だろうに。

そうと決まれば行あるのみ。

私は他の事を忘れ去り、扉から離れパソコンを開く。

そして、私のファンクラブとやらの會員ページを開き會長のところへお願いをする。

『どなたかは存じ上げませんが、協力してくださいませ。

私は、海野咲夜と申しますわ。

松江梨さんの連絡先を知りたいのですが……。

協力してくだされば必ずお禮はいたしますわ』

と送ってみる。

お禮はクッキーとかでいいだろうし。

特に何とは言ってないから問題ないだろう。

……すると、數分もたたないうちに連絡先が送られてくる。

『咲夜様のお願いは私達で宜しければ全全霊にかけて葉えさせていただきます。

ですからこれからも何かあれば咲夜様の駒としてお使いください』

などと送られて來た時には苦笑をらしたが。

私は送られてきた連絡先にメールを送る。

『お久しぶりですわ。

私があなたをめたなどという噓を言うのはおやめなさい。

あなたが私の友人をめた事、私はまだ許したつもりはありませんわ。

あなたがご自分の非を認め、彼に謝罪なさると言うのであればまだ許してさしあげない事もありませんのよ?

ですが、謝罪しないというのであればそれ相応の罰をけていただきますわ

それではご機嫌よう

海野咲夜』

送信したし、これでいいだろう。

さて……どんな反応が返ってくるか。

楽しみだね。

まだ私がめたと言い張るのか……。

それとも素直に謝罪するのか。

私としては前者を希するけど。

そうすれば徹底的に潰してあげるのに。

父との関係にを作る原因となったんだ。

それくらい、してもいいよね?

「咲夜、倒れてはいないよね?

咲夜……僕の可い天使、世界一可い僕の妹……。

松江……潰す……」

あ、忘れてた。

というか、兄が余計恐くなっているのは気の所為だろうか?

……現実逃避するのは辭めよう。

兄が兇暴化するのはいつもの事じゃないか。

私は諦め、扉を開ける。

「ご心配お掛けしました。

お兄様、音、紫月、天也、奏橙、おりください」

「咲夜!」

「天使!」

「良かった……」

「咲夜ぁ……」

「大丈夫?」

一人、兄だけおかしいが……まぁ今回は見逃そう。

私が全面的に悪いしな。

「えぇ、ご心配をお掛けしてしまい申し訳ありませんわ。

ということで、協力してくださりませんか?」

「あぁ、何でもするよ」

「……協力?」

「協力、ですか?」

「…何をする気だ……」

「私に出來る事なら……」

兄は即答だった。

奏橙と天也は怪訝そうに。

音は何をするのかと疑問を浮かべて。

紫月は戸いつつもOKしてくれた。

「先程、梨さんに連絡を取りましたの。

謝罪をする様でしたら何も致しません、と。

ですがあの方は謝罪はしないでしょうから……穏便にことを運びたかったですがあの方はしやりすぎましたわ。

私の大切な友人を傷つけるだけでなく私の家族との仲も悪くしようとするだなんて……」

私を侮辱するだけであればまだ、許したかもしれない。

だが、さすがの私でもね?

これ程やられて何もしないって事はありえない。

まず、初めに賛の意を示したのは兄だった。

「そうだね。

個人的に恨みもあるし、僕の可い可い天使に手を出したんだ。

し思い知らせてやらないとね」

そう言って2人に電話をかけ、呼び出していた。

1人は朝霧先輩でもう1人は鬼龍院先輩の様だ。

朝霧先輩はまだわかるが…なぜ鬼龍院先輩なのだろうか?

兄の次に賛同したのは天也と奏橙だった。

「咲夜を泣かせたんだから當たり前だな」

「そうだね。

僕としても彼し……。

だから咲夜に協力するよ」

奏橙は真っ黒い笑みを浮かべていた。

その笑みは兄の怒っている時と同じような気がした。

「私は何も出來ないかもしれないですけど…紫月さんをめたのは許せません。

それに、咲夜を傷付けましたし。

優しい咲夜を傷付けた分はちゃんとお返ししないといけませんよね」

……音はこんな理的に怖かっただろうか?

やはり私の影響なのだろうか?

そうだとは考えたくないが……。

「私も協力させてください!

何か出來る事があれば…」

「ありがとうございます。

あら…丁度メールが屆いたようですね」

私はパソコンの前まで行き、來たばかりのメールを開いてみる。

すると案の定、拒否の文が返ってきた。

『何故私があの禮儀知らずに謝罪をしなければいけないのかしら?

謝罪ならあの子からするべきでしょうに。

訂正いたしますわ。

あの子と自分の行った事の重大さすら分かっていないあなたがするべきでなくて?

それともその程度の事も分からないような方だったのかしら?

それ相応の罰と仰いますけれど…あなた如きにその様な事をされる覚えなんてございませんわ』

……ほう?

いい度だ。

『あなた如き』とくるのなら私の家の會社と同じかそれよりも小さい會社の松江が私よりも下となる事を分かっていないのか?

それに、績も私の方が上だ。

隆會のメンバーにすらなれない奴に『あなた如き』といわれる筋合いなんてない。

「……私、あの方に何かやったかしら?」

こんなにも恨まれるなど相當の理由がない限り有り得ないだろう。

私は心當たりがなく、首を傾げる。

すると紫月がおずおずと口にした。

「…私を助けてくださったからではないでしょうか?」

「え……」

そんな當たり前の事で?

何それ……頭おかしいんじゃないの?

「何ですかそれ!

完全に八つ當たりじゃないですか!」

音が私のために怒ってくれたのが嬉しかった。

私はまだ、嫌われていない、1人ではないとじられるのが嬉しいとじる。

そんな事を考えている辺り、30歳超えとは思えないなぁ…などと思いつつも次の行を起こす。

「一芝居うちましょうか」

「え?」

私は笑みを浮かべ、明日の段取りを確認する。

私の話を聞くにつれ、奏橙と兄は面白そうに笑い、天也は呆れたように苦笑をらし、音はやる気満々といった表をし、紫月は戸ったように頷いた。

……さぁ、明日が楽しみだね。

徹底的なまでに貶めてやりましょうとも。

松江梨……覚悟しなさい。

    人が読んでいる<脇役転生の筈だった>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください