《脇役転生の筈だった》18
朝のホームルーム。
私は黒板書記、天也は進行役として前に立っていた。
「再來月の文化祭の出しについてだが…何か希はないか?
予算は1人あたり五千円と言われている」
取り敢えず黒板には文化祭 出しと書いておく。
しだけ話し合いの時間を取ると周りの人達と相談し始める。
「…天也、あのこと言わなくていいの?」
「……あぁ、そうだったな…」
私と天也は前もって喫茶店だけは辭めよう、と話をしていたのだ。
やるとしても私は宣伝役だ。
「ちょっといいか?
…言い忘れていたが、飲食店の出しにする場合、咲夜は宣伝役にする。
それと、お化け屋敷なんかでもそうだ」
……本當、家の兄が申し訳ない。
…あれがどうにかなればいいのだが。
すると、えぇー、などという聲が上がる。
…私に何をやらせようとしていたのだろうか?
「……初等部と中等部の頃を思い出してみろ」
すると何を思い出したのか何人かの男子がブルブルと震えだした。
……一どんなトラウマがあるのだろうか?
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「それをふまえて考えてしい」
でも、宣伝役かぁ……。
宣伝役なら校を回る事になるよね。
その場合だと……あれ?
何故だろうか?
兄が私の隣でニコニコと笑顔でいるようなところしか想像出來ない!!
「……天也、今思ったのですが…例え私が宣伝役となったとしてもお兄様は來ると思いますわ……」
「……まぁ、頑張ってくれ」
酷い!?
友人だろうが!!
もうし対策を考えてくれてもいいだろうに!
「…プラネタリウムとかどうでしょうか?」
……中等部3年の時にやったなぁ……。
何故か兄の隣で見ていたなぁ…。
その前にチラッとお金を多く渡してたのが気になったなぁ……。
「…咲夜に頑張ってもらうか…?」
「……何故私は兄の隣で延々と見ていなければならないのですか。
…私だって普通の役割がしいんです」
そして男子。
何故目を泳がせている。
それと1人だけ泣いてないか?
何があったんだ……。
「あ、學年1位の學級は片付け無しだそうだ。
隆會の方の片付けも今年は學年1位以外の生徒がやるらしいぞ」
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片付け無し……?
なら喫茶店の方が人気ありそうだな。
だが、そうすると兄が……。
「…お兄様の事は先輩方にお任せする事にいたしましょう」
今までもそうだったが……。
いや、きっと今年こそは止めてくれるはず!!
そんな期待をに出しはコスプレ喫茶に決まった。
……ただし、男転換コスプレ喫茶だが。
「次は場所だが……これは教室だな…」
という事で場所は教室と決まった。
で、次に決める事は……。
というように案外早く決まってしまった。
終わりかと思ってチョークを置いた時、天也が重々しく口を開いた。
「…最後だが……。
咲夜の兄、悠人先輩の事だ……」
……兄の事は話し合いをする程の事なのか……。
本當に兄が申し訳ない……。
「…どうやって悠人先輩を止めるか…提案はあるか?」
すると、1人の男子が手をあげた。
天也は答えるように促す。
「海野さんにお願いしてもらうのは……」
「…もうやった。
8年間やってきたものの咲夜に変な蟲がついたらいけないと言って來ていたな…」
……兄はそんな事を言っていたのか。
私には、私が心配だから、と言っていたが……。
再び手があがる。
「なら、海野さんに相手をしてもらうのは……」
「…咲夜が隆會の仕事で抜けた途端に悠人先輩に殺されるぞ…」
兄は一何をしたのだろうか?
……殺されるって。
さすがの兄でもそこまではしない……よね?
あれ?
不安になってきた…。
そして3人目……。
「…他の先輩に止めてもらうように頼むのは」
「毎年やっているが…突破されているな」
「海野さんに廚房をやってもらうのは…」
「「「「「それだ!!」」」」」
それだって……。
殘念。
私の兄は更に酷くなる。
「それだ!じゃない。
……咲夜が廚房をやった年、悠人先輩が『咲夜が作ったものを他の奴に!?
