《脇役転生の筈だった》23
文化祭二日目は特に何もなく、三日目となってしまった。
……二日目は兄が終始ニコニコと見ていた事くらいだからね。
そして、何よりも大変なのはクラスへと來る人が多いこと。
その理由は簡単だ。
「黒崎さん!
僕のパートナーになってください!」
「黒崎さん、俺のパートナーに……」
「いや、俺と…」
という、音に用があるもの。
それと
「奏橙様!
私のパートナーになってくださいませんか?」
「いえ、私をパートナーに……」
「私を……」
という、奏橙目當ての者。
だが、それに対し奏橙は……。
「ごめんね。
もう既に、パートナーは決まっているんだ」
と、謝っていた。
それによってそこら辺は靜かになる。
そしてもう1つは何を思ったのか私の所へ。
「海野さん、僕のパートナーになってくださいませんか?」
「咲夜様、私をパートナーにお選びください!」
「天使様、私があなたをお守りいたします!」
と、皆それぞれ私の呼び方が違うのは知らない振りをしておこう。
「申し訳ございませんが先約がありますの……。
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ですからまたの機會に……」
と、私が答えると男子達はぐったりとした様子で戻って行った。
そして、最後の1つは……。
「キャァ!
天也様、私をお選びください!」
「パートナーに相応しいのは私です!」
「天野さん、私をパートナーに…」
「天野様、パートナーになってくださいませんか?」
と、地味に人気だ。
…何故かは分からないがそれにイラッとくる。
……何故だろうか?
もしかして、模擬店に來てるのに何も注文をしないからだろうか?
それともうるさいからだろうか?
…その両方だろう。
「済まない。
俺はもうパートナーが決まっているんだ」
ニヤリと私の方を見て天也が口にする。
私はしだけ暑くじながらも仕事へと戻った。
「…皆様、申し訳ございませんがパートナーのお申し込みでしたらせめて、何かご注文してからにしてください。
そうでなければ他の方のご迷になってしまいますから」
私はそれだけ告げると休憩で抜けた料理擔當の子の変わりに廚房へり素早く注文されたものを作っていく。
「キャー!
隆會の方々よ!」
「格好良い……」
なんて聲が聞こえてくる。
……隆會っていうだけなら私達もそうなんだが……。
やはり顔か!!
顔なのか!!
「通してくれるかな?
3組に用があるんだ」
「……だから嫌だったんだ…」
…どうやら先輩はこのクラスに用があるらしい。
仕方ない、助けに行ってくるか。
「申し訳ありませんが、し抜けますわ。
あの方達を案してきます」
「え……あ、あぁ……行ってらっしゃい…?」
「行ってきますわ」
そして私は廚房を出て、口に向かった。
「申し訳ございませんが順番に並んでお待ちください」
「…うるさいわね。
私はあなたに用があって來たんじゃないんだからいいでしょ!
あなたがどっか行きなさいよ!」
私に反発した令嬢は私を押した。
そのせいで私はよろめき倒れてしまいそうになる。
「咲夜!」
寸前の所で踏みとどまると天也が心配そうに私の元へきた。
「咲夜、大丈夫か!?
怪我はないか?」
「見ての通り大丈夫ですわ。
先に言っておきますが……天也は手出し無用ですわよ?」
「グッ……わ、分かった…。
善処する」
ちゃんと確約がとれたところで私は笑みを浮かべた。
「あなた、これを知られたらどうなるか分かっていますのかしら?
私のお兄様は私に手を出すことを許すことはありませんわ。
………私の髪1本でもれたら殺すと言うような方です…し……」
「咲夜!
大丈夫かい?
怪我は無いかい?
痛くはない?
……あぁ…良かった。
で?
僕の可い可い天使に手を出したゴミはどこかな?
僕の可い妹で天使の咲夜に手を出した馬鹿な奴はどこかな?」
何故ここに居るのだろうか?
しかも全て知っている?
何故だ……?
私は後ろを見ると目をそらした天也がいた。
「…天也、手出し無用と」
「…俺は手を出していない。
悠人先輩に伝えただけだ」
屁理屈だ!