勿なさすぎる!
咲夜の手料理は僕だけのものだ』
なんて言ってどこから出したのかは知らないが刀を振り回しそうになったんだからな。
しかもそれを辭めたと思ったら今度は咲夜の擔當料理だけを大量に頼んでったんだからな」
「……お兄様が申し訳ありませんわ」
私はそういう事しか出來なかった。
……本當に兄が申し訳ない……。
というか兄よ…。
刀を持ってるなんて私は知らないのだが……。
いつ買ったんだ……。
「先に言っておくが……。
過去の文化祭でコスプレ喫茶をやった時は咲夜だけ何故か悠人先輩の著せ替え人形になっていたな。
しかもあの人、咲夜の事なら金に糸目を付けずに買っていくぞ。
だからメニューにはコスプレという枠を用意しておいた方がいい。
それと時間制にした時は何故か咲夜が連れていかれたな…」
あぁ……思い出したくない……。
何だかんだ言って結局、私だけ役割を果たした事がないのだが……。
「オムライスにケチャップで絵を書くってサービスをやった時は悠人先輩がオムライスだけを大量に頼んで咲夜に書いてもらってたよね。
しかももったいないなくて食べられないとかっていって最初から最後までずっとテーブルで悶えてたし」
……あぁ、そんなこともあったなぁ。
あれ、見てるこっちが恥ずかしかったよ。
それに途中から僕の天使とかって言い始めて怖かった。
キーンコーンカーンコーン
と、チャイムがなってしまった。
今まで靜かに聞いてた先生が立ち上がり私と天也は席につく。
「意外と早く決まったようで良かった。
まぁ、途中から線した気もするけどな…。
うちのクラスが1位になれるよう、頑張っていこう。
それぞれの係で頑張るんだぞ」
と、最後は投げやりだったが先生らしくて安心できる。
何だかんだ言っても先生は優しいからな。
最終的には手伝ってくれそうだ。
結局私の係は廚房とホールだが……。
裝は男子がメイド服、子が執事服らしい。
……ちなみに男子のホールとして天也と奏橙を巻き込んでやった。
々文句は言われたが…向こうだって私をホールの係にしたのだから別にいいだろう。
音まで私に付き合ってホールをやってくれるみたいだ。
持つべきものは友人!!
ちなみにホームルームが終了したすぐあとに兄から電話がかかってきた。
『咲夜、文化祭の出しは何になったんだい?
擔當は?』
「コスプレ喫茶です。
擔當はホールと廚房です。
お兄様、當日の事ですが…」
『大丈夫。
開場してからすぐに行くよ。
じゃあね』
……兄はこれだけの用件で電話をかけてきたらしい。
しかも訂正せずに切れてしまった。
「……まぁ、なんだ?
咲夜、頑張れよ」
「勘違いしたまま切るなんて……」
コスプレ喫茶についてはちゃんと許可を貰えた。
一部の先生から…お兄さんの事大変だろうけど頑張ってね。
なんて言われたが。
……兄は自重というものを覚える気はないのだろうか?
ないんだろうなぁ……。
私に婚約者とか出來たらどうする気なんだろうか?
いや、私に婚約者とか出來るわけがないな。
容姿に関しても中くらいだし……。
頭がしいいだけの平凡な奴だし……。
って…このままじゃ私、結婚出來ない気がしてきたよ……。
……私の事よりまずは音のサポートをしよう。
音には幸せになってもらいたいし。
私の事はその時がきたら考えよう。
ことごとくに関して興味のない私だった。
そして再び電話がかかってくる。
今度は兄ではなく、後輩らしい。
「はい、咲夜ですわ」
『さ、咲夜先輩!
咲夜先輩のおかげで數學のテスト満點を取ることができました!