そうびたかったが我慢し、兄に伝えるのも止めなければいけないと思った。
「あぁ、君か。
僕のする妹に手を出したのは……。
ラナンと明來と凪波の3人がいながら咲夜が傷つきそうになるのは何でかな?
咲夜に何かあったら……分かっているよね?」
「お兄様!
私が悪いので何もしないでください!」
兄は冷たい視線を3人の先輩に投げかける。
ヤバイとじた私はすぐ兄に訴えかけた。
すると兄はデレっとした表となり私を抱きしめた。
「あぁもう。
咲夜は優しいなぁ。
そこがまた良いんだけど…」
兄は優しげに目を細めると呪いのような言葉を言い出した。
「可い、可い可い可い可い可い可い可い可い可い可い可い可い可い可い可い可い!!
咲夜が可すぎる!
このまま連れ帰りたい!」
「……助けてくれませんか?」
暴走する兄に抱きしめられている私は周りにいる人達に助けを求めるが皆に目をそらされた。
「……悠人は止められない。
咲夜が一番分かっているだろう……」
「ラナン、私達従兄妹でしょう」
「……こんな時ばかり従兄妹言うな」
私は結局、30分位このままだった。
……誰かしら助けてくれてもいいと思うんだ。
そして、文化祭終了の鐘がなる。
「……ふぅ、終了したな」
「お疲れ様でしたわ」
3度目の終了の鐘。
それは文化祭の終わりを意味していた。
それもあり、今日は先生もいた。
「 この3日間、よく頑張った。
々と問題はあったが……良くやっていた。
さすが俺のクラスだ。
んじゃ天野と海野、クラスを代表して一言」
突然先生に振られる。
まぁ、それは分かっていた事なので揺する事は無かった。
「どっちから言う?」
「なら、私から。
皆様、お疲れ様でした。
この3日間、お兄様がご迷をかけてしまい申し訳ございませんでしたわ…。
準備期間など、私や天也は隆會と學年委員の仕事で抜ける事が多かったのですが皆様のおで功する事が出來ました。
次の行事は育祭ですわ。
育祭に向けてクラス全員で頑張って行きましょう」
私から言う事はなくなり天也の番となる。
「皆、お疲れ様。
咲夜も言った通り、俺と咲夜はあまり準備に參加する事は出來なくて済まなかった。
それと、協力してくれた事、謝する」
そう言って天也は私を見て笑ってくる。
そんな天也を見て、後で仕返しをしてやろうと決めたのだった。
……そして、解散となりそれぞれ準備を始めた。
打ち上げパーティーと言う事もあり、今日は片付け無しで明日にまとめて片付けがある。
そして何より……売り上げ1位のクラスは片付け無し。
その発表は今日のパーティーだ。
だからこそ、全校生徒が參加する。
「さ、咲夜ぁ……パートナーまだ決まってないですよぉ……」
そう泣きついてきたのは私の親友、音だった。
「音、弟さんにお願いしてみるのはどうでしょうか?」
「か、魁斗に!?
私も弟もダンスとか踴れませんし……エスコートなんて……。
それに、服もありませんし……」
音は今まで天也か奏橙と組んでいた。
それがこうなったのは、私が天也のパートナーとなったことと奏橙と紫月をくっつけた事が原因だ。
それを兄に言うと天也のが危険なので兄には頼めない。
「ダンスは大丈夫ですわ。
音に関しては天也がリード致しますし、弟さんは私がリード致しますから。
エスコートに関しては天也に頑張って貰いましょう」
そう決めると私は兄と清水に電話した。
清水には車を出すようにと、兄には遅くなると。
「天也、著替えは…」
「一応、持ってきている」
なら大丈夫だ。
……というか何故持ってきているんだろうか?
まぁいい。
私のものは元々準備してはいなかったため向こうで買えばいい。
「音、天也、清水が來ましたわ。
行きますわよ」
殘りの時間は余裕をもって4時間。
し厳しいが……やれるだけやろうじゃないか。
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