ありがとうございます!!』
との事だった。
その明るい聲に私は思わず笑を零した。
「それならば良かったです」
『咲夜先輩、高等部の文化祭が再來月にあったと思うのですが……咲夜先輩のクラスは何をやるんですか?』
…兄と同じ質問らしい。
まぁ、問題は無いだろうけど。
「私のクラスはコスプレ喫茶ですわ。
當日、もし予定がありませんようでしたら1年3組の模擬店に來てみてください」
『は、はい!
必ず行きます!
ありがとうございました!!』
そう言うと彼は電話を切ってしまった。
まぁ、來てくれるっぽいし客ゲット!
「咲夜、今日の放課後隆會あるそうですよ?」
音が笑顔で教えてくれた。
私は3日連続仕事という事実にテンションが下がったしまったが。
何が嬉しくて3日連続で放課後に話し合いがあるんだろうね?
兄には晝食の時に伝えれば問題無いだろう。
「海野さん、結城さんが呼んでいますわよ」
「教えてくださりありがとうございますわ」
私は笑顔で接していたが心だと揺していた。
……紫月が訪ねてくるだなんて……というものともう一つは…初めて、初めてクラスメイトから話しかけられた!!
というものだった。
天也と奏橙、音以外から話しかけられることは最初の頃にあった晝食のいだけだったのだ。
…それが、こんな形とはいえ話しかけられるだなんて…!!
と、激していたのだ。
「紫月、どうかしましたか?」
「あ、いえ……。
咲夜のクラスは文化祭の出しが何になったのかと気になったので……」
「あ、そういう事だったんですね。
私のクラスはコスプレ喫茶になりました。
私はホールと廚房の係なんですの。
奏橙や天也、音も同じホールの係ですわ。
裝は當日までお楽しみです!」
きっと驚くはずだ。
何せあの奏橙がメイド服なんだし。
想像しただけで笑えてくる。
「ふふっ…楽しそうですね。
私のクラスは手作りの石鹸販売になりました。
自分達でハーブや果などをれて自分の好みの香りのものを作ることもできるようにするんです!」
おぉ……。
手が凝ってる!!
石鹸作りなんて発想は無かったからなぁ。
「當日は買いに行きますわ。
勿論、奏橙も連れていきますわ」
「さ、さささ咲夜!?」
紫月は奏橙を連れていくというと途端に慌てて止めようとしてくる。
そんな紫月が可らしくついつい笑ってしまう。
それにからかわれたと気づいたのか余計に顔を赤く染め上げて私をぽこぽこと叩いてくる。
「かな……」
「さ、咲夜!?」
私達のやり取りに気付いたのか奏橙が近付いてきた。
…邪魔をしにきたのか天也も一緒だ。
「奏橙、紫月のクラスでは石鹸販売をやるそうなんですの。
という事で一緒に行きましょう」
「へぇ、石鹸かぁ…。
面白い発想だね」
「俺も行くぞ」
…天也は別にいいんだけどな。
私は奏橙を置いて先に逃げ…回ってるつもりだし。
…天也も連れてけば問題ないか。
生憎、私と奏橙と天也の休憩時間は被るけど音とはあんまり被らないんだよね。
だから一緒に回る人いなかったし、天也を巻き込むのも悪くないよね。
「では、3人で行きましょう」
音と私と奏橙の3人で休憩時間が合わないのが悪いんだよね。
…まぁ、私と音で被る時間は多はあるからその時間に2人で行けばいいし。
「あぁ」
「分かったよ」
「良かったですわ。
ねぇ、紫月?」
「ふぇ!?
さ、ささ咲夜!?
何を言っているんです…」
タイミングが悪くチャイムがなってしまったので紫月はそれを幸いと教室に戻ってしまった。
奏橙はいつもよりしだけ穏やかな表で見送っていた。
…これは、脈ありと捉えていいよね?
良かったね、紫月!
私は応援するよ!
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